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編集補記(イラストレーター・Ricco.さん|ふつうごと)

昨年12月に取材した、イラストレーター・Ricco.さんの取材記事を公開した。

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多摩川沿いのイベントで出会った、似顔絵マシーン

僕が初めて「似顔絵マシーン」に遭遇したのは、昨年11月末。

正面に怪しげな目が描かれている、1メートルを超える白い箱。箱にはカジュアルで親しみやすいタッチの似顔絵が貼られていることから、「なるほど似顔絵を描いてくれるらしい」と分かった。

面白いのは、証明写真機っぽい企画だ。

お金(としてのカード)を挿入すると、2分足らずの短い時間で似顔絵が出てくる。「中の人」がいるのは分かるのだけど、あえて機械的に見えるのがユニークだ。

「なぜ」から全ては始まっていく

イベント後、Instagramで似顔絵マシーンのことを調べてみる。

企画の主は、イラストレーターのRicco.さん。

似顔絵マシーンとは別に、本業で生活情報誌やチョコレートメーカーのパッケージなど、主に企業向けのイラスト制作を手掛けている方だ。彼女のウェブサイトを見ると、たくさんの仕事を手掛ける「売れっ子」だということが分かる。

だからこそ、問いが生まれた。

本業とは別で、なんでこんな企画をやっているんだろう?

1回あたり600円という、かなり破格な値段設定。かなり野暮だが、「この企画はあまり儲かりそうにないな……」と感じてしまった。後から聞いた話だが、似顔絵マシーンは真夏も真冬も稼働するという。箱の中にエアコンはなく、ご本人いわく「劣悪な労働環境」とのこと。

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直接話を伺うと「描くのが好き」というシンプルな理由に行き着くことが分かった。

幼少期の原体験や、周囲への気遣いなどが合わさり、Ricco.さんの仕事が形作られていく。

Ricco.さんには、本業と、そうでない仕事に区別がない。仕事と趣味の境界線は曖昧で、「相手に喜んでもらいたい」という思いがあるだけだ。

仕事の意義、やりがいについて

仕事は楽しいですか?

そう問われたことは、誰しもあるだろう。即答できる人は、それほど多くないだろう。

頭の良い人であれば、過去〜現在〜未来の時間軸をイメージし、相手に伝わりやすいような「カタチ」で表現できるだろう。前職で人事採用の仕事をしていたときに、色々なキャリアプランを聞いてきたが、驚くほど解像度の高い人生計画を語れる人が何人かいた。

それが間違いだとは言わない。というか、確かめようはない。

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僕がひとつ言えるのは、過去〜現在〜未来の筋が通っていなかったにしても、人生は正解になり得るのだということ。

Ricco.さんの「描くのが好きなので、仕事は断らないんです」という言葉には、どこか成り行き任せの雰囲気があったりもする。

結果的に、Ricco.さんは、描くことを続けている。好きだから、という理由だけで、これからもきっと描き続けていくだろう。

確かめようはないけれど、確かなことのように聞こえたのだ。

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遅筆ゆえに、記事の公開がかなり遅れてしまった。

だけど偶然なことに、仕事や学業、新生活がスタートする新年度のタイミングで記事を公開することができた。

Ricco.さんのことを知らない方でも、何か感じていただける言葉があるはず。記事が、明日からの活力になれば……というのは欲張り過ぎかもしれないけれど、きっと「仕事とは何か?」を捉え直すきっかけにはなるはずだ。

ぜひ、お時間あるときに読んでもらえたらと思います。

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ほりそう / 堀 聡太
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