「自分のご機嫌をとる」の反対側で佇む横浜流星
フジテレビ「まつもtoなかい」に横浜流星さんがゲスト出演していた。
松本人志さんも指摘していたように、最初の登場からゆっくりで、自らのペースを守っていた横浜さん。ホストの松本さんや中居さんが横浜さんの平常心を崩そう(=本音を引き出そう)と務めても、冷や汗ひとつかかない横浜さん。横浜さんの熱心なファンというわけでもなかったが、なるほど、これが横浜さんの魅力のひとつかもしれないと思えた。
「まつもtoなかい」のコンテンツ力の大半を占めるのは、言うまでもなく、松本人志と中居正広という人間力だ。シーンは違えど、それぞれ業界の第一線を駆け抜けてきたプロ中のプロである。知名度も高い。そんなふたりを目の前にすると、(いくらゲストが人気があろうとも)雰囲気に呑まれてしまう。その状態で、うっかりと本音が吐露され、「ここでしか聞けない話」が聴けるというのが番組のミソだと思っている。
だが、先週末放送の、横浜流星さんの回は不思議な感じだった。
「僕は面白い人間ではないんですよ」と話す横浜さんの言葉は、間違いなく本音であるけれど、それは引き出されるようにして放たれた言葉ではなかった。取り繕うことなく、質問に対する誠実な答えが、「僕は面白い人間ではないんですよ」というものだった。それはどうして生まれたのか小一時間考えてみたけれど、答えは浮かばなかった。
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若干、こじつけた発想かもしれないが、横浜流星さんの自然体な回答の真逆に位置するのは、「自分のご機嫌をとる」という考え方ではないだろうか。
いや、別に「自分のご機嫌をとる」という行為を否定したいわけではない。だが、本来使われていた「機嫌をとる」とは、他者に向けられた言葉であったはずだ。それが自分という内向きな形で使われていることに、ちょっとした違和感(繰り返すが、ネガティブな意味だけではない)を抱いたのは事実で。
たぶん、横浜流星さんは、「自分のご機嫌をとる」ことはしないだろう。「自分のご機嫌をとる」というのは、意図的に、何かしらのアクションを自らのために奉仕する行為なわけだが、横浜さんはそういうことをしなくとも自然体で生きていける人なのだ。
「趣味はありますよ、映画とか観たり」
と言った直後に、松本さんが「そりゃ本職やからね」と突っ込んだのはさすがだと思ったけれど、それ以上にすごかったのは、「ボクシングの方が面白いと感じたら、そこにコミットするために役者は辞める」と言い切ったことだ。それもあまりにあっさりと放たれた言葉であって、その場でツッコミは全くなかったほどだったけれど、すごい覚悟だなと感じた。しかし「すごい覚悟だな」と、瞬間的に感じさせないほど、自然にその言葉は横浜さんから放たれていた。
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先週の「まつもtoなかい」は、音楽コーナーが割愛されていた。
ゲストのトークをみっちり聴ける1時間の方が、僕は良いなと思った。2025年の大河ドラマの主演に選ばれた横浜流星さん。その活躍が、今から楽しみである。
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