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innotalk: アイディア創出ワークショップに参加すると 何故、人はポジティブになるのか?

ワークショップを研究対象としてデータを取得し、そのデータを解析して知見を得て、それをi.schoolのワークショップの質を向上することに生かすということを継続的にしておりますけれども、その成果を一部ご紹介したいと思います。
 
今日のテーマはなぜ人がポジティブになるのかっていうことですが、その前に、ChatGPTに代表される生成AI についてお話したいと思います。
 

1.ChatGPT等の生成AIの発展

 ChatGPTを始めとして生成AIがブームになってますし、アイデア創出にChatGPTを使われてる方もすでにたくさんおられると思います。こうした生成AIに対してi.schoolとしてどういうスタンスをとるのか、どう考えているのかということを表明しておくべきだろうと考えて最初にお話しさせていただきたいと思います。
 
これまでに人工知能に関するブームが3回あって、今4回目のブームだと言われていますけれども、人工知能に対する期待が裏切られてブームが去っていくっていうのが過去の歴史だったけれども、今度は違うのではないかと思います。既に使われた方がたくさんおられると思いますが、有能な部下あるいは同僚ができて、プロンプトを工夫することによってその能力は高めることができて、どんな指示を出すのかによって、その部下のパフォーマンスが変わってくると感じておられる方も多いと思います。
 
GPT3.5がGPT4になったように今後生成AIの学習データの規模が拡大し、モデル化が高度化され、さらに発展することは間違いないことだろうと思います。
 
ビッグタスクとスモールタスクという区別が必要です。一つのプロンプで対応できるものがスモールタスクです。スモールタスクをこなすためには現状の生成AIは十分使えるものになっていますが、プロンプトシークエンス、すなわち、いくつかのプロンプトを順番に与えていかなければいけないようなビッグタスクについては、どういうプロンプトシーケンスを使うのかという設計が必要になってくると思います。ワークショップのプロセスを設計するという作業とこのプロントシーケンスをデザインするっていうことはかなり類似性があって、同じようなことをやっているのだろうと思います。我々が提供している教育プログラムである i.school や JSIC school は、プロントシークエンスを作成する能力を高めるための有効な手段ではないかと思います。ChatGPTを使いこなせる人になるために、まず業務の中でスモールタスクにプロントトを工夫して生成AIを活用していく、ワークショップの中で生成AIを活用していくことによって能力が高まっていくということもあるでしょう。しかし、適切なプロンプトシークエンスをデザインするということは、i.schoolとかJSIC School で学んで、身につけていくべき能力なのではないかと思います。
 
生成AIは黙っていても発展するわけですけれども、黙っていては発展しない方向はあると思います。その1つが熟達者AIというか達人AIの開発であると思います。分かりやすいように例としてあげますけれど、隈研吾の建築のような建築を生成することは容易にできますが、隈研吾が創造する建築を生成することは今のAIにはできないのではないかと思います。
 
どこに差があるかということですが、機械学習では学習できない経験値等の暗黙知が熟達者にはあるわけで、それはインターネット上にあるデータを機械学習したとしても学習できないものがあるのではないかと思います。それが熟達者の経験知というものだと思います。過去によく言われた暗黙知の形式化ということですけど、そういうものをどうやって学習していくのかが課題となります。普通の機械学習の方法ではない学習の方法が必要になると思います。
 
熟達者研究が1980年から2000年頃に20年ぐらいかなり熱心になされました。人工知能研究の中で、最初は簡単な問題を回答できるようにし、だんだん難しい問題を回答できるようにしていった時に壁があって熟達者のようになかなかならなかった。そこで熟達者と上級者、初心者と何が違うのかを様々な分野で調べられた。芸術とか、ピアノを弾く、テニスのコーチなど、あらゆる熟達者が研究された。その結果、熟達者になるためには分野を問わず10年かかるということが分かりました。10年は、熟達者になるために必要な情報量と人間の学習に必要な時間だと言われています。寝ている間に海馬によって短期記憶が長期記憶に移転されますが、その速度によって決まっているのではないかと考えられました。10年は熟達者になるために必要な時間ですが、10年努力すればだれでも熟達者になれるわけではありません。
 
