教育現場から 2024年11月
心身の疲労、および労働環境と戦う11月。
テストのこと
2学期末の試験がありました。今回は9割選択問題(1問あたり2点)にして計算および採点を楽にするという荒業に出ました。
平均点は、だいたい55点でした。しかし満点も0点もいませんでした。
すべて選択にするのも善し悪しだな……と感じた次第です。
今回の中央値は50点ですが、最頻値のほうは62点でした。
※この3点から分析するのが良い、というのは先人の教えです
クラスによっても差が出ていますが、この学年の傾向としては
・個人差が大きい(得意な子は点数を取れる)
・習ったことはある程度理解しているが、応用がきかない
(実力問題だけはほとんどの生徒が半分も取れていませんでした)
という実態がわかりました。
似たような選択肢に見事に引っかかっていたので、今のうちから選択問題に慣れてもらい、受験に向けた指導もしていきたいところ。
今回2点問題を50題出したのですが、この量を維持しながら次回は記述等も入れていきます。2点をベースにすると計算が楽なのです。
ミスプリントだけは絶対になくしたい……寝不足の頭で作ってはいけない。
実践について
11月もメディア読解の授業をやりました。
ひとつは学術論文の読み方・書き方がテーマです。
使用した論文は、亜種リュウキュウコノハズクに関するもの(島嶼鳥学会、2023、J-STAGE掲載)でした。シジュウカラに関する論説文に絡めています。
必ず数値のデータを引用する、という条件付きのレポート課題に取り組み、グラフを活用した論説文にもふれてきた生徒たち。
「自分たちが取り組んだ活動の最終形態」を見せて、書く・読む活動に対し価値づけ、および正のリフレーミングをする。
そんなねらいから今回の論文読み取りを実施しました。
論文の構成が今まで読んだ説明文と同じであること、データの示し方などに注目させたのですが、やることが多すぎて時間が足りず……。
ジグソー学習に切り替えてからはうまくいきました。
内容把握できていた生徒は5割ほどですが、学術論文でテンションが上がる層もいるという新たな発見があったのは面白かったです。
自分たちの仕上げたレポートを見返しながら、「もっとこうすればいい」と反省しつつ、最近話題の「論理的な文章」の定義についても話をしました。
生徒たちは思考力が低いわけではないので、こういった発展的活動でうちに秘めている知的好奇心を満たしたら、きっと変わってくれるはず。
もうひとつの実践は「メディア論と古典文学」についてです。
題材は青空文庫にアップロードされている、和田萬吉訳『竹取物語』冒頭部(教科書掲載部分と同じもの)。もうひとつは、文筆家の雨宮まみさんが生前ブログにアップロードしてくださっていた、高畑勲監督の長編アニメ映画『かぐや姫の物語』に関するレビューです。
今回も内容を詰め込み過ぎた結果、文化風習(いわゆる古文常識)の話だけで授業が終わってしまったので、2学期終了までにどこかで補足します。
訳の違いを現代口語文法と繋げたかった……そうしたらきっとここから先の読解でつまずきにくくなるから……これが言葉を身体感覚でとらえるということだと思うから……。
かなり「カルチャーショック」を受けており、びっくりしっぱなしの生徒はあれこれ大騒ぎしていたのですが、リフレクション活動では「どうして古典文学を学ぶのか」という話になったのはわりと良かったのではないかなと。現代の価値観に対する鏡として、ワクチン接種ができたはず。
今月は各クラスで様々な問題も発生し、私の至らなさや失敗も当然多かったのですが、それらすべてを糧にして前に進みます。