おもひでぽろぽろ
ずっと観たかった映画がある。
ジブリ映画「おもひでぽろぽろ」だ。
タイトルから、隠しきれない哀愁がにじみ出ていて、内容は知らないのにどこか懐かしさを感じていた。
ジブリ作品は他のどれとも違う独特な後味を残してくれる。
そのあたりの安心感もあったからだと思う。
私はワタシと旅に出る
加えて、ステキなキャッチコピーが一助になったことは言うまでもないんだけど。
〇
主人公である27歳のOL岡島タエ子は、姉の親類の田舎・山形へ向かうことになった。
それをきっかけに、友達と違い、訪れるべき”田舎”が無かった小学5年生当時の”タエ子”の思い出がよみがえり、全編にわたって大きな意味を持っていく。
分数の割り算がすんなり出来た人はその後の人生もすんなりいくらしいのよ
タエ子が回顧するように、分数の割り算に苦戦していた。
テストも散々で、姉に教えを乞うことになった。
姉はもう高校生と大学生だった。
2/3を1/4で割るってどういうこと?
”タエ子”の疑問は、姉にとって別の疑問であった。
「ひっくり返してかければいいのよ!」
頭ごなしに教えられたことを思い出すタエ子の顔は、不思議とおだやかだった。
〇
雨の日と、くもりの日と、晴れと…どれが一番好き?
”タエ子”に恋心を抱く、別のクラスの”広田くん”の照れ隠しのような言葉がけ。
「…くもり」
伏し目がちに答える”タエ子”。
あ、…おんなじだ!
思い出の中の”広田くん”は、とてもシャイだった。
”タエ子”も、シャイだった。
どこにでもありそうだけど、どこにあるか思い出すのには時間がかかりそう。
〇
大人が、自分が子どもだったことを思い出すための映画
嫌いな食べ物があったこと。
ゴーヤとかピーマンとかコーヒーとか、大人はなんで苦いものが好きなんだろう。
食べたくないものを残すことは、そんなにいけないこと?
しょうもないことで盛り上がったこと。
給食のおかずが残ってるから、みんなでじゃんけん!
いっつも男の子しか集まってなかったんだけど。
通学路のこと。
帰るまで何時間かかってんの?
いや、友達と遊んで帰ってたから…
あと、靴汚れたから洗っといて!
経験してきたからといって、覚えているとは限らない。
さらっと表面をさらっていく程度には覚えている。
だけど、細かい細かい心の機微をありありと思い出せはしない。
何かの力を借りなければ、きっと無理なこと。
今回はそれが「おもひでぽろぽろ」だったってことなんだと思う。
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