精神疾患・ひきこもり向けの友達募集サイト「menpal(メンパル)」が閉鎖。ひきこもりは何処で友達を探すべきか?
終わりは唐突に
旧サイトであった「MHTB(メンタルひきこもり友達募集)」まで含めると実に10年以上にも渡って運営されてきた、精神疾患者、ひきこもり向けの友達募集サイト「menpal」ですが、2024年4月、運営者によっていよいよ完全閉鎖の声明が出されてしまいました。
その手の募集サイトでは"金字塔"のような扱いであった一方で、当事者であっても意外と名前も知らないという人も多い、路地裏の人気喫茶店のような空間でした(変な表現ですが……)。
4月いっぱいでドメイン契約が切れるとの旨も告知されており、2024年5月28日現在ではサイト自体がWeb上から跡形もなく消え去ってしまいました。
メンパルでの日々
ひきこもりである私ホロ9もまた、サイトが対象とするユーザーの一人としてMHTB時代から長らくお世話になって参りました。
新旧サイトを跨ぎ、合計でもう7年くらいは利用してきたのではないでしょうか。ここnoteと同じように気難しそうなアイコンを設定して、お得意の堅苦しい長文を書き連ね、日夜ネットのどこかに居るかも知れない気質の近い同志を募っておりました。
そして周りのユーザー達も、競うように友達募集を出し合っていました。投稿は常に"新着順"に掲載される仕様でして、盛況な時期では3日も募集を更新せぬままに居ると後ろの方に追いやられてしまったものです。
こう書くと「募集者同士で繋がれば良いじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、それぞれ求めている人間のタイプが微妙に違うので、そうもいきません。お互い引くに引けない戦いがあったのだと思います。
10分毎に更新し続けている勢いの募集トップの常連さんを見て、「開くといつもこの人が居る(笑)」と可笑しがったり、そういう私だって人のことを言えなかったり、そんなことでさえ、今となっては良い思い出です。
唯一無二のサイト
メンタル疾患者、ひきこもり向けの友達募集サイト。他にこうしたコンセプトのサイトはほとんど存在しておらず、サイト構成の見易さ、使いやすさという意味でもMHTB、menpalは群を抜いていました。
管理者自身が精神疾患で闘病中の方という背景もあり、心を病んだ者には自然と親しめる空気感が漂っていたようにも思います。
私のような日陰者にとって、まさに「最後の砦」のような空間でした。
急に暴言を吐かれたり、先方もまた精神疾患、ひきこもりで精神的に切羽詰まっている都合上、お互いの余裕の無さから上手くいかないことも多々ありました。それでも他に代わりはありませんでしたし、背水の陣で何とか続けてきたものです。
その甲斐あって、徐々に気質の合う人々とのご縁に恵まれ、今でも「フレンド」としてディスコードで繋がり持っていただいている方の内、約20名はMHTBとmenpalがきっかけで知り合った方々です。サイトの手助けを無くしては、素敵な彼らとも決して繋がることは叶わなかったことでしょう。
管理者様へのお礼
そういうわけで、MHTB、menpalを手掛けてこられた管理者の方には感謝してもしきれない思いです。たった一人で、ご自身もまた精神疾患による闘病中の身にありながら運営を続けてくださっていたと聞き及んでおります。届くかどうかはわかりませんが、この場を借りてお礼を申し上げます。
当初は一人のひきこもりとして孤立していた私も、サイトのお陰で境遇を同じくする仲間たちと繋がることが叶いました。ネットゲームやSNSなどといった手段も一応はありましたが、それらはやはり素性がバラバラで、共通のテーマに欠いた空間であった以上、出会える相手が同じ「ひきこもり」である確率はほとんど0に近しいものでした。ですから、「ひきこもり同士で繋がる」という贅沢に授かり、今もまだこうして正気を保ってnote記事などを発信出来ているのは、MTHB、menpalの大いなる助けによって齎された現実だと思っています(奇しくも、私にnoteを勧めてくれたのもMHTBで知り合ったフレンドさんでした)。
