キタハラさん『京都東山「お悩み相談」人力車』はスカッとする青春小説!
おはようございます、上田です。
キタハラ先生の『京都東山「お悩み相談」人力車』を拝読しました。
とっても面白くて、笑って泣けて、読後に心がスカッと晴れました。すごく大好きな一冊になったので、ご紹介していきたいと思います。
主人公、ショーケンは京都で人力車を引いている。彼女には家を追い出され、冴えない日々を送っているが、ある日新人のアキラの教育係をまかされる。
ショーケンの愛車「若紫」には、いろいろな客が乗り込み、ショーケンは車を引きながら、知らず知らずのうちに、その人たちを「求めている目的地」まで運ぶことになる――というストーリー。
まず、会話のかけあいが面白い。ショーケンとアキラのやりとり、ショーケンを振った浩子とのやりとり、軽くてさくさく読めるのに、あとからじんわりと温かみが広がっていく。
出てくる人たちすべてが、人間味ある性格で、ショーケンもアキラも浩子も、お客さんとして乗った女の子たちも、おばあさんも、みんな「人としての欠点」が見え隠れするのに、それを補ってあまりある魅力にあふれている。みんなどこかめんどくさい人なのに、みんなと仲良くなってみたくなる。
若い時期の「自分は何者にもなれないんじゃないか」「こんなふがいない自分でいいのだろうか」という焦りと諦め、くだをまきたい気持ち、がありありと読み取れるのに、最後には、気持ちよく読者の人生まで肯定できる、そんな魔法がかけられているみたい。
この小説、すごくたくさんの人が「好きだ!」と思える作品だと思うのです。だから、ヒット祈願の意味もこめて、この感想を書かせていただきました。
キタハラ先生、素晴らしい作品をありがとうございました。
ファンになっちゃったので、1作目「熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス」もぜひ読んでみたいと思います。
これからのご健筆をお祈りいたします。
『京都東山「お悩み相談」人力車」のレーベルはPHP文芸文庫です!
私自身も、7月に「金沢 洋食屋ななかまど物語」を本レーベルから出させていただきましたが、すごく面白い作品がたくさんラインナップしておりますので、ぜひご覧ください。
ちなみに、PHP文芸文庫は今年10周年を迎えています。どうぞ、キタハラ先生や私の作品ともども、今後ともよろしくお願いいたします。
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