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教壇に立ち続ける 90 教師を目指す方へ【note限定記事】

オンラインでなんでも完結する社会になって、人との繋がりが希薄になったかといえばそうでもなく、私は昨夜オンライン飲み会を開催しておりました。楽しかった。どうも星野です。10月の定期更新日は水・土。今日のお題は「出身大学ならではの強みを身につけて指導する」ことについてです。そろそろ勤務先に教育実習生の方々がいらっしゃるので、将来教員を目指している方に向けて書いてみます。もしこれ以外のアドバイスがあればコメントにお願いします、皆さんの集合知に頼ろうと思っています。この記事を読んで、いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。minneとFantiaはこちら。頑張って新作を作っていきますので、こちらもよろしくお願い致します。

私の大学選び

私は教育学部出身の教員です。なぜ文学部じゃなかったのかというと、「初等の免許も一緒に取りたかったから」「司書教諭の資格も取りたかったから」という、至極単純な理由からです。普通の文学部だと初等の免許は基本的に取れません。場所を選べば教育学部でも文学部のような授業は受けられますし、なにより今後の教育改革で学制が変わって、小中の合体した学校が増えるという噂を聞いていたのが大きかったです。また、初等の技術や知識が無いと小中高の連携に目を向けた授業(それぞれの知識を連動させ、系統立てた授業)ができないと感じたためです。私は教員になることしか基本的に考えていなかったので、その道でまったく後悔はしていません。
初等教育の技術ですが、もう高校でもめちゃくちゃ使います。特に偏差値の低い学校では大活躍です。司書教諭の学びが今の国語の授業でのレファレンス的な指導にも息づいていますし、定時制にいる間は特別支援教育で知った知識を応用しています。
初等教育はすべての教育活動に通ずるのだなと今しみじみ思います。だから初等の免許も取っておいてよかったと自分では思っています。
他にも、私の専攻した「日本語教師」の資格も持っています。これは、海外から来た外国籍の方や、海外にルーツを持つ児童生徒の指導をしたり、日本語学校で指導したりできる資格です。この資格を使って日本語教師になった学友もいます。そしてこの知識も、多様な背景を持つ児童生徒とのやり取りをするなかで非常に役に立っている知識です。こうして教育について幅広くなんでも学べる、そして教員になるための能力を涵養できる「教育学部」の出身で良かったなと思うことがたくさんありました。文学部でも教員にはなれますが、深く教育学のことを知りたいなら教育学部をおすすめします。頑張ればたくさん免許も取れます。私の友人は中高体育科と初等国語科と特別支援教育の免許、そして日本語教師の資格を持っています。恐ろしいほどの才女だった彼女は、いま小学校で外国籍の児童生徒の指導をしているそうです。

教育学部を選ぶメリットとデメリット

もちろん教育学部出身のデメリットもあります。やたらと朝から晩まで授業を受けることになるし(コマ数が多い)、自分で勉強していかないとテクスト理論や研究などにはなかなか触れられません。「文学」の専門家ではないので、そこは個人の勉強で補っていくしかありません。
それでも私が「心を壊したとき」に、出身大学じゃなかったらたぶん免許を取れていなかったので、そのお話も少しだけ。
私は大学2年の時に統合失調症とうつ病の診断を貰い、現在も投薬治療中です。3回教育実習に行けることが個人的に教師になるために必要だと考えていたので、なんとしてでも教員免許を取る、そして大学に入学したもとをとるのだ、と考えていました。教育実習は受けたかったのですが、行ってみたら実習では附属校と協力校の2校でハラスメントの被害に遭い、心がもう木っ端微塵になりました。子どもの前で怒鳴られるのなんて日常茶飯事でした。トイレで泣きながら吐いたこともあります。それでも私は、彼らに「だから俺(私)は言ったんだ、あいつはどうせ教員になれないって」と馬鹿にされたくないがために教育実習をやり切りました。
それを支えてくれたのは、大学のカウンセリング専攻の先輩方と、校内の支援部門の教授陣、そしてカウンセラーの先生と健康管理センターの臨床心理士の先生でした。
まず、附属校の実習の際には、水曜日に早引けしてカウンセリングを1時間受けられるように臨床心理士の先生と教授が取り計らってくださいました。カウンセラーの先生も、実習中のハラスメントについて一緒に考えてくださいましたし、何より泣きながらでも話をできるだけでずいぶんと救われました。
カウンセリング専攻の先輩方は、私が授業で生徒の前に立つときに教室にスタンバイしてくれて、何かあったら私を保護してくれる係でした。そのなかでもハラスメントのひどかった中学では、時間を見つけてカウンセラーさん以外にも受けたハラスメントを相談することができました。
教員を養成するために、どんな学生にも均等にチャンスをくれる、私の母校はそういう学校でした。
渉外担当の教授も、とっても人柄がよくて私にたくさん指導してくださいました。メールでも対面でも、何か困ったことがあったらすぐに相談できました。そして教育実習前の事前指導でお世話になった教授も、私の病状を理解してくださったうえで優しく、厳しく指導してくださいました。
こういうサポートが受けられたのは、ひとえに私の母校が「カウンセリング専攻のコースがあって、その実習の一環として教育実習のサポートに入ることを推奨している学校だったこと」「教授陣は小中高での勤務経験がある方が多く、精神疾患等の基礎知識が豊富な方がサポートしてくださる体制が整っている学校だったこと」があると思います。教師が将来心を壊してしまった時のレジリエンスを育成することも含めて、指導していく方針の大学だったのです。そのおかげで私は無事に教員免許を取得しました。

私の母校は、東京学芸大学です。ちょっと変わった先生や生徒が多いと言われていますが、今でも私は誇りに思っています。

免許取得から就職へ

就職の時も私学適性試験は受けましたが、結果がボロボロでしたし、自分で応募した私学も二次選考で落とされました。方向性が合わなかったのですね。いまの勤務先は、学校側から私に直接オファーを頂いたという、完全にご縁による就職だったので、あまり焦らず広く顔を売っておけば転がり込んでくるのかな、と思っています。方向性の合う合わない、立地(通勤時間)、給与などのいろいろな面をよく考えて選ぶと良いと思います。

教員になるのは難しいと言われる現代。少子化で子どもの絶対数は少ないし、初等などはびっくりするくらいに忙しくてきつくて時給も低いです。私も非常勤なので立場は安定していません。それでも、私は「教員って楽しいよ」と言いたいです。教育の仕事は子どもの成長に真剣勝負で向き合えるもので、やりがいはあるし、熱意ある先輩が多いので自分の成長にもつながります。
教師を始めてもうすぐ3年、塾講師歴も8年。まだまだ駆け出しですが、少しでも教師になってくださる勇気ある存在を応援したいです。
今回のお話はここまでです、それでは、また。

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