12年前、娘のランドセルを買った文房具屋さんが、おまけにくれた下敷きは、ただの下敷きではない
私が8歳の時に、この地区に引っ越してきた時に「くみあいマート」というスーパーがあって、その中に「松栄堂」という小さな文房具屋さんが入っていた。
その松栄堂は、スーパーの名前が「ダンクU」と言う名前に変わっても、やはりお店を続けておられた。
娘が小学校に入学する前、ランドセルを用意する時期になった。
その時期には、イオンなど大型商業施設で大々的なセールをやっており、大抵の人はそういうところでランドセルを買うようだった。
娘の保育園はダンクUの向かいにあり、帰りに寄る機会がしばしばあった。
松栄堂でも、ランドセルを仕入れており、そこに並べてあった。
娘は、大きな店で買えなどとはいうタイプではないので、その松栄堂でランドセルを買うことにした。
購入すると、お店の方は箱に入れて、入学お祝いのシールを貼ってくれ、おまけに筆箱とワンコのついた下敷きをおまけにくれた。
そのランドセルも小学校卒業後、外国へ送る寄付に出し、筆箱もどこかへいってしまった。(或いはどこかにしまってるかもしれない)
でも、そのおまけの下敷きだけは高校3年になった今も大事に持っており、先日見当たらなかった時に、「もしかして、まちがって古紙と一緒に捨てたかもしれない!」と血相変えて探し続けていた。(結局、見つかった)
その松栄堂も、もうとっくの昔に店を閉められてしまった。文房具などは、100円ショップで何でも揃うから、文房具屋としては、とても成り立たなかっただろう。
店の方は、そんな「ランドセルのおまけ」につけた下敷きを、その後12年経っても「宝物」のようにしているとは、夢にも思わないだろう。
あの時、お店の方が、うちの子に対して「お祝いしてあげたい」と思ったのか、それとも「どうせ、売れ残りだし」と思ったのか、今となってはわからない。
しかし、小さな「気持ち」は、これほど深く強く娘に届いていたのだ。
必死に探す娘の姿をみて、「商いというものは、何なのか」ということを、考えさせられました。