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東京のフォントを統一する。

東京にある街区表示板って、考えてみればバラバラで統一感がないんですよね。

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グラフィックデザイナーの色部義昭さんが手掛けた「WALL」というプロジェクトが面白い。

東京都にある街区表示板(街区を表示している細長いプレート)が、場所によって書式、書体、色、形などがバラバラになっている現状。それがその土地の個性と言えば聞こえは良いが、東京を訪ねる人にとっての利便性は低くなる。色部さんはそこに改善の余地があると考え、リデザインを試みた。

本展「色部義昭: WALL」は、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会開催都市が東京に決まったことを受けて設置された「東京デザイン2020フォーラム」でのプレゼンテーションをもとに具現化に向け発展させた「TOKYO PROJECT」の発表の場となります。同プロジェクトは、書式、書体、色、形がバラバラな現在の街区表示板、これらをリデザインし統一することで、クリアに所在地を示すという機能を高めるだけではなく、人々の記憶の奥底に静かにインプットされるような、新しい東京の顔つきをつくろうとするものです。
(ggg「色部義昭:WALL」より引用、太字は私)

整理されていない事象を整え、統一を試みるのはデザイナーにとって「腕を振る」い甲斐のある経験だろう。

だが普段馴染みのある地区の標識に「変化を加える」のは、それなりに当事者の思惑に手を入れることでもあり、非常に勇気が要ることだ。(様々なレファレンスのあるアルファベットならまだしも、日本語フォントへのチャレンジは大変だと思う)

もちろん本プロジェクトは構想中のものであり、現段階では自由な発想ができるという「アドバンテージ」はあるかもしれない。それでもデザインが推進力を持って、1つのミッションに向けて統一を図ろうとする色部さんのチャレンジは、デザイナーとしての矜持を感じさせる。

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色部さんは、日本を代表するグラフィックデザイナー・原研哉さんが代表を務める日本デザインセンターに所属している。

日本デザインセンター主催「VISUALIZE 60」でも、本プロジェクトが紹介されていた。2021年1月22日までVol.1が開催されているようなので、銀座周辺を訪ねた方は、お立ち寄りいただくことをお薦めする。

モノやコトの価値が明確になり、可視化されることの「気持ち良さ」は、言葉で語り尽くすより雄弁なときがある。デザインの意義を再認識できる良い機会だ。



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ほりそう / 堀 聡太
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