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教壇に立ち続ける ⑬ 高校現代文の教材研究そのに【note限定記事】

今日もオンラインでセッションしました。どうも星野です。今日は連続投稿日。ふたつめは「教材研究」、高校現代文(国語総合)の「羅生門」を扱います。
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「羅生門」――言わずと知れた高校国語における必須の作品ですね。様々な研究論文も出ていて、まだまだ解き明かされていない謎も多い、文豪・芥川龍之介の短編小説です。ざっくりストーリーをまとめると、「下人が盗人になる話」。こうやって「AがBする話」「AがBになる話」みたいにまとめると一気にあらすじが整理されて頭に入りやすくなります。
今回のテーマはこの物語に隠された「境界」「対称性」に目を向けよう、というものです。できれば善悪二元論についても触れたいですが、ちょっと時間が無さそうなので諦めます。まだ休校がいつ終わるかわかりませんし。
この物語に隠されている「境界」、それは「羅生門」というタイトルにもよく表れています。平安京の最南端、律令の届く範囲とそれ以外の範囲のちょうど中間。そして下人も、にきびをつくった「大人と子供の間」の存在。そして決定打は「善と悪の境界」を超えてしまうこと。そういう「境界線上の物語である」ことを強く意識させて授業したいと考えています。また、これも「対称性」の話になると思うのですが、「丹塗り」の柱と「鴉」の赤と黒のコントラストや、下人をあえて「男」と描く、まるで映画のような視覚的効果にも注目させたいです。ノート例はこちら。教わった通りにしか教えられないのも難儀ですが、いまのところはその型にはまっていこうと思います。基本は脚問に沿いながらストーリーを理解しつつ、隠されているテーマに迫っていく予定です。
私は前もお話した通り、めちゃくちゃ板書を書かせます。そのため情報の取捨選択にはいつも気を付けています。理想は、一目見ただけで何の話をやっていたかわかる板書です。情報が多くなりすぎても何に目を向けたらいいかわからなくなるし、少なくなりすぎても記憶のフックが減るのでよくないです。だからこの情報だけは書き漏らさないように……と選別してやっていくと、必然的に情報量が多くなってしまうというジレンマがあります。修行不足もあるでしょうが、このテクストがそれだけ読みごたえのある作品であることは間違いないですね。

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今回の指導計画では、(生徒の実情をこの目で見ておらず、どういうクラスなのかによって対応が変わりますが)「書きながら考える」あるいは「話しながら考える」ことを目指そうと思っています。要は自分が考えたことを書き、あるいは発言し、それをもとにして次にまた考える、というサイクルを、リフレクションシート形式ではなくノートに書きこむ方式でやっていくということです。毎時間のリフレクションにするとどうしても40人はコメント返しなどの面倒を見きれませんし、対話も少なくなってしまうと推測されます。そのなかでなんとか私と生徒の負担を減らす方式として導入しようと思っているのが、今回のノートで振り返りというものです。
ノートに自分の考えを細かく書き込んでいく。そして単元の最後の問いにも短くていいから記述で答える。それによって記述式テストへの対応もしていきたいと思っています。できるだけ柔軟にやりたいので、あまり制限は設けずに、ただ最低ラインだけ示してやっていくつもりです。
授業ではなかなか全員にお返事できないことが想定されますし、リフレクションも1日5コマも持っているとお返事を書く余裕がないので、私も働き方改革です。定時のほうでは引き続きリフレクションシートを毎回提出させる形式でやって、両方のメリット/デメリットを見極めたいと思います。「羅生門」でもディベートができれば面白そうなのですが(たとえば「下人の行為は果たして本当に悪なのか」とかのお題でやらせるのも楽しそうです)、話をすることに抵抗感を持つ生徒が多い学校であることや、そもそも勉強に対する意欲の低い学校であることなどを加味すると、そこまでは求められない気もしています。なんにせよ、目の前の生徒に合わせて「ちょっとだけ背伸びをさせる」授業を作っていくのが現在の目標です。

次の教材研究は「水の東西」。昨年度はそこまでいかなかったと聞いていますが、心配なのでやるだけやっておきます。週2コマでどこまでいけるのか……。

それでは、また。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。