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採用活動に年齢、性別、顔写真は必要ない。

人材採用は、組織に属する人なら誰しも当事者意識を持つべきテーマだ。

良いプロダクトを作るためには良いチームが必要だ。人事採用担当者に限らず、組織をマネジメントする人にとって「この採用活動は適切か」を常に問い続けなければならない。

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「履歴書のこれからを考える会議」にて、有志団体が厚生労働省に要望書を提出した。

「採用活動の際、性別や外見ではなく、適性や能力を重視してほしい」
「履歴書から性別欄や写真欄などの削除すべきだ」

という主張だ。

当然のことながら、僕も微力ながら賛同する。

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人事採用の当事者としても関わっている僕は、なるべく先入観を持たないように求職者と向き合うよう務めてきた。

だが「先入観を持たないように」と自ら但し書きをつけている通り、何らかのバイアスに支配されていることを自覚している。

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前提として。人間は不完全な生き物なので、多少のバイアスがかかることは致し方ないと僕は考えている。公正でない採用活動がなされることで求職者は不利益を被る現状が打破されていくためには、それなりの時間がかかるというのが現実だろう。

ただ同時に、企業側も、長期的には「良い」人材を採用できないことで損をすることは間違いない。

ベストソリューションがAIによる採用のオートメーション化であるとは思いたくないのだが、採用に人が介在する限り、不幸なミスマッチが生じてしまうのは事実だろう。(「あるべき姿」を目指して、人材採用のリテラシーやモラルを高めていくことが重要であることは言うまでもない)

だからこそ、履歴書や採用媒体におけるフォーマット / 構成は、無用なバイアスがかからないようなデザインであるべきだ。

ある程度認知科学の研究は成熟しており「どのような項目にバイアスがかかりやすいか」は明らかになっており、そういった部分でのベストエフォートを、常に考えていく必要がある。

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かんたん募集サービス「bosyu」を手掛ける株式会社bosyuが、2020年11月18日にbosyu Jobsの正式リリースを発表した。

bosyu jobsは「誰でもカンタンに、効率的な採用活動ができる」サービスだ。「就職(採用)活動で大事なことって何だっけ?」ということが徹底的に考え尽くされている、本質+未来志向のサービスだ。

bosyuのプロダクトマネージャー・きゅーいさんの見解が素晴らしい。

日本の採用活動においては「性別」「年齢」「居住地」どころか「顔写真」が判断材料になっていることは紛れもない事実です。
その主要因が、日本の多くの求人媒体や履歴書という文化です。(中略)
求人媒体によっては、応募があった際に「年齢」だけでフィルタリングして自動でお見送りする機能が備わっていたり、「性別」や「居住地」を検索条件として指定した上でスカウト対象の求職者の検索を行うことが出来たりと、実態として多くのケースで「性別」「年齢」等の利用を前提とした求人媒体の運用が行われていました。
これって本当にあるべき姿なのでしょうか?
(きゅーい / koyo「性別や年齢って、いつまで企業の選考で使われるんだろう?」noteより引用、太字は私)

至極真っ当な問題提起ではないだろうか。

そして残念なことに、こういった問題提起をもとに作られたサービスはとても少ない。なぜならサービスの多くは「利用者の需要」に応えるものだからだ。

ここでいう利用者とは、人事採用に携わる人たちのことだ。

きゅーいさんのnoteにもあるが、リクナビやマイナビなど、多くの求人媒体において「性別」「生年月日」の記載は必須項目となっている。これは利用者が、自身のバイアス有無を意図的に無視して「年齢や性別でフィルターをかけたい」というニーズがあるという証拠に他ならない。(もちろん、そのことを自覚し、公正な選考を行おうと努めている人事担当者もいる)

そのこと自体、痛烈な批判対象だし、何より人に関わる仕事をする上で恥ずべきことと言える。

そういった意味で、ゼロベースでサービス設計したbosyu jobsの関係者の皆さんの仕事を、心から応援したいのだ。




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堀聡太
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