リクルート・出木場久征さんが語る「個の尊重」とは
リクルートには、苦い思い出しかない。
大学生のとき、就職活動の中で「この企業に行きたい」と思えた会社があった。株式会社リクルートコミュニケーションズだ。
今から15年ほど前のことで、当時はグループ会社がたくさんあったわけではない。リクルートグループのマーケティングを担っているイメージがあり、説明会や面接で出てきた社員は、他のリクルート系列会社の方々とはかなり違って見えた。
「この人たちと働きたい」、選考を重ねるにつれ、徐々に思いは募っていった。
……その思いは叶わなかった。
面接官も僕の意思に可能性を感じてくれたのか、丁寧に選考してくれていたように思う。でも、ダメだった。就職氷河期でもなかったのに、とことん面接で落とされ自信をなくしていたときに出会った、理想の会社。「藁にもすがる」思いで選考に臨んだが、ダメだった。
新卒入社した会社を退職し、転職の際にリクルート系列の会社を受けたが、やはりダメだった。実力もなかったし、縁もなかった。リクルートの社風に惹かれながらも、「こいつはおそらく、マッチしないだろう」と見做されたのだと思う。
*
そういったこともあり、仮想敵とまではいかないけれど、「リクルートにはできないビジネスをしたい」という思いが、常に僕の中にはある。
リクルートにはできないビジネスをするためには、当然のことながら、リクルートのことを知らなければならない。そこまでガッツリ調査しているわけではないけれど、創業者・江副浩正さんに関する著書を読んだり、リクルートの近況をチェックしたり、人並みにリクルートに関心を寄せていた。
そして、ここ最近のトピックスは、テレビ東京「カンブリア宮殿」に特集されたこと。リクルートホールディングスのCEO・出木場久征さんがインタビューに応じていた。
ホストの村上龍さんが尋ねたのは、リクルートの伝統である「個の尊重」について。出木場さんの回答がとても分かりやすく、スッと腑に落ちたので内容をnoteに残しておく。
働く人の個性を尊重する。
それは当たり前のことのように思える。けれど、社員ひとりひとりが期待通りのアウトプットを出せるようにマネジメントするためには、時として個性は邪魔になる。トップマネジメントによる指揮・命令の方が効率的だと信じる経営者というのは決して少なくない。
リクルートは、そういった思い込みを真っ向から否定する。否定するというか、創業時から「優秀な人間に、情熱を持って仕事をしてもらうのが一番成果に繋がる」というカルチャーが根強く浸透し、実際に成果が出ているという成功体験によるものだと僕は解釈している。
出木場さんが例示した「早朝からの草野球」というのは、まさに「情熱」というのが、言葉では説明し切れないクレイジーなものであることを言い表している。
そりゃ楽しいよな。でも万が一、そういった社風に合わずに入社した人がいたとしたら、それは地獄以外のなにものでもないだろう。
出木場さんの言語化能力に感嘆しつつ、気付けば、しっかりと「カンブリア宮殿」を楽しんでいた。打倒リクルートは、まだまだ先になりそうだ。
──
TVerでの配信期限は2022年10月13日23:54まで。
本note執筆時点では、まだギリギリ鑑賞できるので、もし興味のある方は下記リンクよりチェックしてみてください。僕も本日中に、もう一度くらいは観直そうと思います。