ワールドカップ敗退の翌日、新聞のコラムが書いたもの(日本対クロアチア)
残念ながら、カタールワールドカップが終戦した。
正直に言うと、僕は前半30分前後の辺りから寝落ちしてしまい、試合全容をハイライトでしか観れていない。起きて試合速報をチェックしたときに「PK戦の結果が1対3?何かの間違いでは?」と思ったのがリアルな印象だ。
事実として、キッカー有利のPKにおいて、日本選手は3人が外してしまった。メンタルのせいだ、PKの練習が足りなかった、森保監督の想定不足だ……など色々言われている。「選手のみぞ知る」では話にならないので、実際のところは膨大なデータなどを突き合わせて、敗因「らしきもの」を見出していく必要があるだろう。
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敗退翌日の新聞は、各紙がワールドカップを報じていた。各紙というのは、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞、東京新聞、日刊工業新聞の7紙である。
興味深いのは、各紙一面、新聞の「顔」ともいえるコラム欄が、全てワールドカップについての言及だったこと。確かにPK戦での敗退という「惜敗」はトピックスとして扱いやすいし、それぞれの読者も興味を惹くものに違いない。
では、書かれている内容はどうだろうか。ざっくり述べると、こんな感じ。
読売新聞(編集手帳)
文豪・ゲーテ、Ado「新時代」で言及されていた「メタモルフォーゼ(変身)に触れながら、日本代表の試合中の「変身」についてポジティブに記す。
締めの言葉は、「さあ4年後、もっともっとメタモルフォーゼしようぜ。」
朝日新聞(天声人語)
長友佑都選手の「ブラボー」に触れつつ、ブラボーの語源について言及。もともと「邪悪」「野蛮」などのネガティブな意味を持っていた言葉が、最近では善き言葉として変わった。森保監督への評価も同じように変わった。
締めの言葉は、「ベスト8が果たせなくても、ブラーボ」のままで、選手たちを迎えたい。」
毎日新聞(余録)
PKに関する元ブラジル代表のペレの名言を引用しつつ、メッシでさえ国際試合でPKを外したと紹介。一時は代表引退を決断したが翻意、昨年の南米選手権で悲願の優勝を果たす。(直接言及はないが、日本もそういった道を辿ってほしいと匂わせている?)
締めの言葉は、「その先に「新しい景色」が見えることは間違いあるまい。」
産経新聞(産経抄)
今年亡くなった元日本代表監督・オシムのPKの考え方を紹介。その上で「オシムさんが言うように、語り継ぐべきはクロアチアとの「素晴らしい120分間の戦いである」と、やや前のめりな私見を記す。
締めの言葉は、「この国のサッカーは、オシム語録にある目標に一歩近づいたようにも思える。」
日本経済新聞(春秋)
金子みすゞの詩から「『ごめんね』っていうと、『ごめんね』っていう」を引用。森保監督への「手のひら返し」が横行したサッカーファンのスタンスについて言及しつつ、「そもそも『ごめん』とは、許可を与える行為を敬った言い方」と紹介。
締めの言葉(2文)は、「……と、少々押しつけがましい願望を書いてしまった。ごめんなさい。」
東京新聞(筆洗)
日本サッカー協会がシンボルマークとして採用している八咫烏は、古事記にも出てくると紹介。日本サッカーの歴史を辿りながら「このカラスは慎重派らしい」と、ベスト8の壁をなかなか破れないことを嘆く。
締めの言葉は、「大きなお世話だが、PKの練習もお忘れなく。」
日刊工業新聞(産業春秋)
日本代表がPKの末、クロアチアに敗れたという事実から書き出し。ワールドカップでPKが導入されたタイミングや、PKの特徴について触れながら、「プレッシャー論」を記す。
締めの言葉は、「クロアチアの勝利をたたえつつ、「新しい景色」にあと一歩に迫った日本代表の労をねぎらいたい。」
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「サッカー全般を書くか」「この試合(PK戦)に特化するか」で判断が分かれたように思う。
概ね選手を讃える言葉が並ぶが、東京新聞はやや批評的な論調になっている印象を受けた。
一方で(あくまで私見だが)、産経新聞はやや賛美に偏り、読売新聞は、なぜゲーテやAdoを持ち出したのか必然性に疑問を抱いた。
いずれにせよ、サッカー一色というコラムだということは変わらない。読み手のニーズが高いとはいえ、一紙くらい別テーマでコラムを書いても良いのでは?とも思ったが、お祭りムードに水を差すまいと思ったのだろう。それはそれで理解できる。
興味本位で7紙を比べたが、思っていたよりも各紙で「色」がある。書き味の違いは、きっと今に始まったことではないのだろう。今後も何か共通で描かれるようなテーマがあった際は、各紙を読み比べてみたい。
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これまでのカタールワールドカップで、試合毎に所感を述べてきた。サッカーは詳しくないが、編集に携わる人間として「日本代表がどう語られたのか」私見を述べてきた。
にわかファンのいち見解の域を超えないが、良ければご笑覧ください。
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