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TRPG勉強会2024 報告 Ver.1.7

ロールプレイングの極意(※個人的な経験則)。

プレイヤー視点での思考

親友に誘われ、プレイヤーとして参加した某有名シナリオでの出来事です。
私自身がプレイヤーに回るのが久しぶりだったので、どうやって動かすのか方向性があまり決まっていませんでした。
他のプレイヤーとすり合わせもしましたが、「自分のキャラをゼロベースで作成するのは難しい」と感じていました。
そしてこれはきっと、今まで参加してくださった初心者さんも感じていた、いわば参入障壁だったのだと思い至りました。
私はあまりにも運営側に長居しすぎていたことに気付いたのは良かったかなと思っていますが、どう解決するか……。
その際ふと思い出して参考にしたのは、前回の勉強会での友人による発言。
既存のキャラに寄せて造形する」というアレです。
私のキャラにも原案をつけるということをやりました。
その結果かなりキャラの行動指針が明確になり、経験者の言うことを聞いてよかったなと……。
この思考パターンでキャラを造形する際には、ある程度「キャラの型」的なものをインプットする活動が必要になるので、本格的に導入するとなったら演劇ワークショップの段階でいろいろな演技をしてみるのが大事です。
シナリオが進んで徐々に真実が明らかになっていく過程で、私には何度か「キャラの声が聞こえる」とも言うべき瞬間がありました。
これは平たく言うと、プレイヤーのメタ思考ではなく生まれたキャラ自身が考えた「本当にしたいこと」のメッセージのことです。
私のキャラにはハンドアウト(※あらかじめ用意された設定)があり、それと整合性を取りながら「キャラと対話していた」のです。
「ペルソナ」と呼ばれる人格切り替えにも似ているのですが、プレイヤーの私とキャラクターの思考が溶け合い、混ざり合う瞬間を経て、物語が納得のいくエンディングに落ち着いたとき、「この感覚は一種の他者理解であり、同時に自己理解でもある」という考えが確固たるものになりました。
キャラクターと私は境遇も違うし、考え方も違います。でも分かり合えた。
それはひとえに、互いが無意識の部分で意見を交換しながら物語を進行した結果だと思っています。
今これを書いている私のことを、心に宿ったキャラは「めんどくせーのに」と思いながらも「やっといたほうが得だもんな」と肯定していて、この心の動きが小説における心情理解、話すこと・聞くことの分野での対話と共感に近いのかな、と思っています。
言語化するのが難しいですが、「心に第三者がいる」のです。
おそらく皆経験があるでしょうが、「勤め先での自己」と「内なる自己」は違うという場合は往々にしてありますし、「親しい人に見せる自己」だって相手によって違う側面を出すでしょう。
その幅(いわばペルソナの数)が増えるので、自然と自分の思考が多角的に、より複雑になっていく……。
そんな効果が、今回TRPGのプレイヤー経験で得られました。
この「視野の広がり」「他者への共感的理解」といった部分は、国語科でも扱うべき内容であると思いますし、この能力の基盤には物語的思考、推論の能力が深く関わっています。
初めて演技をするという児童生徒や未来の参加者様に向けて、私は「演技の手びき」となるものを準備していく予定です。
キャラの演じ分け会話集を、録音しようかなとか考えています。
プレイヤーとして大事なことを思い出しましたし、私の生み出したキャラが「物語世界を生きる」という営為の面白さも感じられた、いい経験でした。

今後の執筆の糧を頂戴できれば幸いです。お気持ちだけで結構です。