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星を掬う(町田そのこ・中央公論新社)を読んで

名言:
生まれつきうつくしい人間は、自身の美に執着しない

何が正しくて何が間違っているかを本書で議論していいのだろうか、という気になった。
容姿は美しい方がいい。性格は思いやりがあって優しい方がいい、人の為になる事をするのは美徳だ、などなどがあるが、美しためにストーカーされたり、優しく尽くし過ぎて、付け込まれたり、という事もある。
でも、母娘関係が悪いのは、不幸だとハッキリ分かる。娘・鶴子は母・聖子に捨てられるけど、偶然、会うようになる。聖子は「ゴメン」と一言言えればいいのに、その一言が言えない性格だ。でも、お互いに、心の奥底では仲直りしたい気持ちを持っている、のを表に素直に出せないのがもどかしい。
認知症になった母の美しい思い出の星を掬い取りたいと鶴子は思う。でも、認知症という時限爆弾を抱えていて時間がない。でも、最後はちょっとした事件をきっかけにグッと母娘の距離が近くなる。歪んだ関係の仲にも、親子の情はあった、というのがオチでした。

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