牛の目ってかわいい【ファースト・カウ】
観ている最中はずっと「ドーナツ食いてえ」という思いがひたすらぐるぐるまわり、最後のシーンは「え、これで終わった?」と唖然としてしまったというくらいピンときていなかったんだけど、映画館を出てエスカレーターを降りている頃にやっとじわじわと「ああ、いい作品だったな」と感じてきたというこの作品。
そもそも、メッセージをガンガン突きつけてくる作品に対して全部受けきってやるぜ!と応じる鑑賞スタイルが基本なので、こういう作品は得てして苦手なわけですが…
開拓時代の社会の隅っこでひっそりと小さな成功を夢見て語り合う、特に何も持たない男たちの物語。一攫千金を狙うひたすらマッチョな男たちや、帝国主義のめんどくさいおっさんたちが織りなすグロい社会を描きつつも、そんな社会で彼らが見出した、新しいブーツや牛との会話、自作の泡立て器とかにある幸せって。
そう考えると、はじめにピンとこなかったエンディングが、とても感慨深いものに思えたわけですね〜(遅い)。結局、噂通りの傑作でした。