モーツァルトみたいな天才がいるじゃないかという話もありますが、ある人がモーツァルトの全曲集を調べたところ、モーツァルトの全曲集だから幼少期の曲も採録されているけれど、6歳から始まった英才教育から10年経って作られた曲から質が高まっているのだそうです。
 
熟達者になるベストな方法は、熟達者の徒弟になることだと言われています。時間を共にして様々な指示を熟達者からもらうことが重要だと言われています。
 
これから生成AIの発展方向として、達人AIの開発があると思います。熟達者にAIが丁稚奉公し、熟達者AI、達人AIを開発するということです。熟達者は人間ですが、学習する方はAIですから、経験知を学習する時間が10年から短縮することが可能であると考えられます。教える側の熟達者が人間なので、それなりの年数は必要なのだと思いますが、10年はかからず、1年とか3年とかいう期間で熟達者AI、達人AIのは開発できるだろう思います。
 
どうやって学習するかがポイントですが、まずは文字情報の熟達者からスタートしていくのがいいだろうと思います。i.schoolのアイディア創出法はその候補であろうと思います。
 

2.アイディア創出ワークショップの3つの機能

アイディア創出ワークショップには大きく分けて3つの機能があるのではないかと思います。新規性・有効性の高い製品・サービス等のアイディアを生み出すという本来の機能に加えて、参加者をポジティブにする、マインドセットを変えるという機能、組織の文化・風土を向上させるという機能もあります。1番目の機能は、生成AIが発展し、さらに達人AIが開発されれば、アイディアの質ということについての重要性は少し薄まるのかもしれませんが、2番目、3番目の機能、人をポジティブにし、組織の文化・風土を向上するということについては、生成AIでは実現することができません。従って、引き続きアイディア創出ワークショップは必要だと思います。
 
肌感覚としては、アイデア創出ワークショップに参加することによって人は
前向きになっていくというのは実感しています。それを具体的に捉えておくことは重要です。今回のテーマは2番目の機能にフォーカスを当て、どんなことが実際起こっているかを見ていきます。

3.心理的資本の変化

心理的資本という概念があります。知識、能力、資質など、試験をすれば測れる人的資本がに対して、心理的資本はポジティブな心理的状態を表すもので、自己効力感、希望、レジリエンス、楽観性という4つの指標で表せるような性質を含んだものです。心理的資本の計測手法としてアンケート調査法が世界中で使われており、世界的な評価のあるアンケートの簡略版で12の質問に答えることによって測ることができます。 

高校生に i.school のワークショップに参加してもらいワークショップの前と心理的資本と終了後に心理的資本を計測しました。心理的資本は1~6の数値として表されますが、参加者27名の数値がどう分布しているのかを表すています。

事前と事後を比べると、ワークショップ終了後の高揚感もあるとは思いますが、ワークショップが心理的資本を増加させる事が分かるかと思います。

この結果は参加希望者に対するワークショップのもので、参加希望によらない別のある高校1年生、学年全体に対してワークショップを行った結果を示します。

ワークショップのテーマは先端科学技術を活用して未来社会のニーズに応える製品・サービスです。私が行ったのはアイディア発想、共有、評価、発表を2コマ50分かけ2回、2組ずつ人数が多いので2回に分けて行いました。その前に授業時間を取っていただいて目的分析と手段分析を先に終え、講演をした上でアイデア発想をしました。ワークショップの最中に各チームのテーブルにICレコーダーを置いて録音しました。ICレコーダーの数に限りがあったので3台置けたチームと1台のチームあります。3台置けたチームは話者特定ができますので、会話の偏り・均一性を調べることができます。

心理的資本の増加量をプロットしてみると、平均値は微増しています。事前の心理的資本が大きいほど心理的資本が減少する傾向があります。ワークショップをやってみたら現実が分かって心理的資本が若干減少すると理解できるかもしれませんが、極めてバラツキが大きいということが言えます。
 
