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教壇に立ち続ける 99 今週の反省【note限定記事】

最近は床の上で寝落ちしています。どうも星野です。今朝も床の上で目覚めました。11月の定期更新日は水・土……なのですが、あまりの疲労によって今回はイレギュラーに日曜に更新しています。連続投稿日、ひとつめのお題は「今週の反省」です。実践報告もあります。この記事を読んで、参考になったなーとか、いいなと思って頂けたらサポートをお願いします。真面目にお金がない。minneとFantiaはこちら。オリジナル作品が多数ありますのでなにとぞ……

やっと終わったすべての授業

定時制ではすべての授業が終わり、テストを残すのみとなりました。毎年3年生を担当していると、この時期は「もっといろいろなことを教えてあげられたのにな」と寂しくなってしまいます。今年度の3年生は「読解力」「批評精神」をコンセプトに授業を展開し、基本的な文章の読み方からクリティカルシンキングの技法まで、幅広く指導してきました。もちろん全員が進学するわけではないし、学習に対して嫌悪感を抱いている生徒もいましたが、まずは1年間付き合ってくれたことに感謝したいです。
1学期は一斉休校の影響もあり、慣れないオンラインの授業などで生徒の理解も進まなかった印象がありました。負担になってもいけないからと、あまり単元数を増やせなかったですし、その流れで深い読みもなかなかできませんでした。知識を詰め込ませてしまった感じです。これが「つまらない授業」に繋がってしまっていたので、個人的には「限られた時間数の中でどの程度深入りして話をするか」(=授業の力点の置き方)を考えるきっかけになりました。1学期はとにかく時間が足りませんでしたし、生徒も「進学できるのだろうか」「就職できるのだろうか」と不安そうでした。その結果、テストの結果がボロボロという生徒が出てしまって、軌道修正することになりました。本音を言えば、原級留置のほうが生徒の学んだことが定着する余裕もあったのでしょうが……。今言っても仕方のないことですね。
2学期からは「読解力」を基本に据えて、そのうえに「批評精神」を乗せる、ということを意識してやりました。英語科との教科横断にも初めて挑戦し、その難しさと面白さを体感したのが大きな収穫でした。
2学期の冒頭で「どうしてテストで点数が取れないのだろう?」という疑問から出発し、「読解力って何だろうね?」と生徒に問題意識を感じさせながら、最終的に「読解力を付けるのが今学期の目標だよ」と伝えたのは良かったのですが、その目標が「形だけ」になってしまっていたのが悔やまれます。年間の指導計画を綿密に立てておかなければならないことを痛感しました。軌道修正するにしても、生徒のニーズとこちらの想いや身につけてほしい技術・育成したい能力をうまくすり合わせなければいけなかったな、と反省しています。読解力という漠然としたものが、最後に生徒たちの実力に変わっているかどうか……テストの結果に期待しています。問題の解き方やテクストの分析の仕方など、「学問研究の入り口」に立つ授業を心がけてはいましたが、とっ散らかってしまったかなという危惧もあるので、縦の繋がり(高1~高3の間で身につけてほしい能力を考えること)を意識した方がよかったとも思っています。この1年間で学びが完結するわけではないですし。そういう意味ではひと学年丸々抱え持ちで、2年続けて指導できたのは有意義な経験でした。去年これをやったから、こういうことができるだろう……と考える重要性を感じました。
協働する姿勢づくり、あるいは批評的な思考の素地づくり、という面では一定の成果がありました。何度もALモドキが起こりましたし、授業内での発言も活発で、「共に学ぶ」ことができていたと思います。書く能力もリフレクションシートの導入によってかなり改善されました。まだまだ拙い文章を書く生徒もいますが、それでも自分の思っていることをアウトプットして交流する楽しさは感じられたようでした。それだけが救いになっている部分もあります。
多様な背景を持つ生徒に向き合うこと、無理なく学習してもらうことなどを徹底したのも昨年の反省を活かせたポイントでした。「対話する」ことで新たに生徒の長所を発見できたり、つまずきに気付いてフォローしたり、とにかくいろいろな方法で生徒とコミュニケーションを取る能力が伸びたのが成長だなと感じています。後述しますが、教科横断もなかなか貴重な体験だったので、新たな取り組みができて楽しい1年間でした。

実践報告①「ラッキーディップ」

詩歌の授業で、話題の「ラッキーディップ」をやりました。生徒の中には「国語総合の授業で詩を書いている」という子もいて、「詩を作るのは難しいものなのだ」と思っていたようですが、並び替えるぶんには抵抗感がなかったようです。かなり盛り上がりました。
使った詩歌は中原中也「一つのメルヘン」・島崎藤村「初恋」・高見順「われは草なり」です。詩歌を印刷した紙を短冊状に切って、袋に入れて混ぜて、生徒は3グループに分けて実践しました。なかなか話し合いの輪に入れない生徒もいましたが、普段物静かな生徒が熱中していたことや、意見を出し合って学ぶのが新鮮だったことなどを生徒が教えてくれました。そして話し合いの苦手な生徒でも、他チームの作品を鑑賞して相互評価する時間は楽しかったようで、他の生徒から教わることが多かった、ほかのチームの作品のここが良かったと感想を書いてくれた生徒もいました。
作品はどれも力作ぞろいで、最後の一文を「さればこそ、」で止めた緊張感のある作品や、まるで現代散文詩のように構成した作品もあり、生徒の頭の柔らかさを感じました。のんびりしたクラスの風土があるからか、頭が変に凝り固まっていなくて、こちらも楽しくなる授業でした。相互評価シートは「お役立ち資料」のマガジンにありますのでご参照ください。

実践報告②教科横断について

教科横断についても、注意点だけ書き留めておこうと思います。
英語科と詩歌を使って似た発問をしながら並行して授業を進めましたが、生徒は思ったより「英語の授業は英語についてやるもの」「国語の授業もそれだけで完結するもの」と思い込んでいて、どうしても知識が点のままで立体にならない(=共通点を見出せない)様子でした。無意識的に似ていることを感じていても、それをスルーしてしまうようなのですよね。だから教科担当者どうしで方針や題材を細かく決めて、それぞれ授業見学を行うなどして積極的に意見交流しながら作り上げていく必要があると感じました。授業の進度を合わせるのも、教科の垣根を超えて内容を決めるのも、かなり難しかったです。それでもやることに意味はあると感じました。点でしかなかった知識が繋がって、知識を応用できるようになるところまで持っていきたい場合はこの教科横断のスタイルが非常に有効です。打ち合わせを含めた教材研究が大変ではありますが、挑戦できて良かったです。

最後に今週の反省ノートの写真を。それでは、また。

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