10〜20代の非投票者7割が選挙に行くと。
4/9(日)および4/23(日)は、統一地方選挙が行なわれる。
衆議院議員選挙や参議院議員選挙といった国政選挙に比べると、残念ながら投票率が低い地方選挙。確かに国政選挙は注目度が高く、マスコミを中心に厚く情報収集がなされている。それに比べると、地方選挙の情報は限定的だ。(SNSで不適切な発言をすると、途端に注目されるような感じ)
「う〜ん、立候補している人のこと、何も知らないし……」
そんな理由で、投票に行かない意思決定をしている方も多いのではないだろうか?せっかくの機会ということで、統一地方選挙についてざっくりと情報整理したいと思う。
地方選挙の投票率は低い
東京23区における前回の区長選挙(2019年)の投票率は以下の通りだ。昨年の参議院議員選挙の投票率は52.04%、国政選挙の投票率を上回っている区はひとつもない。
・江東区区長選挙 46.72%
・中央区区長選挙 45.64%
・文京区区長選挙 50.58%
・台東区区長選挙 42.56%
・墨田区区長選挙 43.76%
・大田区区長選挙 42.73%
・世田谷区区長選挙 43.02%
・渋谷区区長選挙 39.95%
・豊島区区長選挙 42.17%
・北区区長選挙 51.74%
・板橋区区長選挙 43.95%
圧倒的に現職有利
地方選挙がもうひとつ関心を集めない理由は、現職有利という傾向にある。
以下のサイトによると、前回の統一地方選挙では、「町村長の再選率86%、東京23区の区長の再選率100%、一般市の市長の再選率84%、政令指定都市の市長の再選率80%、知事88%」という結果が出ている。(政令指定都市の市長の再選率は80%とあるが、4/5という母数の少なさゆえの結果だとご理解ください)
であれば、「どうせ投票に行っても変わらない」という理由があっても、理解はできると言えよう。
シルバー民主主義?
一部の著名人が問題提起している「シルバー民主主義」という課題も、近年は議論されている。少子化の影響によって、若い世代よりも高齢者世代の人数が多くなっているからだ。
若い世代が全員投票に行っても、高齢者の得票数に追いつけない。「だから投票に行っても仕方がない」という論理。
こういった対立を煽るのはいかがなものか?と思ってしまうのだが、そういった年代別人口の差を実感したことによって、選挙そのものへの関心が低くなってしまうことも見逃せない事実であろうとは思う。
10〜20代の非投票者7割の投票活動によって、選挙結果が変わっていたかもしれない
選挙には得票率という数値が存在する。
選挙に勝利した候補者が、全体投票数のうち、どれだけ得票できたのかを示す基準だ。国政選挙の場合、得票率の高さが所属政党の中で大きな影響力を持つことがある。ギリギリで勝った政治家よりも、圧勝した政治家の方が優遇されるのだ。(「得票率=該当政治家の得票数 / 投票数」で算出される)
東京23区における前回の統一地方選挙で、最も低い得票率だったのは、北区・花川與惣太さんの46.31%だ。最も高いのは渋谷区・長谷部健さんの78.68%。その差はかなり大きいことが分かるだろう。
花川さんの得票数は65,807。次点の音喜多さんの得票数は54,072。3位の川和田さんの得票数は22,213。1位と2位の差は近接しており、情勢次第では順位が入れ替わっていたことも十分考えられる。
もともと、北区は高齢となった花川さんの多選への批判も集中していた。当時東京都議を務めていた35歳の音喜多さんが対抗馬として出馬、その構図が注目されて、23区内でも高めの投票率(51.74%)となった選挙だった。
私の独自の計算だが、前回の北区区長選挙で投票に行かなかった10〜20代は21,817人だ。そのうち7割となる12,981人が音喜多さんに投票していたら、今頃音喜多さんは北区区長選挙の再選を図って選挙活動していた可能性もある。
同じような計算で、上記で並べた11選挙区のうち、中央区や文京区、世田谷区にも逆転の芽があったことが分かった。
もちろん机上の計算に過ぎない。しかし人口が少ない10〜20代だったとしても、選挙結果に大きな影響力を与える可能性があることは分かっていただけるだろう。
圧勝に潜む危うさ。得票率が大事な理由
つい最近、神奈川県知事選挙がネット上で話題になった。
「現職の黒岩知事に対抗できる立候補者がいない」というものだ。
実はこういった結果になったのも、得票率が影響していると僕は考えている。2019年の神奈川県知事選挙、黒岩さんは実に76%の得票率を得ている。もちろん立候補には色々な要因が絡むけれど、「立候補しても、黒岩さんの盤石な基盤に対抗するのは難しい」というのが壁になっているのは確かだろう。
もう一度、北区区長選挙に戻ってみる。
現職の花川さんは88歳にして再選を狙っているが、他にも自民党の都議会議員の山田さん、北区区議会議員の駒崎さん(前回の区議会議員選挙でトップ当選)など、有力候補が立候補を表明している。北区区長選挙は23日投開票なのでまだ情勢は分からないが、前回同様、かなり接戦となるのは間違いないだろう。
「そのままで良いなら現職、そうでないなら別の候補者へ」という原則
投票のセオリーとして、「そのままで良いなら現職、そうでないなら別の候補者へ」というものがある。
そのセオリーに則るとしたら、神奈川県知事選挙には誰に投票すべきだろうか。黒岩さんの政治に納得しているのであれば、黒岩さんに投票すれば良い。
だけど、そうでないなら別の候補者へ入れてみることを薦めたい。「万が一、他の候補者が勝ったらどうしよう」と悩む必要はない。ほぼ間違いなく、黒岩さんが圧勝で再選するからだ。
有権者は、現在とともに未来も考える必要がある。圧勝だった選挙区に対して、「負け戦」を覚悟で立候補する人はほとんどいない。選挙にはお金がかかるからだ。神奈川県知事選挙で苦悩する神奈川県民も多いだろう。
だが、そんな状況を生み出した一端は、神奈川県民自身にもある。どうしたら有力候補者の出馬を促せるか、そこまで考えて投票に臨んでいただければと思う。(繰り返すが、「黒岩さんで問題ない」と思えば、迷わず黒岩さんに投票してください)
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