ユーザーとの細かな諍いや苦情対応など、1ユーザーとしてもトラブルが垣間見える瞬間が幾度かございました。あの空間は一人で背負うにはあまりにも人口が多く、しかもご自身も闘病中である傍らでの長期間運営ともなれば、管理側としても相当なご負担がおありだったことでしょう。それでも10年以上もの長期間運営を継続してくださって、本当にありがとうございました。そして、本当にお疲れ様でした。
思い付きで作ったメンパルの紹介動画
昨年10月。まさか閉鎖されるとは思ってもいなかったmenpalについて、こっそりと解説風の動画を作っていました。今は無きmenpalのなかなか複雑な、それでいて愛おしい空気感を多少は保存出来ている気がして、こんなのも思い付きで作っておいて良かったな、と振り返っています。
追憶のサムネイル
私の友達募集(恥)
約3年前に私がメンパルに出していたらしい友達募集が、幸いにもPC内の画像データとして残っていました。
これを見た瞬間「随分と偏屈そうな人の募集文ですね」と驚きましたが、紛うことなき「自分で書いた募集文」だとわかった時の衝撃たるや……。
当時は何度も痛い思いをしたため、"陽キャ除け"を意識し敢えて堅苦しく書いていたようです。それにしても近寄りがたい印象を受けるので、他者や外部に対する"心の防護服"を今よりもずっと入念に着込んでいる部分があったのではないかと推し量っています。
「どんな強烈な人間が出て来るかと身構えていたが、意外にも普通の人で安心した」と、通話の際に驚かれることがしょっちゅうでした。ああいう自己紹介を決め込んでいたのも「中身がフツーで気弱だったからこそ……」なのかも知れませんね。
しかし奇妙なことに、知的で社交的なフレンドさん達が接触してきてくださったのは、いずれもこうした堅苦しい募集文を書いていた時でした。今は文章はとにかく崩すのが主流なので、目を引きやすい。或いは堅苦しい文章に惹かれる人の方が、割合に良い人が多かったりするのでしょうか。理由はハッキリわかりませんが、「募集文を敢えて堅苦しく書いてみる」というのも手段の一つとしてオススメしておきます。
今後の友達募集について
私については幸い、MHTB、menpalの利用をきっかけに「絶望しながらでも前に進み続ける」と志を同じくする逸材たちとの繋がりを得ることが叶いました。
しかし、今後現れるであろう新参のひきこもり達を想えば「仲間を得られる可能性がある場所」の中でもかなり大きかった一つが消失したことは大問題です。
ひきこもりの中には、様々な事情が絡み合って「外出もままならない」という人も多いのが残酷な実情。そして既に仲間を得られた私にしてみても、新しい人と出会う窓口が締め切られ、見知った仲間に依存してばかりでは脳機能が衰退してしまい、結局仲間にまで迷惑を掛けてしまうだろう、という将来的な問題があります。
では、「menpal無き今後、ひきこもり達はどうやって新たに友人を得ていくか?」
以下からはその実用的な代替案についてまとめてみようと思います。
1.Mentomo
Mentomo(メンタル・引きこもり友達募集)という名の、嬉しいことにに"ほぼmenpalの後継"のようなサイトが開かれているようです。
まだMHTBやmenpalほどの活気が無いことや、現状は募集文から見たユーザー傾向が「陽キャ」「チャラい人」寄りであり私のような暗いタイプのひきこもりにはやや近寄りがたいという難題も見受けられますが、十分に伸びしろがあるサイトだと思います。
menpalの閉鎖によって意気消沈していたという同志も、まずは一時避難という形で利用されてみてはいかがでしょうか?
