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谷保天満宮にて。

休日は彼の提案で、東京都国立市にある「谷保(やぼ)天満宮」に行った。

わたしにとっては、これが初詣になるのだが……。
今まで参拝したことがないところで初詣っていいのかな……と一瞬よぎるも、こういうことを含めて縁だろうと思い直し、いそいそと出かけた。

彼は子どもの時に来たことあるそうだけど、いい思い出ではないらしい。
それでも連れてきてくれたのは、以前、この近くを通ったときに、わたしが「立派な鳥居がある!」とすごい勢いでくいついていたからだろう……。
すこしだけ「ごめんね」という気持ちになったけど、本当に嫌なら来ない人なので、深く思い出を訊ねることも、謝ることもしないまま鳥居をくぐった。

参道を歩く。
人が少なくて、のんびりした雰囲気が漂う。

今更だけど……「天満宮」なんだ、と、しみじみ思った。
なぜだかふらっと入りたくなったり、入ったときにキレイだなと感じるのは、天神、天満宮が多い気がする。

神社の由来が書かれた看板があったので、立ち止まった。

菅原道真の三男である道武は、道真が太宰府に左遷されると谷保天満宮のあたりに島流しにされていたそうだ。道真が亡くなったことを知った道武は、父の像を彫り、祀ったことが谷保天満宮の起源となっているらしい。
(後に場所は移転され、現在の場所になったとのこと)

道真の死後、都で不幸な出来事が相次ぎ「道真の怨霊のせい」とされて、祟りを鎮めるために天満宮ができたというのは知っていた。でも、道武が像を彫ったのは、なにも……父が怨霊となるのを恐れたからという理由ではない気がした。

ただ、父の怒りや悲しみや無念さを誰よりも感じとり、それまでの功績や面影を忘れないため。また、自分の心を静めるために、像を彫って祀ったのかなぁと思うと、ちょっと胸がじーんとした。(勝手な想像です)


手水舎を過ぎると、階段を下る。
のぼるのではなく、下っていくのか!と、ちょっとびっくりしながら降りていくと、右側に拝殿、左側に神楽殿が見えた。

写真の正面が拝殿。左の建物は社務所兼、宝物殿。

あとから知ったのだが、宝物殿は日、祝の11時~15時まで見学することができるらしい。
観たかったなぁ……。


ふたり並んで、参拝。
わたしは、初めましてのご挨拶。

せっかくなので、おみくじをひいてみた。
が、なんとなくその場で見ることができなくて。持って帰ることにする。

本殿を見るために少し歩くと、境内の端っこに小さなお社と池があるのが見えた。鳥居には「厳島神社」とあり、池は弁天池らしい。
池に沿ってぐるりと歩けるようになっていたので、歩いてみる。

陽あたりがいい。

池の水が驚くほどに綺麗で、そのなかを鯉が悠々と泳ぎ、亀が気持ちよさそうに日光浴をしている。池の上に張り巡らされている無数の線は、魚を鳥から守るためのものらしい。

さぁ、亀はどこにいるでしょうか。

振り返ると看板があり、この綺麗な水についての説明と、水を汲んでいたであろう場所が残っていた。

弁天池の水源となる湧き水は「常磐(ときわ)の清水」と呼ばれていて、昔は人々の大事な井戸として使用されていたとのことだった。

すこしずつ夕方の空になっていく。


ここの狛犬たちも、いいです。


さらに境内には梅園があった。
咲くのはこれから……という感じだったので、そちらには長居しなかったけど、ベンチで休む人たちもいて、居心地がいいところなんだなと思う。

帰る頃には、わたしだけじゃなく彼も「来て良かった」と云っていた。
よくない思い出はなかったことにはならないけど、場所の見え方が変わって、良い方向に流れていけたらそれはそれでいいのかもしれない。

帰ってからおみくじを見たら、大吉だった!
大吉なんてひいたのはすごく久しぶりだったので……信じられなくて。
何度もなんども「大吉」の文字を確認してしまう。
間違いなく、大吉だって信じられたときは、背中を押してもらった気分になり、嬉しくなる。


また訪れたいな。そんな場所が、ひとつ増えた日だった。



おまけ。
はい、亀はここでした。

木の上に、いたのです。

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