模擬授業9「一次不等式の解法(2)」
2003年4月2日(水)、TOSS中高東京サークル第5回例会での、模擬授業5分。
模擬授業
東京書籍『数学Ⅰ』p43、例6
全体を見る。教体を正す。
指示1 43頁、例6を指で押さえます。
「早い。」
指示2 みんなで読みます。「一次不等式」、さんはい。
「一次不等式4x+5<17を解くには、」
発問1 何を解くのですか。
みんなで言います。「一次不等式4x+5<17です。」
指示3 式をノートに書きます。。
書けた人は書けましたと言います。
指示4 続きを読みます。「5を」、さんはい。
「5を右辺に移項して」
指示5 移項した式をノートの次の行に書きます。
みんなで言います。「4x<17-5です。」
指示6 整理した式を次の行に書きます。
みんなで言います。「4x<12です。」
発問2 両辺を何で割るのですか。
この質問は簡単です。それはなぜですか。「教科書に書いてあるからです。」
指示7 両辺を4で割った式を書きます。
みんなで言います。「x<3」
指示8 問5。(1)ができた人は見せにきなさい。
(1)で丸付け、(2)ができた生徒を板書。
模擬授業「一次不等式の解法(2)」のテープ起こし。
はい、一次不等式の解法のプリントを出します。出した人は、出しましたと言います。
プリントを取りに行く人もいる。
「出しました。」
「はい」を削る。
早い。すばらしい。
プリントを探して人がいる。
教科書42頁、「2 一次不等式の解法」。例5を指で押さえます。
まだ、授業準備できていない人がいる。
お隣さんと確認です。
「押さえました。」
はい、みんなで読みます。「一次不等式」、さんはい。
「一次不等式4x+5<17を解くには、」
「はい」を削る。
はい。何を解くのですか。みんなで言います。さんはい。
「4x+5<17です。」
かしこい。
本気で言ってない。
はい、ノートに式を書きます。
「はい」を削る。
書けた人は、・・・書けましたと言います。
「書けました。」
板書。
「書けた人は」で、生徒が「書けました。」と言えるようになってほしい。隠れ指示。
はい、早いですね。
もっと、言葉を削る。「早い。」でいい。
はい、続きを読みます。「5を」、さんはい。
「5を右辺に移項して」
「はい」を削る。「さんはい」も「はい」と少しずつ削る。
はい、5を右辺に移項した式を次の行に書きなさい。
「はい」を削る。
書けた人は、書けましたと言います。
「書けました。」
誉めていない。
念のため、みんなで言います。さんはい。
「4x<17-5です。」
はい、その通り。
板書。
「はい」を削る。
整理して簡単な式を次の行に書きなさい。念のため、みんなで言いましょう。さんはい。
「4x<12です。」
指示が明確でない。「整理した式を次の行に書きなさい。」とする。
「みんなで言いましょう。」は「みんなで言います。」に統一する。
かしこい。
板書。
本気で言っていない。
両辺を何で割るのですか。この質問はとっても簡単です。なぜですか、山本さん。
全員で言わせたほうがいいので、介入。
両辺を何で割るのですか。みんなで言います。さんはい。
「4です。」
かしこい
「かしこい」が多い。「そうだ。」の方がいい。
4に赤丸をつけます。ここです。
空気がにごった。「ここです。」で板書で例示で、何とかなった。
指示が明確でない。「ノートの3行目、4x<12。4に赤丸をつけます。」とする。
4は正の数です。正の数で割ると不等式の向きはそのままですか、逆ですか。どちらかを答えます。みんなで言います。さんはい。
「そのままです。」
その通り!
今までよりは、心がこもっていた。
「その通り!」より、「そうだ!かしこい!」とここではもって誉めた方がよかった。
はい、まるっきり同じように問5。(1)ができた人は見せにきます。
「はい」を削る。
「問5をノートに解きなさい。まるっきり同じようにやるんですよ。」とした方がよい。
赤ペンを自分の机に取りに行く。
机間巡視をしなかったので、介入。
はい、いいですね。同じように(2)もやってごらん。
はい、いいですね。出し方もいいですね。
その通り。
(2)ができた人も見せにきてごらん。
検討
1.43頁としての模擬授業をする。「この質問はとっても簡単です。」は、教科書最初の方でする発問。(山本雅博氏)
2.できる生徒に対して、もうひとつ知的な工夫がほしい。教科書を書き写しいるだけと言うレベルの高い生徒もいるのでは。(鈴木良治氏)
3.「<」の読みが気に書きになってしまった。読み方がロボットみたい。(大谷直紀氏)
4.わかりやすかった。(小中原愛氏)
5.とってもわかりやすい授業。丸をもらえた。個別で見てもらえて、みんなで答えあわせをするよりも嬉しい。(星美穂子氏)
6.「何を解くのですか」で「不等式」だと思った。(鈴木太郎氏の左側の女性)
7.大変落ち着いたテンポですすめていた。丸のつけが少し雑なので、丁寧つけるともっといい。(鈴木太郎氏)
8.さらに削れる部分がある。(前川孝志氏)
9.丸と四角の2つを囲う理由が伝わってこなかった。(澤田富雄氏)
分析・自評
1.発問2の後、「この質問はとっても簡単です」としたのは、例題のポイントとなる「4(正の数)で割る」を全員に意識させ、答えさせたかったという意図があった。全員に教科書を確認させ、ポイントであることを意識させ、100%全員に答えさせるために、「みんなで言います。」の前に「この質問は簡単です。」は、必要だと考えた。
2.できる生徒へ知的な工夫が必要。できる生徒が飽きないようにリズムとテンポで対応。
3.教師が明朗にテンポよく読む。
4.「何を解くのですか。」で、発問・指示をもっと明確にする。「何を解くのですか。式をみんなで言います。」
5.丁寧に丸のつける。
6.もっと言葉を削る。
7.丸は正の数で割ることを意識させるため、四角は不等号の向きがそのままであることを意識させるため。負の数で割ると、不等号の向きが変わることが次の例題。
8.ほめ言葉が「かしこい」が3回も出ている。確認の発問に対しては「そうだ。」、本当に重要な発問に対して「かしこい。」と心から言うようにする。