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【Netflix】『阿修羅のごとく』ドラマ感想文・修羅場にするもしないも女の一存

近所で撮影があったこともあり、とても楽しみにしていたドラマです。2日かけて全7話見ましたが、かなり体力を使うドラマでした。面白かったです。

夫婦揃って視聴できるご家庭は幸せだと思いますね。私はもちろん、ひとりで鑑賞しました(笑)

奇跡のキャスト!

あらすじ

日本のホームドラマの礎を築いた名脚本家、向田邦子の最高傑作と評されるドラマを、是枝裕和の監督・脚色でリメイクしたNetflixシリーズ。物語の中心となる四姉妹を、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが演じる。

原題:阿修羅のごとく
製作国:日本

『映画.com』より引用


撮影のこと

このドラマのことはかなり早い段階で知っていました。

家に「近隣での撮影のご連絡」という紙を持った方が来られまして、これこれこういう撮影がありますと説明されたからです。

父が対応したのでいまひとつ要領を得なかったのですが、後から紙を見ると、是枝監督による『阿修羅のごとく』、キャストは宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずと書いてありました。

もう、監督とキャストと作品にびっくり!です。

蒼井優さんが自転車に乗るシーンの撮影だそうで、見たくてしょうがなかったのですが、お邪魔になってはいけないので我慢です。

落ち着かないので当日は朝から映画館に出かけ、3本ハシゴして夕方帰ってきました。

もちろん撮影はすっかり終わっており、夫が蒼井優さんの「おつかれさまでーす」という声が聞こえたと言っていました。

くやしい、私も聞きたかったよ…。

そのシーンはドラマの本当に冒頭、自転車を漕ぐ滝子がアップで映る場面です。背景はぼかしてありますが、近所なので分かりました。

ほんの何秒かのシーンでしたが、時間をかけての撮影、本当に大変だなぁと思いました。

感想(ネタバレ含む)

(ちなみに、私は1979年、1980年のドラマ作品をまだ見ていません。近々見る予定です。森田芳光監督の2003年映画は、今作の後に配信で見ました。)

森田芳光監督の映画は、ドラマシリーズと違って時間が短いので、比較しにくいですね。印象的な場面、セリフはほぼ同じでした。

ふじ(母)がもう少し長生きだったのと、滝子、咲子の結婚が早かったこと、綱子の不倫、巻子の夫(鷹男)の不倫は今作ほど長く引っ張っていませんでした。

さて、今作は四人姉妹が集って会話の応酬をしている場面だけでも、このキャストですからひじょうに見応えがあり、贅沢な気持ちになります。

現在の日本を代表する俳優さんたちなので、皆さんエグいほど巧いです。

豊潤で全てが素晴らしいのですが、私の心に残ったシーンを挙げてみます。

宮沢りえ(長女・綱子)
和装で生け花の先生、という割には欲望に忠実な自由人といった印象。
差し歯が抜けたシーンも可愛かったのですが、何といっても玄関先での夏川結衣(本妻)との対決。
着崩れた長襦袢も色っぽく、言い逃れできない状況に水鉄砲を向けられて腰を抜かす…お見事でした。
その後の夏川結衣の高笑い&ふらつき退場も最高です。彼女も料亭の女将だけあって、肝が座っているのが素晴らしい。わたし夏川結衣好きなんです…。

尾野真千子(次女・巻子)
四姉妹の中では唯一はじめから夫と子どもがいて、家庭を持っているだけにしっかりせざるを得ない立場。
なんとなく、江利チエミの演じたサザエさんを思い出させる風貌でした。
夫の浮気を疑い、心に秘めて苦悩していたため、母への深い共感につながりました。
父への怒りは夫への怒り(その場にいる)でもあります。
母の寝ている病室で、感情が押さえきれず浮気している父を罵倒するシーンはまさに「オノマチ劇場」。
(お母さん、寝ているけど耳は聞こえているんじゃないでしょうか。)
ギャラリーも凄いです。そこにいるのは國村隼と尾野真千子の他に、松坂慶子に宮沢りえ、蒼井優、広瀬すず、本木雅弘という顔ぶれ。
カットがかかった後、拍手が起こったのではないかと想像しました。
いいもの見たわ〜!というシーンでした。

蒼井優(三女・滝子)
生真面目でかなりこじらせた感じですが、姉妹の中で一番共感できる女性でした。
脚立の上で勝又(松田龍平)に抱きつかれたところの返しや、その時のなんだか野暮ったいズボン姿、また、ウエディングドレス姿も良かったです。
いつもカリカリ怒っているのが可愛かったのですが、終盤で咲子のピンチを救ったところは姉妹の関係性を表現する重要な場面であり、心動かされました。
後でヘナヘナと崩れ落ちるところまで、素敵でしたね。

広瀬すず(四女・咲子)
本当は健気なのに派手な言動がクローズアップされて誤解されがちな末っ子。
宗教にハマっている義母が高畑淳子だなんてハードモード過ぎて、ここ誰かもっと触れてあげて…と泣きそうになります。
すずちゃんの印象的なシーンは、それまでプロボクサーの妻として気を張っていたのが、夫の再起不能で心折れ、弱さを見せたところでしょうか。
中島歩演じる男に優しくされて引っかかり、追い詰められるのですが、その弱った姿がなんとも美しくはかなげで、演技の底力を感じました。

あと、巻子の娘役の野内まるさんが個人的に良かったと思います。ナチュラル過ぎるほどにナチュラルな中学生で、まるで素のようだったのです。
この子上手い! 覚えておこう! と心のメモに書き留めました。

それにしても、こんなにこじれた一族、いっそ不倫も夫婦も皆別れて解散すれば…なんて。

今だからそう思えるんですよね。

昔は良かったと言う人がよくいますが、当時は当時で大変だったのです。

昭和のお母さんは相当我慢して暮らしていたと思います。お父さんは威張っていましたしね。

結局、身内の前で阿修羅を見せなかったのはお母さんだけでした。
あのミニカーを襖に投げつけた一瞬と新聞への匿名投稿。
切ないけれど、あとから娘たちは理解したことでしょう。

いやぁ〜お腹いっぱいになりました。非常に面白かったです。




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