チームの平均値を取ってチーム別の心理的資本を調べてみると、チーム別の心理的資本はチームによってかなり違いがあることが分かります。

横軸には発話時間比率、すなわち発話している時間のトータルの時間に対する比率をとりました。縦軸は心理的資本のチームの平均値を示しています。
計測はアイデアの共有評価の時間だけでアイデア発想の時間、休憩の時間、プレゼンの時間を除いて純粋にグループワークをしているところだけを取りました。
 
3組の5班、3組の3班のように心理的資本の値が増加しているチームもありますが、4組の2班のように心理的資本の値が減少しているチームもあることがわかります。

両極端の2チームを取ってチームメンバー別に心理的資本の値の変化を見てみます。3組の5班の理想的なチームの結果を見てみます。5人のチームですが、事前の心理的資本が大きい順に青の線で示しています。赤の線のようにワークショップ終了後に変化しました。全員の心理的資本が増加しています。そのうち3人は6点という上限にかなり近いところまで増えています。

それに比べて4組の2班は、緑の線の事前で4点を超える数値を示しているメンバーも2人いたんですが、ワークショップ終了後は紫の線のように数値が低くなって、全体として平均値が下がってしまったということが示されています。ワークショップ前の事前の心理的資本が高い方が、事後の心理的資本の増加量が大きいという傾向がありそうですが、もう少し詳しく調べてみる必要があると思います。

3.元気で活発な会話

会話の活発さの影響を調べてみます。発話時間比率を横軸に取りました。0.5ということは半分の時間は誰か喋ってるということを表しています。チームによっては6割程度の時間しゃべっています。会話が活発であると確かに心理的資本が増加するチームもありますが、会話が活発であっても心理的資本が増加しないチームがあります。例えば4組の5班はよくしゃべっているが心理的資本は増加していないことがわかります。

EmpathというAPIを使って音声の感情分析を行いました。calm (平常)、anger (怒り) 、joy(喜び) 、sorrow (悲しみ) 、energy (元気度) に対して0~50の範囲の値として出力されますが、energy (元気度) に着目します。5秒間の音声データで音量の高い上位3回のenergy (元気度) の平均値を計算します。
 発話時間比率にenergy (元気度) を掛け合わせて表示してみました。


ばらつきはかなり大きいけれど、ある程度元気で活発な会話で心理的資本の増加を説明できそうです。但し、元気で活発な会話と心理的資本の増加との間には相関関係があるということであって、因果関係については不明です。
 

4.アイディア数

ワークショップはAPISNOTE(エイピスノート)を使って実施しました。APISNOTEは i.school/JSIC で開発された電子付箋Webツールで、アイデア発想に特化したものです。活動記録を全てデータ記録(JSON, csvでエキスポート) し、分析ができるというところにあります。
 
APISNOTEの結果を使って分析してみます。アイディア発想の数です。薄赤と濃い赤のノートの新規作成数を横軸に、縦軸には心理的資本の増加を取ると、アイデア数が多いほど心理的使用の増加が大きいという傾向が現れます。ただし、ばらつきもありますし、外れ値もあるので個別に調べていく必要がありますが、アイデアをたくさん生み出すことができたチームは心理的資本が増えているということがわかります。

元気で活発な会話がなされているという事とアイディア発想がうまくいってるっていう2つの事柄から心理的資本の増加が説明できそうだということです。縦軸にアイディア発話時間比率と音声の感情分析の energy をかけたものを取って、縦軸にはアイデア数を取り、各チームの心理的資本の増加を点で示します。心理的資本の増加と減少を赤と青で、変化の大きさをの濃淡で表します。

縦軸、横軸の数値が大きい部分で赤が多く、両軸の数値が小さい部分で青が多いという傾向が表されており、会話が元気で活発、あるいはアイディア数が多い場合に心理的資本が増加することが表れています。会話が元気で活発でなく、アイディア数が少ない場合は、青が多く、心理的資本が減少しているチームが多いのですが、会話が元気で活発でなく、アイディア数が少なくても赤いものもあり、チームワーク、アイデア発想以外の要素も心理的資本の増加に関与しているものと思います。

