いつまでも、昔のままで
「俺が全部決めるから」
「寝坊したわ」
「適当でよくない?」
そんな言葉を聞いて、嬉しくなる瞬間が訪れる。
久し振りに旧友に会う機会があった。
長らく会っていなかったので皆変わってしまったかな、と少し不安があったのも事実。
しかし、それは杞憂に終わった。
まるで思い出の中から、そのまま取り出したような彼らの仕草、行動。
そしてあの頃のようにちょっぴり幼い言動。
なんだかほっとして嬉しくなった。
歳を取るにつれ、打算的な関係は増えていく。
人の繋がりにお金が絡んできたり、制約が課されたりする。
その中で、純粋な心の繋がりを懐かしみ、欲するようになった自分がいる事に嘘は付けない。
「親しき中にも礼儀あり、っていう諺を煎じて飲ませたいわ」
相も変わらずへそ曲がりな僕は照れ臭そうに言う。
それを聞いて友人はけらけらと笑う。
昔と変わらぬ光景を横目に、すっと俯いてこっそり微笑む。
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