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ナイツ塙と北方謙三の共通点は、自責思考からの程よい回避である。

「あちこちオードリー」に出演したナイツの塙さんと、「情熱大陸」に出演した作家・北方謙三さんの発言に共通点を見出した。

ナイツの塙さんは、舞台で「スベった」とき、自分のせいだと思わないようにしているらしい。塙さん曰く「ネタのせいにしている。自分の子どもが非行に走ったようなもので、自分のせいではない」という趣旨だ。

北方謙三さんは、なかなか書けないときは「万年筆のせいだ」と思うようにしているそう。いくつか、こだわりの万年筆を使い回しているようで、「書けなかった」日の翌日は、別の万年筆に代えているのだとか。

これって、いわゆる他責思考に近い考え方だ。

自己責任の風潮から派生した「自責思考」のもとでは、全ての失敗は何かしら自分のせいであるという考え方に基づいている。もしあなたが会社の経営者だったとき、経営悪化を他人のせいにしますか?といったプレッシャーを、従業員にも求めるというもの。その考え方を否定するつもりはないが、行き過ぎるとちょっと窮屈さを感じてしまうのではないだろうか。

お笑い芸人として、そして作家として、長年その道の最前線を駆けてきたふたり。筆舌に尽くし難いほどの失敗も繰り返してきたのだろう。北方さんは「情熱大陸」で、不遇だった時代にパートナーなしでは生きていけなかったと告白している。ナイツも、いわゆる「ヤホー漫才」ができるまでは、爆笑オンエアバトルで泣かず飛ばずの成績に終始していた。なんと3勝7敗という成績である。(「あちこちオードリー」のMCを務めるオードリーもまた4勝7敗。2008年までは7連敗を喫していた)

苦しい時代を経験してきたからこそ、「おれには才能がないかもしれない」「おれはやっていけないかもしれない」と悩んだこともあったはず。どちらもすでに一流なわけだが、一流に至るまでの苦労があり、それゆえ多少調子が悪いときでも、自分のコンディションを鼻で笑うような“いなし方”を身につけてこれたのではないだろうか。

表面的な部分だけ受け取って、「そっか、おれのせいじゃない。周りのせいだ」と短絡的に考えてしまうのは安直だ。そうではなく、自責思考で潰れてしまう前に、程よく回避するような“調子の良さ”なるスタンスを恐れないということが必要なのだろう。特に現代においては。

自責思考か、他責思考か。そんな両極端に位置するほど、人生は単純ではない。そのグラデーションで揺れるからこそ悩みが尽きないと思うし、そして、だからこそ人生は楽しいはずだ。

大変なこと、山ほどある。大変なことに向き合うのはつらい。でも、向き合わないと始まらないことも結構ある。潰れないように、「いや〜、それっておれのせいじゃないよね、ぶっちゃけ」とテレワークの会議後にぼやいてみたって、なんぼの損にもなりゃしない。

おれのせいじゃないし、あなたのせいでもない。

悪いやつは、他にいる。そうやって自分を認めることから、オリジナリティ溢れるクリエイティブに目を向けていこうじゃないか。

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堀聡太
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