これは別の高校2年生140名のワークショップの結果ですけども、同じようにアイデア創出ワークショップを実施して、全部で290のアイディアが生み出されました。それらをChatGPT APIを使って評価してみました。新規性と有効性と実行可能性を10点満点で評価し、評価理由も記載してもらいました。実行可能性を除いて新規性と有効性の平均を取ってプロットしました。

アイディアの数を横軸に取り、チームごとにプロットしました。新規性・有効性の評価が縦軸です。チームによってアイディア数にかなりの差があることが分かります。青い点はアイディア全体の平均値で、アイディア数が多いチームは若干平均値は下がる傾向はあるけれど、トップ2、評価の高かった2つのアイデアの平均は赤の点が示してるように、アイデア数が多いと質が高まるということが言えます。

5.感想文の分析

ワークショップが終わった後、感想文を書いてもらっていたので、こちらを感情分析ライブラリ asari で分析しました。一人一人の感想文のポジティブ度を計算することができるので横軸にポジティブ度をとって縦軸に心理的資本を取りました。

ポジティブな感想文を書いた人が多いのですが、心理的資本は増加していないけれどワークショップにはポジティブな感想を持っている人が多いことが分かります。心理的資本は増加していないけれどポジティブな感想を持っている人の感想文を読んでみると、確かにかなりポジティブな感想を持っていることが分かります。心理的資本が増加することと、ワークショップに対してポジティブな感想を持つことは同じではないことを示しているように思います。
 
心理的資本が増加した3組の5班と3組7班の感想文を紹介します。

6.ポジティブになる理由

これらの心理的資本が増加したチームの感想文を読んでみると、心理的資本が増加し、人がアイディア創出ワークショップに参加してポジティブになる理由が見えてきます。2つの要因が考えられます。
 
一つはスキルの習得、すなわちアイディア創出ワークショップでアイディアが発想できるようになったとか、こうやればアイディアを発想できるのだ、アイディア発想は天才だけのものじゃなく、自分でもこういう風にやればできるんだってことを理解することです。
 
もう一つは、チームワークに関わることです。自分ひとりではできないことがチームならできるようになると考えられることです。これについてはもう少し詳しく調べてみたいと思います。複数の要因に分けられるのではないかと思います。

7.チームワークの見える化:teamvis

teamvis は i.school/JSIC のリサーチグループ(リーダーは i.school 修了生 彭氏)が開発したチームワークの見える化WEBツールです。

3つのICレコーダーを使って話者を特定する作業は精度を検証する必要があり、必ずしも計算結果の通りではないかもしれませんが、それでも会話が 
均等かどうかはある程度反映されているのではないかなと思います。横軸には発話時間の変動係数を取り、発話時間の長かった3人の発話時間の変動係数を計算しています。発話時間の標準偏差を平均値で割ったもので、数値が小さいほど均等だということです。会話の均等さを表しています。会話が均等であることが心理的資本の増加に直結するような印象ですが、会話が均等であれば心的資本が増加するわけではないことをこの図は示しています。

会話が均等な場合、横軸の値は小さく、心理的資本が増加する場合もあるし減少する場合もあり、会話が均等であるからといって心理的資本の増加につながるわけではありません。話の内容とか、どういう風に話し合ったのかっていう会話の様態が差を生んでるのではないかなと思います。
 
目指すべきは活発、かつ均等なやはり会話が元気で、誰かだけがしゃべるのではなくて皆なよくしゃべる、しかも良いアイデアを数多く発想し、意味あるディスカッションをできた達成感を感じること、そのような指導していくべきなのだろうと思います。

これは teamvis 結果ですけど、このグラフには特徴的な会話のパターンが現れています。3組の3班は心理的資本が増加したチームで、4組の2班では心理的資本が減少しています。ともに会話は均等、中程度の元気で活発な会話のチームです。グレーの線は会話の均等さを表し、水平部分は会話パターンが一定の部分、小さくその会話パターンを表示してあります。丸の大きさは発話量、色は話者、線の太さは対話(ターンテイク)の量を表しています。棒グラフは発話時間を、その色は話者を示しています。

