WBC決勝、大谷翔平さんの試合前の声出し
5回目のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、3大会ぶりの日本優勝で幕を閉じました。全試合を観戦できていないのですが、決勝の終盤は食い入るように画面を見つめていました。
クローザーとして出てきた大谷翔平さん。エンゼルスの同僚、マイク・トラウトさんとの最後の対決は痺れました。2009年もそうでしたが、どうしてここまで絵になるのでしょうか。
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試合後、僕が改めて感心したのは、試合前の大谷さんの円陣声出しでした。
40秒ほどの短いスピーチ。本当に素晴らしかったので、まだ観ていない方はぜひ以下の動画をご覧ください。
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一部ゲバ取りしましたが、全文書き起こしてみました。
ざっくりスピーチの構成をまとめると、こんな感じでしょうか。
①
「1個だけ共有する」と数字を示しながら、興味を引くような言葉で聞き手の興味を引きます。
②
選手名など具体的な話題・エピソードを並べながら、誰しも試合前に陥りがちな「不安や恐怖」に寄り添います。
③
目的(Why)と行動指針(WhatとHow)を力強く共有します。
目的だけ語ってもふわっとしたままだし、行動指針だけ語っても「目的は何?」という消化不良感が残るもの。短いながら、絶妙なバランスで目的と行動指針の共有を両立させます。
④
声のトーンを変え、短く「さあ、行こう!」の声掛け。仲間を勇気づけ、試合前にメンバー全員が同じ方向に進むことができました。
素晴らしかったのは、1分にも満たないスピーチだということです。
大谷さんが事前に考えていたかどうかは分かりません。ですが、発せられた言葉の一つひとつを眺めてみると、おそらくずっと大舞台をイメージしてきたんだなということが予想できます。
「憧れてしまったら超えられない」
なんという言葉でしょうか。もしかしたら、メジャーリーグに挑戦した年、大谷さん自身が、自ら反芻した言葉なのかもしれません。
実力と経験に裏付けされた言葉なのは言うまでもなく、誰もが真似できるものではありません。でも、彼が放った言葉を「読む」ことで、より深く大谷さんから学ぶことができると思いました。
改めて、WBC優勝、おめでとうございます!