アーマの現実逃避
先程、私の体の中を探検して参りました。
わたしの体には無数のアーマ(毒素)が
あります。
あまりに多すぎて、歩きにくかったです。
小さなアーマもあったので、
持っていた顕微鏡と双眼鏡を使って見ていましたところ、ばいきんと遭遇し、
どちらも取られてしまいました。
私は仕方なく自分の目でしっかりとみて
参りました。
アーマには色があります。
黒が一番たちの悪いアーマで、
紺は二番目、赤は三番目、黄色は四番目、
白が一番いいアーマであります。
私のアーマは黒が少なかったけれど、
赤がとっても多く、なんだかこわかったです。赤色に包まれていたので、火事の中にいるような感覚でした。
私はふと、思いました。
「ああ、こんなことなら探検しにいくだけではなくて、掃除機を持っていって、アーマを吸い取ってくるんだった。」
嘆いていたら、先程のばいきんが私のところにやってきて、
「さっきはごめん。これ、掃除機と同じ役割の、吸取り機っていう機械だよ。
さっきの顕微鏡と双眼鏡もらったかわりに
これ、やるよ。」といって私にくれたので、
私はそれを使って、見える全てのアーマを
すいとりました。
体から出てきたとき、何かすっとしたような、ほっとしたような、とっても爽快な感覚がありました。
しかしその晩、私は寝ていると胃がむかむか
するので眠れませんでした。
あまりにむかむかむかむかするので、
おかしいな、と思っていたら、口からいきなり「くさい玉」がでてきました。
くさい玉は、口に入ってくる有害なばいきんの塊だから、とにかく臭い。
で、そのくさい玉はとても大きくて、
よく見るとさっき体の中で出会ったばい菌が
いた。
そのばい菌は私から取り上げた顕微鏡と双眼鏡を手にしっかりともっていて、死んでいた。
私はとてもショックだった。
なんていうか、もう一人の自分がしんだような、もしくは自分の相棒が死んだような、
感覚でした。
そして次の日、私は本当に健康な体に変わっていました。
おしまい