左側3 組の3班の後半、3名程度の積極的な会話が続き、その話者が次々に交代する特徴的な会話パターンが見て取れます。このパターンは i.school の
ワークショップでもよく見られるものです。中心になって会話する人間が交代して、黙ってる時には考えているということなのか、あるいはその発話者の話を聞いていて、それが交代して起こっているのかもしれません。こういうパターンが比較的パフォーマンスのいいチームで見られます。このパターンの有無を追っていくことは必要なのかもしれません。

 8.長い発話

 JSIC School における社会人向けのワークショップの結果も分析しております。3時間、3時間、6時間、3時間、3時間という5日かけて同じテーマに取り組むワークショップですが、初めて会ったメンバーでも後半はかなり仲が良くなり、チームの特性は形成されます。このワークショップでは別の特徴的な会話のパターンが現れます。

teamvis の発話長を棒グラフで表した部分に注目すると、長い発話の後に短い活発な発話があり、そのパターンが長い発話の話者が交代して現れます。これは5日という長いワークショップの4日目の結果です。50秒を超える発話を長い発話と捉えました。長い発話ではある主張がなされ、その主張に関してその後に短い発話が行われるものと理解されます。

このパターンを確認するために、次のように表示しました。長い発話に対して点を打ち、その色は話者に対応しています。横軸は経過時間、縦軸時は長い発話に後の、次の長い発話までの短い発話の発話時間比率、すなわち短い発話の活発さを表しています。Day4 のA ~Eチーム を比較しました。

チームによってかなり差があることが分かります。Bチームは前半に長い発話、続いて活発な短い発話、直ぐに話者交代が起こるというパターンが現れます。後半にも同様のパターンが出現します。Aチームも前半にそのようなパターンが現れますが、後半は1名の長い発話がなされ、話者交代は行なわれません。Eチームは長い発話が多く現れますが、1名による発話が卓越しています。C、Dチームは他のチームに比べて長い発話が少ないようです。

9.表情分析

Deepface という表情分析のAIモジュールを使った結果を示します。

A、Bチームは happy という表情が多く、Eチームは happy が少なく、fear が極端に多いことが分かります。最初からチームの特性があったのかを確認するため、Day1 と Day4 の表情分析の結果を比べてみました。

Day1の表情分析の結果は Day4 のそれとは大きく異なり、バラバラです。従って、初期状態の影響は少なく、ワークショップの進行とともに Day4 のような状態が形成されたものと思われます。

9.会話の活性化度合い

会話の状態を表すために、横軸に長い発話の発話時間比率(活発さ)、縦軸に長い発話の均等さを取り、AからEチームをプロットしました。Eチームは長い発話が活発ではあるが、非常に偏っていることが表されています。偏っていれば活発なほど負の値が大きくなるよう、会話の活性化度合いを定義し、表情分析の結果をプロットしてみました。活性化度合いが大きいほど、happy という表情が増え、fear という表情が現象する結果となりました。但し、会話の活性度合いという指標の定義に関わる恣意性があることには注意が必要です。

ワークショップの後に教育効果のアンケートを行いました。質問事項は以下の通りです。

2番目は、「このコースに参加して、できなかったこと、あるいはやったことがなかったことができるようになった。」という質問に対して1から5で答えていただいております。これが一番ばらつく質問項目ですが、自己効力感、できるようになったという感じを聞きたいと思って作った質問であります。2番目の自己効力感と先ほどの会話の活性化度合をプロットしてみますと結構きれいに、会話の活性度が高ければ高いほど、つまり長い発話を均等にしているチームのほど自己効力感が高まることを示しています。

10.おわりに

何故、アイディア創出ワークショップに参加すると人はポジティブになるのかを調べてきました。アイディアを数多く創出できること、元気で活発な会話を行うことは、心理的資本の増加と相関性か高いことが明らかになりました。また、長いワークショップにおいては長い発話の後に活発な短い発話がおこり、長い発話の話者が交代しながら同じパターンが繰り返される特徴的なパターンを見つけることができました。その特徴的なパターンは、ワークショップ中の表情や、終了後の自己効力感とも関係があることがわかりました。今後、このような分析を続けて結果の普遍性を確認するとともに、会話の内容に関する分析や会話による心理的な変化、ワークショップで創出されたアイディアの質に関する研究を続けてゆきたいと思います。
 


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