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ラジオブームに乗って、ラジオリスナーを増やすのは有効な施策か

ラジオドラマって、昔からありますが、改めて聴くと新鮮に感じますね。

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日本民間放送連盟ラジオ委員会(民放連)とradikoが、今年9月に共同企画したキャンペーン「ラジオっていいね」。ラジオコンテンツの新しい可能性と魅力を探り、若年層を中心に新規ラジオリスナーの獲得を目論んでいる。

キャンペーンのメインコンテンツとして、12月7日から高崎卓馬さんの小説『オートリバース』が、ラジオドラマとして配信されている。民放ラジオ99局とradikoで放送・配信を行なう大掛かりな企画だ。

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『オートリバース』は中学生二人の成長を描く青春小説だ。1980年代、テレビやラジオを聴きながらポピュラー音楽を楽しんでいた時代を背景としている。

優れた小説は普遍性が高い。世代でない僕も1980年代の物語に没入できるのは、何かに打ち込んだ経験=青春を共通項としているからだ。よく知っている実在のアイドルや楽曲が登場する面白さ。当時にタイムスリップするような懐かしい感覚を得られる。

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ラジオは「音」を楽しむメディアだ。

聴覚情報のみのラジオでは「きちんと聴こえる」ことがマスト。小声、ノイズ、聞き取りづらい音声、沈黙などは御法度だ。

喜怒哀楽の機微を表現したいドラマや、音声が多重に連なるようなものをラジオは苦手とする。その辺りは視覚情報を前提としたテレビが得意だ。長らく、情報収集のメディアとしてテレビが主流になってきた所以だろう。

そういった点を克服すべく、このラジオドラマでは、立体音響システムである「バイノーラル録音」という手法が取られている。

以下のサイトによるとバイノーラル録音は「まるでそこの現場にいるような、臨場感の高い音」を聴くことができる。

それを踏まえてラジオドラマ『オートリバース』を聴いてみると、ごちゃごちゃしたシーンも、誰が何をしているのかといった感覚を掴みやすいと感じた。

主演を務める猪狩蒼弥さん、作間龍斗さんの声も、耳の近くで鳴っている気がする。ラジオを聴いているというよりは、音楽を聴いてる感覚に近い。もともと二人の素敵な声が、より清涼感を増している印象を受けた。

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リモートワーク大流行の昨今、ラジオリスナーが増えている。

コロナ禍限定の一過性のブームで終わる可能性は十分考えられる。情報に溢れ、また情報のメディアが多様化する中で、情報量が多いメディアを選ぶことの方が妥当性が高いことのように思える。聴覚情報だけのラジオを選択する人は、単なる「物好き」なのかもしれない。

冒頭でキャンペーンの目的に戻ると、そこには「ラジオコンテンツの新しい可能性と魅力を探り」とも書かれている。つまりこのキャンペーンは、ラジオ関係者が、自分たちに向けたミッションでもあるのだ

スマホが普及し、アプリからラジオ視聴ができるようになった。間違いなくラジオの接点は飛躍的に増えただろう。だがそれは、Apple創業者のスティーブ・ジョブズさんが実現した世界の恩恵を受けたに過ぎない。

それだけでなく、もっと夢のある企画を、ラジオだからこそできる形で実現できないだろうか。『オートリバース』のようにもっとオリジナル作品を制作しても良いし、オーディオブックのプロバイダーとコラボレーションし教養をエンタメ化するのも楽しそうだ。

Podcastを開始しているユーザーを巻き込んで、日替わりでパーソナリティを務めるような、新しいラジオステーションを作るのはどうか。

IT技術を駆使して「ラジオ内の“声”が検索できる」ような状態を作れると、情報のレファレンスとして有意義なものになるだろう。

ブームに乗って新しくラジオリスナーを増やすのも大切かもしれないが、むしろ彼らを巻き込む仕組みを作り、ラジオリスナーを育てていくようなアプローチにもチャレンジしていってもらえたらと思うのだ。

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間違いなく、ラジオリスナーは「物好き」だ。

だけど物好きは本来、何かを本気で好きになる人たちのことだ。「何かを本気で好きになれる」というのは稀有な才能とも言えるだろう。

ラジオを聴く行為が習慣化し、ラジオを愛する物好きが増えていく。

ラジオリスナーが生まれ、育っていくプロセスは何だか無性にワクワクしてしまう。ラジオが好きな「物好き」たちが、胸を張って「ラジオっていいね」と言える日が来ると嬉しい。

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ほりそう / 堀 聡太
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