易き(打率)に流されるなっていう話
お盆に帰ってくるのは先祖の霊ではなく無職男性でした、マーモット(害獣)です。
先日僕のツイートが万バズ(当社比)しました。こちらです。
現場とセイバー研究界隈で温度差(≒理解度)があるよねという趣旨のツイートでした。
ただこの現象は珍しいことでもありません。例えば牛鍋という高級料理が生まれた後に、その簡易版の牛丼が生まれ、結果牛丼の方がバズったということもあるので、大衆化されるのは安価(安易)にグレードダウンされたものであったりします。
で、野球の現場でもwRC+より打点が重宝されたり、wOBAより打率が重宝されている現状も似たようなものでしょう。牛丼とは世に出た順番が違いますが、要は「精密ではないかもしれないが安易なもの」の方が世間に浸透していったというのは変わりありません。
じゃあ野球界も打率・打点・得点圏打率をこれからも使って行こうねとなるべきではありません。ビール片手に野球を見る人ならまだしも、首脳陣や指導者が易きに流れるべきではないでしょう。ビール片手にBABIPを語れという声が聞こえてきそうですが気のせいです。
なので、現場はできるだけ精密なデータを用いるようにする必要があります(アマチュアはトラッキングデータを使うことはできませんので限りはありますが)。
「現場」は大人が主導します。大人は当人の努力で何とかなりますが、最終的にデータが下りていくのは子供です。小学生から大学生まで色々といるでしょう。その子供でも分かりやすい指標を使うことが現場の大人の責務であるはずです。
ここからが主題になるのですが、「それなりに精密かつ、子どもでも分かりやすい指標って何だろう」を今回は探っていこうと思います。
子どもというのは単純です(偏差値によりますが)。基準として言えるのは「頭で数字を変換する必要が無く、直感で理解しやすい指標」です。
例えば分かりやすいOPSは、.〇〇〇以上なら優秀とされます。OPSのようにある程度膾炙した指標なら良いですが、OPSの改良版であるwOBAのような「指標が(あまり現場に)知られていない+優秀度を理解するのに変換作業が必要」な指標は避けた方がよいでしょう。
じゃあどんなのがいいのか、見ていきましょう。
【投手】
K%…三振の%が分かる指標。投手の醍醐味の三振!
K/BB…三振と四球の割合。この2つは投手に責任が大きいため分かりやすい。
P/IP、P/PA…投球数の指標。イニングと打者で違いはあるけど、似たような結果になりがち。
SwStr%…全投球数に対して打者が空振りした割合。
ストライク率…全投球数のうち、ストライクと判定or空振りorファールになった割合。
被OPS…まあ入れていいんじゃないですかね。分かりやすいし。
FIPとかはぱっと見で分かりにくいんで省略です。今更xwOBAconとかトラッキングデータを言い出すやつはいないよな?
【打者】
RC27orXR27…その打者を1~9番まで並べて試合を行った結果、一試合で何点入るかを見込んだ指標。この指標はwOBAという改良版があるため、RCやXRを使うのは賛否ありますが、僕は2つのどちらかを推します。なぜなら分かりやすいからです。
PA/K、BB/K…三振に関する指標。割合が打席毎か四球かの違いがあります。
スイング率…ストライクゾーンに来たボールに対してどれだけスイングを試みたかという指標。
コンタクト率…スイングを試みた中で、コンタクトに成功した割合。
GO/AO…フィールドに飛んだ打球のうち、ゴロとフライ&ライナーの割合。
OPS…まあ入れていいんじゃないですかね。分かりやすいし。
打率?そんなもん出すなら宝くじが当たる確率を計算した方がいいんじゃない?俺は知らん。
というわけで、子どもにもわかりやすいしセイバー界隈も我慢できそうなデータ公表の一例でした。上記に限らず他にも指標はありますので、チーム事情で使い分けてもいいかもしれません。より詳しいセイバーと言えばこのサイトを見れば完&壁です。
余談ですが、僕が2018年に指導した高校野球軟式チームではOPSを長打率と出塁率に分けて掲載していました。詳しくはこちらで。
今回は以上になります。各チームの実情に即した指標が見つかることを祈って。ご覧いただきありがとうございました。
雑記:石川県に行ってきたよ、フグの卵巣美味しかったよ、めっちゃしょっぱいから炊き立て白米におススメ。お値段も1000円ぐらいだから買ってみてね。