ゆるい幸せとは、だらっと続いてしまうもの。(高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』を読んで)
「たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする」と書いた浅野いにおは、幸せなんて、いつ行方不明になるか分からない概念を常に疑い続けている。
浅野よりも8つ年下の小説家・高瀬隼子が、「ソラニン」という漫画を読んでいたかは定かでないが、その「ゆるい幸せ」の怖さを痛いほど理解しているのは間違いなくて。
たぶん、ゆるい幸せを続けようとする人はない。
だけど、ゆるい幸せとは、だらっと続いてしまうものなのだ。
そんな「蟻地獄」のような“地獄”にハマったり、ハマるまいと抗ったり。『砂の女