[初出店] 文学フリマ大阪のおもいで① (女神遭遇編)
(完全に終わった)
文学フリマ大阪11の開場を告げるアナウンスと、それを祝う拍手が鳴り響く中、私は天井を見つめ、完全に放心していた。
値札がない。
昨日間違いなく準備していた、値札がいくら探しても見つからないのだ。
思えば、前日から思いがけないトラブルが頻発していた。
トラブル①
キン◯ーズで印刷したコピー本、エグいほどズレてる
トラブル②
宿泊予定のホテルからネットワーク機器の故障で、Wi-Fiが使えないとの連絡があった
トラブル③
荷造り後にキャリーケースのコロコロ部分が割れ、コロコロできなくなった
(Tのキャリーケースを借りて、ことなきを得た(←フラグ))
悪いことって連続して起きるってよく言うけれど、これほどまでに続くものなのか??
しかし、これはこれ。それはそれ。混乱する頭をなんとか落ち着かせ、昨日のキン◯ーズで値札を印刷したときのことを思い出す。
印刷した紙をカッターで切ったでしょ
スタンドに装着して、よい感じの仕上がりになったことに満足したでしょ
そして、キャリーケースの小さなポケットにしまって……(←フラグ回収)
あーーーー!!コロコロが壊れたキャリーケースに入れっぱなしだ〜〜!
折れそうな気持ちを必死に抑えつけ、頭をフル回転させる。
落ち着け……落ち着け。確実に値札を忘れてきたことはわかった。一歩前進だ。
そうだ。こんなこともあろうかと、前日にホワイトボードをSeria(100均)で買ってきたじゃないか。そこに値段をかけばいい。
用意周到!転ばぬ先の杖!昨日の私、天才!
キャリーバッグを探る。
ホワイトボードが……あった!
さて。値段を書くか。
ホワイトボードのペンが……ない!!!
昨日、自宅で荷造りをしたときのことを思い出す。
ホワイトボードのパッケージを開けて、試し書きをしたでしょ
ちゃんと書けたことに満足したでしょ
ペンをキャリーケースの小さなポケットにしまって……(←フラグ回収2)
あーーーー!!コロコロが壊れたキャリーケースに入れっぱなしだ〜〜!
無為無策!取らぬ狸の皮算用!昨日の私、愚か!!!!!
(完全に終わった……)
11名の方に寄稿いただき(2冊持っていったうちの1冊は合同誌でした)何ヶ月もかけて準備をしてきたのに、私が不甲斐ないばかりに、こんなことになってしまうとは……。このまま本は一冊も売れず、遊びに来てくれると言っていた聡い読書会の方々は、私のキモさを一瞬にして見抜き、そのまま、声もかけずに帰っちゃうんだ……。そして来週から読書会に誰一人来なくなってしまって、一人きりで寂しく本を読むことになるんだ……。
〜こうして私の文学フリマデビュー及び4年間続いたオンライン読書会は終焉を迎えたのだった〜
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そんな想像しうる最悪な未来を思い浮かべ絶望している私の目の前に、現れたのが女神だった。
→続く