『アルティメットラピスイッチ』制作話~無意識と作曲、2つの点を結ぶ「星影」のメタファー~
注意:この記事は私個人の私的な解釈であり、『星影ラピス』さんの活動はこの記事の内容とは一切関係ありません。ご本人に迷惑のかからないようにお願いいたします。
無意識の世界には、何一つ無駄がない。
先月、私の推しである星影ラピスちゃんの生誕祭にて、私が趣味で制作していたファンメイド曲を投稿した。
この曲を作り始めたきっかけは、去年の8月の『#ラピスと夏休みの宿題』という企画だったのだが、色々あって配信を追うことが困難になり、そんな中でも私に出来る私なりの唯一の推し活が、この曲を完成させることだった。
そんなわけで時間を見つけてはこの曲の制作に全集中して、何とか記念日に届けることに成功した。
やりたいことを全部詰め込んでスケールを膨らませ過ぎたこともあって、過去最大の難産の曲だったが、その過程で面白い収穫があったので、制作話を共有してみようと思う。
元々は、この曲の構想はわりと単純なものだった。私はMAD曲とか電波ソングとかが大好きなので、ラピスちゃんの声でそういう昔のニコニコみたいな笑いあり感動ありみたいな楽しい曲が作りたい、といった感じだ。
それが作っている内にどんどんやりたいことが増え、Lofi、スピードコア、ダブステップ、さらには人力ボカロと、ろくに挑戦したこともない要素を次々と詰め込んでしまい、気づけば2分弱にも関わらず150トラック超えの闇鍋曲になっていた。
それだけではただの自己管理が出来てないアホな作曲者なわけだが、それだけの情報の渦がきっかけになったのか、この曲を通して、今まで私の中でバラバラの点だった「作曲」と「無意識」が一つの線で結ばれた体験をした。
きっかけは、初期の配信でラピスちゃんが語った「名前の由来」を曲中に取り込んだことだ。
彼女は無意識の世界とは特に縁のない占い師Vtuberなのだが、驚くべきことに、この語りそのものが一つのナラティブになっている。光と影を優しく統合する『星影』の言葉に込められた美しいメタファーを初めて聴いた時は、いちVtuberの彼女の背後に確かな無意識の光を感じて「やはり私が彼女を見つけたのは偶然じゃないんだ」と確信した。
※繰り返しになりますが、これは私個人の私的な解釈であり、「星影ラピス」さんの活動とは無関係であることにご留意のほどお願いいたします。
⇩星の民さん(ラピスちゃんのファン呼称)による名前の由来部分の切り抜き
そんなわけで、この素敵な由来は彼女のアイデンティティでもあるし、絶対に曲に取り入れたいと思っていた。はじめはピアノとストリングス中心のオーケストラ的なイメージのBGMにしていたのだが、作っているうちに、この中にどうしてもダブステップのサウンド(高音圧な電子音やデスボイスなどの攻撃的なサウンドが主役のジャンル)を入れたくなってしまった。
せっかく良い感じにエモいものを目指しているのにあまりにも攻め過ぎかな、とも思ったが、これが作れば作るほど妙にしっくりくる。調べてみるとどうも「メロディックダブステップ」、特に「Sad Dubstep」というジャンルがこういう作風らしくて、美しいサウンドとダーティなサウンドを併せた哀愁漂う音が、彼女の『星影』のメタファーの美しさに一番合っているような気がした。
そうして出来た曲を聴いた時、私は初めて、自分の作った曲に「無意識」の息吹を感じた。「私が作りたかったのはこういう曲だ」と初めて心から思えた。
元々可愛い曲を作っていたつもりが、配信を追えない中苦しんで作った負荷が私の無意識を目覚めさせたのか、それとも彼女の背後の無意識の力に私が共鳴したのか。
それは私にはわからない。この曲を通して、私自身の心の光と影が統合されたような、そんな不思議な実感があった。
こういった曲を投稿して、ラピスちゃんや、彼女を好きな星の民さん達がどう感じるかはわからない。そもそも曲としての完成度なら、MIXもコード理論もよくわからないままの手探りの制作で、まだまだ精進すべき点は山ほどある。
それでも、この曲を投稿することが、私に出来る彼女への最大のプレゼントであり、同時に私自身にとっても極めて大事なことだと確信した。
そうした、今までにない複雑な想いとともに投稿したのがこの曲なわけだが、ありがたいことにご本人のチャンネルでも紹介していただき、星の民さん達からも温かい反応を頂いている。
そんな不思議な体験によって、私の中で新たな可能性が見えた。そう、今までバラバラだった作曲と無意識が一つの線で繋がったことで、音楽による「意識と無意識の統合」が可能かもしれない。
元々音楽自体、無意識の世界に極めて近い表現だと思うし、実際、名曲と言われる芸術的な作品達にはみんな、無意識の力が宿っていると思う。
しかし、それを催眠スクリプトを作る時のように、意図的に無意識の力を発動させて作ることができれば、ものすごく面白いことになる予感がする。
今回一つわかったのは、やはり表面的なエンタメではなく、深い内省によって生まれる想いを音に表現するのがコツかもしれない。ただ、もう苦しみながら作るのは勘弁なので、無意識さんにお任せでもっと楽に愉しく、「無意識さんの音楽」を作る方法を探ってみようと思う。
そんな楽しみを抱えながら、この半年間を振り返ると、大変だったけど無意味なことは何一つなかったし、やはり無意識の世界は「全て時にかなって美しい」と感じる。
これから、どんな展開が待っているのか。そんなことを考えていると、「心」の奏でる音色に耳を傾けたくなった。
⇩星影ラピスちゃんのチャンネルはこちら