2.DISBORD(ディスボード)
まずはDiscordアカウントを作成しなければならないという手間はありますが、総合で見て圧倒的なユーザー数を誇る「ディスボード」を使うという手もオススメです。
「Discord=ゲーマー向けのチャットツール」という印象を持たれている方も多いかも知れませんが、ディスボードで「ひきこもり」「メンタル」「無職」「ニート」などのタグ検索を掛けてみて沢山ヒットすることからもわかる通り、今やDiscordはゲーム以外にも純粋な「人と人との交流ツール」として利用されています。
使い方に慣れるまでには少し時間が掛かりますが、一旦わかってしまえばこっちのもの。少なくとも一人で孤独感に苛まれているよりも遥かに楽な生活を送れる筈です。
Discordのひきこもり界隈ではお互いの身の上もあってか「消極的な人が多い」という実情があります。そこで、サーバールールに反しない限りで「積極的に声を掛けていく姿勢」がフレンドを作るコツだと思っています。通話用チャンネルで自分から募集を掛けてみる、気になる自己紹介の相手が居たらメッセージを送ってみる、会話をした後はフレンド申請を提案してみる等々、まずは数は撃つ方法がオススメです。中には所謂「出会い厨(露骨な人から、黙って異性を待っているタイプの人まで)」や「無礼な人」も居るので、ダメだった場合は気持ちを切り替えて次に行きましょう。
私が見てきた限り、ひきこもりでも「フレンドが0人」という人は居ませんでした。時には自分の振る舞いを見直しつつ、たまに嫌気がさして投げ出したりしながらも、しぶとく続けていればいつか必ず気の合うフレンドが出来る筈です。
3.独立する
最後にご紹介するのは最も挑戦的な方法でありながら、私としては近年では最も効果的な方法だと思います。
つまり、サービス側に提供される「友達募集」を試みるのではなく、自ら独立して交流の場を切り拓くという手法です。
例えばここnoteであれば友達募集を前提としたシステムは搭載されていませんが、自主的に「友達募集の記事を書く」わけです。
サービスに頼るやり方では、あくまでもサービス内の閲覧者相手にしか訴求出来ず、また、どこの空間であっても時間と共に緩やかに"廃村化"していくという宿命の中にあります。また、近年では各募集サービスの人口の分散や、運営者がユーザーの要求に応えきれていないなど様々な粗が目立ってきています。
そこで、noteやX(旧ツイッター)、YouTube、自身で開設したWebサイトなどを駆使して、「外部からでも検索可能な友達募集」を自らの手で打ち立てるという方法です。
実際、私はここnoteでは「友達募集」といった体の記事は一つも書いていませんが、ひきこもりとしての記事投稿がきっかけで、note→X→Discordと辿ってダイレクトメッセージを送っていただき、晴れてフレンドになれた方が数名いらっしゃいます。noteプロフィールを他サービスと連携させておいたことが功を成したようです。
これがもし正式に「友達募集」という体で、なるべく検索に引っ掛かり易いようにタグやキーワードを吟味した記事を出していれば、更に見つけて貰える確率は上がっていたことでしょう。
あくまでも自己責任の世界にはなりますが、サービス毎の友達募集での人口の分散が起き、システム的にも今一つ信用できなくなった現代では、こうしたある意味古典的で、自律的な人集めこそが確実に効いてくるのではないでしょうか。宜しければご一考ください。
おわりに
前半部分では、長年お世話になってきたメンパルの閉鎖を経ての想いと振り返りを綴り、後半部分ではメンパルの閉鎖から行き場に困っている他のひきこもり同志たちへのご提案という形式で、記事を書かせていただきました。何かしら参考になったり、お楽しみいただけておりますと幸いです。
↑「ひきこもりがネットで友達を作る方法」という題で、似た方向性の記事を投稿しておりました。もう少し情報が欲しいという方は、併せてコチラもご覧ください。
同志たちへのメッセージ
友達を作る為の秘訣として、一番は「諦めないこと」だと思っています。私は今でこそ複数のご縁を賜りましたが、当初はいくら待てども発見されず、こちらから行っても無視されるか軽くあしらわれ、路頭に迷った孤児の心。「自分はこんなにも価値も魅力も無いのか……」と改めて絶望したりもしました。
人探しを続ける場合、連続で失敗して心が折れかけるようなことも避けられません。それでも「寂しい」と感じる限りは歩を進め、時には自分のやり方を見直して、悪いところがあれば修正したり、視点を変えて相手目線になってみたり、いっそ匙を投げて休んでみたり、少しずつ、ゆっくりで良いので継続されてください。
その中では目に見えないものから見えるものまで含め、必ず成果が出てきます。諦めさえしなければ、いつか必ずフレンドが見付かります。
今後目に付くネットのひきこもり界隈に大きな変化があれば、また記事という形でご紹介してみようと思います。
同志たちの旅路に幸運がありますように。