【人間中心の経済学】E•F•シューマッハー
『スモール イズ ビューティフル』
E•F•シューマッハー 著
小島慶三・酒井 つとむ 訳
講談社学術文庫 (1986.04.10)
近年、これまでの資本主義(拡大成長の資本主義)から「自然や人に優しい社会への見直し」が云々されています。
経済の成長と自然環境のバランスの議論は、アダムスミスの時代から云々されてきました。
その一人 E•F•シューマッハーの『スモール イズ ビューティフル』を読んでみる。
この本が 出版されたのは 1973年(昭和48年)
【1973年】wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1973%E5%B9%B4
【1973年の日本】wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1973%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
【あの日あの時】1973年(日本)
https://www.jrt.co.jp/radio/natsumero/anohi/anohi02-S48.htm
1973年
エネルギー問題へ世間の関心と危惧が にわかに高まった年
この本の構成
第一部:経済学の在り方 (仏教経済学)
第ニ部:さまざまな資源
第三部:第三世界の開発と中間技術
第四部:企業組織の問題
仏教経済学( Buddhist Economics)
ドイツ生まれのイギリス経済学者、エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーによって、1966年に提唱された経済学で、応用仏教学の1つである。寺院経済学ではない。
仏教経済学は簡素(少欲知足、無執着)と非暴力を基本とし、最小資源で最大幸福を得ることを目的とし、経済として自利だけではなく利他も目的とする。
これに対し、資本主義的経済学では、物資の消費量を幸福の指標とし、自利の追求のみを目的としているため、正反対である。
wikipedia【仏教経済学】
本のタイトルの基になった
『スモールイズビューティフル』
当初『ふるさと派(ホーム・カマーズ)』となる予定だったが、原稿を読んだ編集者により「小さいことはすばらしい」との一文から『スモール イズ ビューティフル』に決まったと云う事です。
【本文より】
人間は小さいものである。だからこそ、小さいことはすばらしいのである。
巨大さを求めるのは、自己破壊に通じる。
では、方向転換には どれくらいのコストがかかるのか。生き残るためのコストを計算するのは邪道だと云うことを忘れてはならない。
もちろん 価値あるモノはタダでは手に入らない。
技術の方向を切り替えて、人間破壊ではなく、人間に奉祀させるには、何よりも想像力を働かせ、恐れを捨てる努力が必要である。
第五章 人間の顔をもった技術
p.211
1971.10.23.ロンドンでの講義録より
【結び】
科学・技術の発達に夢中になり、現代人は ▶ 資源を使い捨て、自然を壊し、人間を不具にするような社会を作り上げてしまった。▶ カネは万能とされた。▶ 非物質的な価値はカネで買えなくても、その他のモノはカネさえあれば充足出来るというわけです。
▶ 生産を増やし、富を手に入れることが 現代の最高の目標になりました。
▶ 教育と云う資源を使い動員して、公害と戦い、野生の動植物を保護し、新しいエネルギー資源を開発、平和共存の協定を結びさえすれば「手なづける」と信じている限りは 問題から逃げていることになる。
では、どうしたらいいのだろうか。
「道徳的な選択」とは。
四つの基本道徳
【正義】真 justitia
【勇気】善 fortitudo
【節制】美 temperantia
【知恵】以上の3つの徳を結ぶ prudetia
pp.380〜387.
【講談社】ブックレビュー
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000150331
2021.03.22