小説『千花と黒い影』 第2話
オリジナルキャラクターストーリー小説『千花と黒い影』の無料公開、3回目です。今回は第2話を公開します。
その前に、まだ前回の話を読んでいないよという方のためにリンクと簡単なあらすじ(ネタバレあり)を。
本編を読む方はお手数ですが、この下の目次から飛ばしてください。しっかりと読んでいただいているのに申し訳ないです。
前回までのストーリー
前回までの内容をまとめたものを見たくない方のために先にリンクを貼ります。
少し行を空けますが、読まないように頑張ってください。
※リンクは『千花と黒い影』のマガジンに飛ぶため、読みたいところを探してお読みください。
《前回までの内容》
灰咲千花が空想をしていると、友だちに現実へと呼び戻される。気づくと放課後になっており、友だちと雑談をしながら下校をする。そんな時、一匹の猫が通りすがる。その猫はなんだか千花たちを気にしているみたい。千花が猫について考察をしていると、友だちに呆れられてしまい、一人で追跡することにする。
以上が、前回までのあらすじです。まとめてしまうとこんな感じです。
詳しく知りたい方は上のリンクより飛んでください。
では、続きの第2話本編です。
『千花と黒い影』 星宮幽鬼 第2話
第2話「黒猫と影」
友だちと分かれ、スパイの黒猫を一定の間隔を空けて追いかける。
なぜ一定の間隔かというと、少し早足にすると黒猫も早足になり、一定の間隔を空けることしかできないからだ。
進むにつれて徐々に道は狭くなっていく。人が横向きになってようやく通ることのできるような細い隙間を、黒猫は軽々と進んでいってしまう。私がゆっくりでしか進めないことを知っているかのように、先で黒猫は振り返り座っている。
普段は通ることのないような路地裏を、黒猫を追って歩いていく。
道中には紙屑や吸い殻などが落ちていた。
この辺りは初めて訪れるが、どこか懐かしさを感じる。
黒猫は悠々と歩いている。
建物の影が少しずつ傾いてきている。
「目的地までどれくらいなのかな」
空を見上げて「ふぅ」と息を長く出していると、黒猫の足音が速く小さくなっていく。
「あっ、待ってよ」
黒猫は細い路地裏をどんどん先へ行き曲がってしまう。
かろうじて黒猫を捉えて同じところを曲がると、黒猫は地面へ飛びついていた。黒猫の手元から黒い影がすり抜けて建物の隙間へと素早く潜っていく。
黒い影を目で追うが、入っていった先は暗くて何も見えない。
視線を戻すと、猫の姿はなく、どこかへ行ってしまったようだった。
「黒猫〜、黒猫〜」
呼びかけてみるが、姿を現すことはなかった。名前も知らないから、戻ってこなくても当然かもしれない。
洗脳が解けたような感覚になり、その場に崩れ落ちるように座る。
「あれ、もしかしてさっきの……」
黒い影が入っていった隙間から微かに物音が聞こえる。
「あっ、そうだ」
鞄を開けて、お昼に買い過ぎてしまったパンを取り出す。ひとかけらに千切って、そっと地面へ置く。
「さっきは驚かせちゃってごめんね。良かったら食べてね」
驚かせた本人はどこかへ行ってしまったが、私も近くにいたから謝っておく。
「見ていたら出て来づらいよね。またね、黒影さん」
その場から離れ、その日は家へ帰った。
無我夢中で黒猫を追いかけてきたが、不思議と迷わずに帰ることができた。
『千花と黒い影』第2話でした。お楽しみいただけましたか。
黒猫の追跡から黒い影の登場が第2話です。
次回はこの黒い影がメインのお話です。
今回もカクヨムで投稿したものから少し修正しています。ルビは常用漢字以外のものに振っています。振り忘れ、誤字脱字等があったらすみません。
今週は木曜日あたりにもう1話公開予定です。
お楽しみに♪
一応、カクヨムのリンクも貼っておきます。
※前回までカクヨムの名前が「幻中ゆうき」になっていましたが、名前を修正したため改名後の「星宮幽鬼」になっていると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
星宮幽鬼でした♪