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教壇に立ち続ける 73 小説をはじめとする授業の組み立て方【note限定記事】

熱帯夜が続いていますが、皆様熱中症などにはなっていませんでしょうか。桃ちゃんちは毎晩クーラーを効かせています。日中にこそクーラーをつけさせてほしい(家に誰もいないという理由でつけさせてもらえない)。どうも星野です。8月の定期更新日は火・金。今日は連続投稿日、ふたつめのお題は「小説教材の指導法」についてです。もうすぐ夏休みが明ける悲しみと、仕事に対する恐怖感とでパニック寸前ですが、あわあわしていても仕方がないので執筆しています。頑張って記事を書いているので、いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。これがモチベーションなのです。minneとFantiaはこちら。新作続々追加中。全国一律送料無料、即日発送可。

小説の指導って、なかなか難しいと思われる方が多いかと思います。その難しさの根っこにあるのは、「作家の意図が見えづらい」「自己解釈とワークや脚問の答えが一致しない」(それはすなわち「どこまで自由な読みを許容するか」という問題につながると思います)……といったものが挙げられるでしょう。私自身は小説教材のほうが燃えるのですが、どう展開すればいいのかわからない先生方(教育実習生の方)もいらっしゃると思うので、私なりの方法をお示しします。

私が小説読解の授業で心がけているのは以下の点です。
まず、多様な読み方にあたること。論文や解説本を読んだり、NHK(Eテレ)の「100分de名著」を視聴したり、自分なりの読みを確立させるための情報をとにかくインプットします。玉石混交なのはわかっていますが、数をこなして一定の落としどころを見つけます。もちろん指導書も読みますが、最低限にとどめています。紋切り型の授業になるのはあまり好きではないので。指導書は誰がやっても同じになるように設定されているものですから、生徒にとってはきっとつまらないでしょうし、自分もやりづらいだろうなと思っているからです。むしろテクストに対するたくさんの批評文を読むようにしています。そのテクストがどんな形で受容されているのかを知ったうえで、自分の授業の型を探していきます。私の場合は「テクスト理論」と「批評」がベースの授業をしているので、廣野先生の「批評分析入門」にはとても助けられました。たくさんの作品を扱う中で、何度も繰り返し授業をしていくとだんだん自分のやりたいことが見つかってくるので、とにかく「これだ!」と思った知識を下敷きにしながら授業を組み立てていきます。教師は習った通りにしか教えられないですが、それは最初だけの話です。だんだん自分なりの「型」が生まれてきます。その自分が生み出した「型」をどんどん進化させていくことが大事だと思います。

次に、自分の中の軸を固めることを優先的にやっています。自分の中で「これは絶対に教えたい」と思った情報を、うまくまとめながら授業のデザインをしていきます。授業をデザインするときは、生徒の実態を正確に把握すること、そして何を目標とするかを明らかにすることがポイントです。板書計画などの、前段階で得た知識をまとめる方法は人それぞれですが、図式を使ったり表にしたり、視覚的にわかりやすい板書を心がけています。私の教材研究や授業実践の記事をお読みいただければわかるかと思いますが、実はどんどん板書の量が減っているのです。要点をまとめて、それ以外はできるだけ削る。洗練されたものにする。これが最近の目標です。ただ、授業に関連する余計な話はどんどんしますし、そこから生徒の知的好奇心を刺激していくことも実践しています。かつ、生徒が授業中に出した質問にもできるだけその場で答えるようにしています。柔軟な対応をしながら譲れない一線を引くというバランスを取ることが大事だな、と思うことしきりなので、自分もこれからどんどん生徒とやり取りして信頼関係を築いていくようにします。生徒の理解度を常に把握しながら、授業の進め方を微調整していくのが求められる仕事だと思っています。
テストで点数を取らせることも大事ですが、生徒が「自分の頭で考えること」をサポートするのが学校教育のいちばん大事なはたらきだと考えているので、生徒が自分の中で腑に落ちる感覚を持つ、「じぶんごとにする」ことを重視しています。これに関連する記事はこちら。

補足ですが、横並びの場合は進め方や内容のすり合わせを徹底的に行うことが肝要です。別に同僚は(あまり私も信を置いてはいませんが)敵ではないので、一緒に考えながら「こんなことを教えたい」「こういう読みはどうだろうか」と話し合いをする時間を取りましょう。ビジネスライクな付き合いで全く構わないので、話をしてみることをおすすめします。先輩の考えから学ぶこと、そして他者との交流によって深まった読みをさらに自分なりにアレンジしていくこと。それができるようになると、授業の幅も広がります。私もあまりこれをしてこなかったがために痛い目に遭ったので、今年度初めての横並びに食らいついていく予定です。いいところは真似をして、失敗談は気を付けるための糧にして……そうやって自分も成長していくことが、教師に必要な資質のひとつです。常に研究と修養、っていうやつです。Twitterなどのオンラインツールや、勉強会に積極的に参加していくことも大事ですね。私はいろいろな先生にありとあらゆる教えを頂いて、自分なりの授業の型を身につけてきたので、これは初任者研修などで疲弊していることもあるでしょうが頑張って学んでいきましょう。

私の小説読解のスタンス(というより授業全般についてのスタンス)について述べてきましたが、もちろん異論はあると思いますし、これが正解というのは無いと思います。だからこれを読んで、何か掴めたり、あるいは疑問を抱いたりしたら、自分で実践していく中で検討してみてください。
私もこれからどんどん進化していけるように頑張ります。それでは、また。

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