農林水産省の#乳プラスワンプロジェクトから学ぶ「分かりやすさ」の設計方法
昨年末からの農林水産省の #乳プラスワンプロジェクト 、生乳廃棄が回避できたようで良かった。
僕はコミュニケーションの専門家ではないし、詳しい経緯もちゃんと追えているわけではない。だけど伝え方として学びになることが多かったので、簡単にまとめてみたい。
コミュニケーションを考える上で、「自分」「相手」「周囲(社会)」の3要素がポイントになる。
例えば学校で喧嘩があった場合、
・自分:○○くんが自分の鉛筆を折った。謝罪してほしい
・相手:XXくんが先にちょっかいを出してきた。謝罪するつもりはない
・周囲:○○くんとXXくんが喧嘩していてクラスの雰囲気が悪い。改善してほしい
という感じ。
形式的に○○くんが謝罪したとしても両者でわだかまりが続いていたら意味がないし、周囲のムードも重いままだったら辛いもの。もし僕が自分(XXくん)だったとしたら、謝罪を求めるのでなく冷静に対話して相互理解に務め、その後、自然にクラスに戻れるように働きかけるだろう。
という前提のもとで、 #乳プラスワンプロジェクトを振り返ってみる。
・(自分たちが)何に困っているのか
・(社会に対して)どんな影響があるのか
・(相手に対して)何を、いつまでに行なってほしいのか
彼らは上記を適切に設定していた。こんな感じだろうか。
・(自分たちが)生乳が大量に余っており廃棄しなければならない
・(社会に対して)もったいない。廃棄するにもお金や労力がかかる
・(相手に対して)いつもより牛乳を1杯多く飲んでほしい。年末年始に集中的に!
習慣的に牛乳を飲まない人も「牛乳は健康に良いし飲んでみるか」となる。家族内でも「酪農家さんが困っているから牛乳飲もうよ」と薦める口実ができる。たかが1日1杯牛乳を飲むだけだ。何のデメリットもない。
個人的には「年末年始」に期限設定したのが秀逸だったと思う。
意図的でなく、必要に迫られてのことだったのだろう。毎回コントロールできるものではないが、期限がきちっと決まっていれば、やることが明確になるという好例だった。
「牛乳飲んでください」
「年末年始に牛乳を飲んでください」
並べてみると、どちらが明確か一目瞭然だろう。
もちろん世の中、これほど単純な社会課題ばかりではない。
色々な要素が複雑に絡まり、一筋縄でいかないことも多い。
それでも「自分」「相手」「周囲(社会)」の3要素を念頭に置きつつ、具体的なメッセージを作れれば、相手は動きやすくなる。
企業におけるメッセージングだけでなく、もしかしたら、家族同士の対話でも使えるかもしれない。
「分かりやすさ」とは相手への配慮なのだ。