小説『華霞』 ー開幕ー (本編約600字)
ついにオリジナル小説『華霞』が始動します!
早く読みたい方のために、目次をつけます。
《前回の記事と前置き》
あらすじ等設定は前回の記事をご覧ください。リンクを貼っておきます。
1話を1000字程度にしようと思います。
1000字あたりのキリの良いところで切ります。
今回は短めのため約600字です。
前回のリンクと次の話のリンクを毎回貼ります。
次の話のリンクは次ができてから追加します。
それではストーリー本編に入っていきます。
小説『華霞』 ー開幕ー 星宮幽鬼
ーー夏休みが崩れ去っていく。
私はその様子を見ることもできず、必死に走っていた。
この夏を共に歩んだ人はもういない。私の選択がそうさせた。
さっきまで会っていたあの人も霧の中へと消えてしまった。
空間が轟音を立てて崩れていく。
地面を踏む度にヒビが入り、一瞬後には崩れ落ちる。
私を呑み込もうと暗闇が待ち構えている。
前を見て私は走る。
「道が……」
巨大な壁が行く手を阻む。
しかし、足を止めることはできない。
少しずつ壁が迫っていく。
壁が偽物であることを願い、全速力で走り抜ける。
ぶつかった瞬間に時が停止した。
衝撃で鈍く肩が痛む。床にヒビが入る音が辺りに響く。
足元が崩れ去り、再び時は動き出す。
掴まるところもなく、ただひたすらに落ちていく。
落下している間に歌がどうからか聞こえた。
始めはぼんやりしていたが、徐々にはっきりとしてくる。
「あなたは良い人、悪い人? もしも優しい人ならば私を探してくださいな。ただし嘘を吐いたなら、神はあなたを許さない。そして、私は引きこもる」
子どものような声が繰り返し歌っている。明るい声だが品定めするような冷酷さを秘めている。
暗闇が私を見つめている気がして悪寒がする。
いつしか落下がおさまり、ふわふわ浮くような感覚になる。歌も聞こえない。
「そろそろ起きなさい。起きないと遅刻するよ」
今度は厳しくも優しい声が聞こえた。まるで母のようだ。
起きる、遅刻……?
「ーーまだ夏休みじゃないよ」
暗闇に一筋の光が差し込み、眩い光が広がっていく。
暖かな光に包まれた。
以上が小説『華霞』の「開幕」です。
お楽しみいただけましたでしょうか。
ここからはちょっとした解説と次回予告です。
ネタバレはありません。
「開幕」は抽象的表現が多めです。
次回の「序章」から具体的なお話に入っていきます。
《次回予告》
「序章」 目覚め(仮)
更新予定日:1月20日(月)
1000字程度でどこまで書けるかわからないため、タイトルは仮です。
更新予定日は予定日のため、予告なく変更する場合があります。
変更する際はできるだけお知らせするようにします。
次の記事へ
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
星宮幽鬼でした♪
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オリジナル小説『華霞(はなかすみ)』
オリジナル小説『華霞』を連載執筆していきます。目標は週1更新です。 ※無料で公開している『千花と黒い影』を読めばわかるかと思いますが、私…
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