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セーフティネットを受けられない人たちのセーフティネットを作ること
「別居中・離婚前のひとり親家庭」実態調査プロジェクトチームによる実態調査の結果報告が行なわれた。
主なサマリは以下の通り。
・別居中・離婚前のひとり親家庭の7割が年収200万円未満と回答している
・7割以上に離婚意志があり、6割以上の方が1年以上別居状態が続いていると回答している
・(父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給されることになっているが)別居中・離婚前のひとり親家庭の約2割が「子どもと別居中の相手が児童手当を受け取っている」と回答している
上記で挙げた児童手当は、中学校卒業までの子どもに対して10,000〜15,000円/月を支給する制度だ(※所得による制限あり)。夫が児童手当を申請した場合、夫名義の口座に児童手当が振り込まれる。児童手当は、何かとお金のかかる育児においてセーフティネットの役割を担っている。
「別居中・離婚前のひとり親家庭」というのは、実質的にはひとり親世帯だが、公的には離婚していないのでシングルマザーとして見なされていない家庭のことだ。対象者がどれくらいいるのかは不明だが、パートナーのDVをはじめ、複雑な事情がこじれて離婚「できない」人たちが一定数いることは想像に難くない。そして上記の調査結果の通り、彼らは収入面で不安を抱えている。
公的に離婚していないことが災いし、児童手当を本来受給できる人たちに行き渡っていないというのは、セーフティネットから外れていると言っても過言ではない。
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話は変わる。
五常・アンド・カンパニー代表の慎泰俊さんのnoteが昨夜公開されていた。
どういう種で、どういう土壌で育ち、どういう天気だったのか、すなわち、遺伝、環境、偶然によって僕たちはできている。
例えば僕がたまたまコツコツ地道に努力できるのは、たまたまそういう環境で育ったこと、偶然にも努力が報われてうれしくなる経験があったからだ。そこそこに素直なのも、謝っても自分が崩壊することがないという安心感を与えてくれる親がいて、謝ったら許してくれる大人や友人らにたまたま恵まれたからだ。
(Taejun「勝ち組の驕りがもたらすもの」より引用、太字は私)
僕も家庭環境には恵まれていた。毎日3回食事をとり、安心して寝る場所もあった。両親は、僕の学びたい意欲に応えてくれた。
だけど、そんな環境は「当たり前」ではない。
赤ちゃんや幼児が命を落とすようなニュースが続いている。そのたび張り裂けそうになるほど心が痛むけれど、それが「起こってしまう」社会であることこそ見逃してはならない。
不遇な環境にいる人が、声をあげることは難しいのだと思う。周囲の目を気にして「我慢した方が良いのでは……」という気持ちになってしまうからだ。
声をあげる方法が分からないのかもしれない。
制度は多種多様で、当人がその制度の恩恵を受けられるかどうか判断がつかないのかもしれない(判断しようにも情報を読み解くことができない)。
ほとんどの制度は申請ベースなので、当人が動かないと、周りは気付くことができない。まさに悪循環だ。
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「別居中・離婚前のひとり親家庭」実態調査プロジェクトチームが、これらを問題として取り上げ、世間に提起した意義はとてつもなく大きい。
彼らのソーシャルアクションが、多くのメディアに取り上げられることで一般の人たちの目にも届く。声が大きくなれば、国や自治体も動くだろう。
シチズンシップを発揮するのは、僕ら一人ひとりだ。まずは「知る」ことから始めていきたい。
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