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教壇に立ち続ける ⑭ 高校現代文の教材研究そのさん【note限定記事】


やっと通販の便利さに気付きました。どうも星野です。久々のタイムアタック。というのも今回教材研究した「水の東西」があまりにもやりづらかったからです。理由は後述。こんなに悩んだ板書計画は初めてです。だいたい読みながらアイデアが浮かんでくるのですが……。
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「水の東西」(山崎正和)は、高校生にとって初めて触れる評論文にもなるかと思います。けれどこの作品、結構深掘りしようにもどことなくつかめない感じがして、なかなか難しかったです。私はこの作品の授業を受けたことも見たこともなく、まともに本文を読んだのも二度目というビギナーもいいところなのですが、なんとかやってみました。
そしてその結果がこちら。まさかの1.3ページにまとまってしまった。


これでは生徒の理解も甘くなってしまうし、なにより駆け足で表面だけなぞっても面白くない……そこで考え出したのがこの指導計画です。
この作品の主眼は「水を通して考える東洋と西洋の文化的な差異」。つまり評論として受け取るならばこれは「文化論」のジャンルに分けられるはずです。(しかし随筆とも似たようなところがあって、割り切れないのが正直なところです)そのため私の知りうるすべての東西比較について語りつくそう、と決めたのです。
例えば、庭園。と王匡ディズニーランドのような刈り込まれた植物の織りなす造形美と、龍安寺の石庭のようなモノクロで飾り気のなさのなかにひっそりと沈む侘び寂び。この対比はおそらく私たちの祖先の暮らし方が違ったからだと思っています。日本は弥生時代から農耕を営み、狭い国土の中で仲良くしなければなりませんでした。災害も多く、それに立ち向かうためには協力するしかなく、またその災害も自らの力でなんとかできるものではなかった。一方西洋は広大な大地と支配による競争社会が早くから誕生していたという背景もあり、個人主義や自らの権利の主張というところに重点が置かれていたのだと私は推測しています。これは私の論なので、完璧に正しいとは言えませんが、何かを考えるきっかけにはなるかと。そしてこの話をしたあとに、この作品の重要な部分を自由記述でノートにまとめてもらいます。1コマ丸々使って、机間指導をしながら生徒の様子を確認していきます。そしてまた本文のまとめをしながら解説をし、最後に本文の最終文をどう解釈するか考える……というものです。いちおう例は書いてありますが、もっと良い意見や面白いアイデアがあればその都度書き足していく予定なので、板書はこれよりもっと増える予定です。生徒と一緒になって作る授業、というのを目指しています。

そしてこの1学期の授業を通して学んでもらいたいことは、以下の通りです。最初の随筆で読解方法の基礎を固めます。本文のどこに注目すれば妥当な解答が得られるのかを理解してもらいます。続いて小説で技法やテーマなどに注目しながら読むことで、新たな視点を得て、自分のなかで思考するための基本的な枠組みを構築します。そしてこの、最後の評論でその思考のフレームを活用して、まず現状できる範囲での論理的に考えた内容をことばで表現する。そういう感じです。中学の段階で論理性については学んできている生徒たちなので、たぶんそこまで苦労することはないとは思っているのですが、正直ぴんとこない生徒の方が多そうなので、私もできる限り東西の文化比較などの文献にあたって調査を進めておきます。あとはタッグを組んでいる先生にアドバイスももらいつつ……なかなか膨らまなかったので浅いこと、表層的なことに終始している板書になってしまったのが悔やまれます。そのぶんトークで補っていく予定なので、授業そのものは口述筆記よろしくメモをガンガン取ってもらい、書くことと読むことに重点を置いて授業を進めていきたいです。
あとは指導書を読みながら、足りない点を付箋で補っていけたらいいかなと思っています。正直ここまでできるかは怪しいので、この板書計画がお蔵入りになることを願っています。

それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。