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教壇に立ち続ける 84 古典学習の応用【note限定記事】

今日も早起きできました。ちまちま原稿を書いています。どうも星野です。今日は授業実践のおはなし、「大鏡」からの発展です。現在受け持っているクラスの進度が異常に速いので、つなぎの単元として「怨霊」をテーマに小噺をいくつか入れていこう、という試み。9月の定期更新日は水・土。水曜日の分をフライングゲットです。多分水曜日にも書きます。この記事を読んで、参考になったな、とか、いいなとか思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。新作続々、全国一律送料無料、即日発送可。よろしくどうぞ。

まずこの受け持っているクラスですが、学力の差・意欲の差が非常に大きいです。やる気のない生徒は授業中倒れ伏すかおしゃべりしているかの二択で、真面目な子が損をしているような傾向があります。そしてちょっと観察していると、真面目にノートを取っているように見えても、実は理解が追い付いていない生徒も多数います。もちろん私の授業が速すぎたり、板書の量が多すぎてついてこられていないのが原因だとは思うのですが、それでも1年生からの積み上げができていないように感じました。そのため今学期の指導の方針として、①うるさい生徒は徹底的に指名して答えさせる(落ちこぼれを出さずに授業を成立させる)、②わからないところを無くすために質問対応をきめ細かくする(無意識的にわかっていないところ、あるいは分かった気になっているところを指摘して考えさせる)、の二点を実施することにしました。

私の授業スタイルは、講義形式です。黒板に本文を書いて、それに品詞分解と注釈と訳をつけていくものです。かなり生徒への負担が大きく、なおかつその場では分かった気になりやすく、そして単調になりやすいというのが現在の課題です。それをなんとか変えるために、現在考えている授業の展開をご説明します。
今やっている単元は「大鏡」ですが、肝試しの話(副題は『道長の剛胆』)なのでかなり文量があります。そのため現在絶賛中だるみ状態です。そこでひと段落ついたら「プリント学習」と「小噺」で興味を引きつつ、古典学習の総まとめをしようと考えています。
具体的には、定時制で使っているプリントをそのまま流用して、「敬語法」「助動詞」「接続」について学習します。まずは私がプリントを配る前に「解き方のヒント」を示し、実際に解かせ、そして答え合わせ。これで1.5時間くらい。これを3回やるので4.5時間ですね。残りの0.5時間で「百人一首」を取り上げ、「瀬をはやみ」の和歌の解釈について話をします。激しい恋の歌と思いきや、実は歴史の背景をたどると恨み節に変わる、というやつです。これがプリント学習の時間の概要です。
問題数が足りないので、もちろん加筆修正が必要だとは思うのですが、学力的には定時の生徒と同じくらいだからいけるんじゃないかなとは思っています。基本的なことからわかっていない生徒が多いので、揺さぶりをかける意味でプリントによる実力判定は必要だと考えています。

そしてもうひとつ、「崇徳院」にまつわる近世の文学――そう、私が愛してやまない「雨月物語」を扱おうと思っているのです。
この肝試しの話題では、関連する事項として事前に生徒に「霊のイメージ」を聞いています。それを使って、現代との隔たり、あるいは現代とのつながりを意識させたいなと。古典の世界は現代と切り離されている箇所もありますが、根っこの部分は繋がっているんだよ、と伝える目的で中世から近世への変遷、そして現代への【史】を意識させようと思っています。
近世の文学はあまり触れないと思うので、大鏡の描写と比べてどう描き方が変わっているか、主題は何か、語り手の意図は何か、について質問していく予定です。これは全訳するというより、本文と現代語訳をセットにして渡して、通読させて分析させるイメージです。
語り手の意図については、大鏡の最後のまとめで考察するので、それを踏まえた活動にすることにしています。大鏡では「道長をどう描いているか」が問題ですが、雨月物語では「怨霊である崇徳院をどう描いているか」が問題になると思うので、その差異についても発問する中で考えてもらいたいです(もちろん同時代の、同作者の作品ではないので難しいとは思いますが)。
3年生は活発なので、意見をはっきり言える生徒が多いです。そのためこの単元でも、意見をどんどん聞いていって、みんなで共通認識を作り上げていきたいなと思っています。とにかく生徒の興味を引く! これに尽きるなあと。
辞書の引き方、古典語の調べ方など、これから学ぶために必要なノウハウも伝えていくつもりでいます。将来何が起きるかわからないので、教養を身につけて楽しい人生を送ってほしい、という願いからの「種まき活動」です。
これで興味を引き、古典の総復習もできればしめたもの、とか構想するだけして楽しんでいるので、実際はどうなるかわかりませんが、実践してからの報告もしたいので、そちらもぜひお読みくださいね。それでは、また。

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