オープンワーク株式会社(2022年12月16日)|事業計画及び成長可能性に関する事項の雑感
グロース市場に上場している企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」をチェックしています。(過去アーカイブはこちら)
今回、読んだ資料は、オープンワーク株式会社です。
先週グロース市場に上場したスカイマーク株式会社、株式会社スマートドライブに引き続き、2日前に上場したオープンワークの「事業計画及び成長可能性に関する事項」の資料を読み解いてみたいと思います。
オープンワーク株式会社(2022年12月16日)
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目を見張るのは営業利益率の高さです。2022年度の計画は5億7千万円の売上で28.9%(2021年度は21.1%)と高い営業利益率を誇ります。
現在発表されている従業員数は82名ですから、一人あたりの営業利益は700万円です。会社説明資料によると2021年もほぼ同じ従業員数のようで、3億24百万円÷81=約400万円です。従業員を「増やす」ことで収益性が上がるという構造ではないことがわかります。
P17でも「OpenWorkリクルーティングへの先行投資フェーズが終了。今後はOpenWorkリクルーティングの成長で利益率の拡大を目指す」とありますので、会員数が増えれば増えるほど、損益分岐点をぐいぐいと上回るようなビジネスモデルになっていることが予想されます。
こういった口コミ系のサイトは競合他社も展開してきました。模倣可能なビジネスなので、シェアを取ったところが総取りの傾向にあります。これまでもリブセンスやエンジャパンなど、求人サイトを運営しているところが事業シナジーを狙って、こちらの事業拡大を目指してきました。オープンワークの場合、職種比率としてエンジニアは26%とめちゃくちゃ多いわけではないですが、取締役であり開発部門責任者を担う池内駿介さんによるテック・カルチャーとしての組織力を「強み」として事業推進が実現されてきたのかなと思います。
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オープンワークにとって何より朗報なのは、事業の柱として「OpenWorkリクルーティング」が育ってきたことです。2019年は1億円にも満たない売上でしたが、2022年には8.6億円の売上見込みとなり、基幹事業である「OpenWork」に追いつこうとしています。
おそらく2023年度には「OpenWorkリクルーティング」が追い越すでしょう。人材確保には各社困っているわけですが、とりわけ「OpenWork」のデータベースには、それなりに優秀な人材が集まっている証だともいえます。
料金プランも極めてシンプルです。似たような料金プランはアトラエが運営している「Green」型ともいえます。Greenは最近、職種によって料金体系を変更する意思決定をしましたが、それに比べると「中途採用は一律80万円」というのは分かりやすいし、Greenに比べたら割安感があります。
求人サービスはどこか圧倒的に突き抜ける企業がないのは、後発サービスが割安感のある料金プランを常に提示し続け、スイッチングコストが低いビジネス環境にあるからかなとも思いました。(そういう意味では、伸びているオープンワークとて油断はできませんが)
会員にとっては、企業の良質な口コミ情報を得られ、そのまま迷いなく転職に進むことができる。「入社後にギャップを感じたか?」のアンケートで、ギャップなしと答えたのが91%というのは、他求人サービスに比べると、サービス使用の満足度が高いものと見受けられます。
もともとの社名であるVorkers時代から、オープンワークは統計や市場全体のことに目を配るようなプレスリリースを打っていました。カルチャーとしても、労働市場に向けて「良いことをしよう」というのが根付いているようにも感じ、信頼につながっているのではないでしょうか。
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ちなみに現在の代表取締役社長の大澤さんは、株主であるリンクアンドモチベーションから移り、2020年から現職に就きました。創業者のオーナーシップでなく、高い経営能力のあるリーダーが社長を務めるのが「珍しいこと」ではなくなったような感があります。
上場というフェーズは全く想像もできないのですが、色々な経営判断や難しい局面もあったのでしょう。P7にある通り、日本の労働市場には「個人が「働く」に関する意思決定をするための仕組みが十分ではありません」という課題がいまなお残っていると感じます。
オープンワークには引き続き、企業にとっても、働く個人にとっても、お互いが交渉力を高めた状態でマッチングできる未来を作ってほしいと切に願っています。
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こちらに過去調査した企業のアーカイブをまとめています。
よければ、ぜひ覗いてみてください。
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