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教壇に立ち続ける 68 高校現代文の教材研究そのいち~夏の陣~【note限定記事】

お……終わったよパトラッシュ……採点が終わったよ……なんだかとても眠いんだ……(4時起床)。どうも星野です。今日から教材研究を毎日やることにしました。そうじゃないとこの量は終わらない。頑張ります。ということで今日のお題はさっそく「高校現代文の教材研究・そのいち」、内容は定時で扱う作品である「科学的というのはどういうことか」(森博嗣)と「自由のはき違え」(鷲田清一)です。noteの定期更新日は火・金・土。8月のみ火・金に一気に更新します。月・土は同人の創作活動をやるので、よろしかったらpixivとFantiaを見てみてください。いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。新作が続々入荷中です。夏の製作祭りと称してこれからたくさん作品を作っていきます。全国一律送料無料、即日発送可。

はじめに

それぞれ作品の概要や指導の方法については独立させて書いていきますが、方針を先に述べておきます。
対象となる生徒は定時制の3年生たち。2年生のときから批評をゴリゴリやらせてみてわかったのが、「学習言語の未定着」という課題でした。そのため「論理的に思考するためのツールを脳みその中にインプットする」ための単元としてこの2作品を扱います。最終的な目標は、11月後半頃から英訳された日本文学を読み解く教科横断授業を展開し、そのなかで批評を行う授業の実施とフィードバックを得ることです。
この3年生の生徒たちはかなり学力層にばらつきがあり、平均以上にできる生徒もいればまったく読めない生徒もいます。成績が下位の生徒はそもそも記述が書けない、そしてワークと一言一句同じ形式で問われないと解けないタイプが多いです。そのためそれぞれのつまずきや進度に応じた個別対応が重要になってくると踏んでいます。机間指導で生徒のつまずきを把握し、小さなつぶやきを全体に還元していくことも引き続き行います。その一助として今学期もリフレクションシートの活用をしていくのですが、今学期からは字数を140字程度にして記述の形式を徹底的に練習させます。マス目の用紙を配付して、それに書き込み、写真でアップロードの形式をとります。そして個人的には、私のやりがちな「単に文章を読むだけの授業」からの脱却を目指して、最初から批評的に、そして構造的に読む授業を目指します。参考文献はこちら。写真をご参照ください。
野矢先生の本を参考に、学力の高くない高3生でも文章の書き方がある程度マスターできるような例題を作って配信→添削、それに加えて毎回の授業のリフレクションを行います。リフレクションは前回同様、授業中に発問した内容について記述で解答するものです。毎回コメントを読んでいない生徒がいるので、返事は書いているからねと伝える必要はありそうです。また、犬塚先生の本を参考にしながら「読解力」というものを身につけるよ、こうやって考えるんだよ、というテクニックの部分もお伝えしていけたらいいなと思っています。この2作品における文章の構造や、因果関係のわかりやすい説明のために犬塚先生の本を使っていく予定です。

科学的というのはどういうことか/森博嗣

この作品は、「科学的」というキーワードをもとに「信じるかどうか」や「実験で証明されたかどうか」で「科学的である」と断定してしまうのはいささか危ないのではないか、という提言をしています。それがたくさんの具体例を経ながらひとつの「科学的とは再現性のあるものである」という主張に収れんしていきます。
この学年で扱う最初の評論文なので、時間数は6コマ(3週間ぶん)を予定しています。感覚としては1学期に実践した「失われた時代」をもう少し慎重かつ基礎から説明していくようなイメージです。指導の内容は①評論文の読解方法の基礎を知る、②この作品の特色を知る、③この作品の表現の構造を分析する、の三段階です。
まず1コマ目で評論文の読解方法を、「失われた時代」(長田弘)の解説とともに実施します。こんなふうにすれば読み解けるし、記述も書けるよ、というお手本を示します。問題を解けないことへの指導、というよりはお悩み相談という位置づけです、こういう悩みってない? それってこうすれば解決できちゃうんだよ~、みたいな話をしたいと思っています。
2~4コマ目では内容をつかみながら構造を解き明かしていきます。図式化を多用した板書にしたいので、うまくまとめることを意識してやっていきます。あまり文字を書くことはせず、一枚のホワイトボードに情報を凝縮して伝えることを意識します。
最後の5~6コマ目では作文・演習の時間とし、この文章で使われている「例示」を利用して作文をしたり、あるいは問題を投げかけてひたすら考える時間にしたりと、「この作品の表現上・構造上の特色を学び、それを活かす」授業にしていく予定です。ここでは批評に重きを置くというよりは、むしろ読解の基礎を学ぶための練習台になってもらう予定です。

自由のはき違え/鷲田清一

この作品は「自由」という言葉にまつわるイメージの差異について論じた文章です。なかなか難しい表現が出てくるので、これは8コマくらいでやれたらいいなと思っています。そうするとちょうど11月頃になっている計算なので、ここで学んだことを使っていざ批評へ、という感じです。
指導内容は大きく3つ。①読解の方法の振り返り、そして発展的技術の習得、②この作品の表現(対比)に注目しながら内容を深く掘り下げ、じぶんなりの表現に落とし込みながら図式化、③演習・批評、です。
まず1~2コマ目で「読解力」の応用に近いことを練習していきます。さすがに「失われた時代」は使えないので、「科学的という~」を使って例題を作り、演習することにしました。ほかにも辞書の引き方や情報へのアクセスのしかたなど、社会に出ても困らないサバイバル術も教えていきます。
3~6コマ目では内容理解を深めていきますが、ここでも図式化・自己内の言葉を使った換言を積極的に取り入れていきます。今回のこの作品で作るテストは京都大学のオマージュにするつもりなので、問1が解けると2につながる、みたいな感じのことをやろうと思っています。この作品の対比構造、あるいは個人言語の解釈をつけていくことで、生徒個人の中でこの作品のキモの部分が「腑に落ちる」感覚をつかんでもらいたいです(そのためには自分の力量を上げる必要があります)。
最後の7~8コマ目では作文・演習を行います。これで批評の言葉をためる、ストックフレーズを増やすことをしていってもらいたいなと思っています。

板書計画はこちら。(8/2午後アップロード)前年度のものから大幅に変えた部分、変わっていない部分、様々ですがご参考までに。

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これで定時の教材研究はおしまいなので、次は中学の作品をやっていく予定です(こちらはタッグを組んでいる先生と打ち合わせをしたので方針が決まっているため作りやすいという理由です)。ご指摘等ありましたらコメントをください。それでは、また。

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