スピンオフ〜ゲーン王の最終章〜
とうとう千秋楽を迎えた
『ウーリーと黒い獣たち』
これ、マジで終わるの?誰が終わらせるの?
そんな思いもあったけど、終わったねぇ。
たくさんの方が書いていて、話の辻褄がなぜか合っているという奇跡。
ちゃんと色々読んで見ると、色んな伏線が合うようになってることに驚いた‼️
そんなことをたねさんのスタエフでお話させていたんだけど、実はアレとアレは繋がっていたんだ!とか、あの人の書いたあの部分は、意図してたの?偶然の賜物なの⁉️と驚くこともあり、鳥肌やら脇汗やら涙やら鼻水やら色んなものが吹き出した。
物語は、9月29日をもってちゃんちゃん。で終わったんだけど、スピンオフはまだ書いていいって言うので書かせてもらう‼️
ってか、めっちゃ色々書きたかったのに、今年の9月は今まで生きてきた中で1番忙しい9月だったから、なかなか書けなくて悔しかった〜。
まぁ、とはいえ時間があればあったでゴロゴロしちゃって頭の中の妄想だけで終わってしまっていたかもしれないしね。
忙しくて書けなかったなんて言い訳よね。
んだば、言い訳しないで書いていくわよ〜。
あ、まずは前に書いた私の作品をどうぞ
スピンオフ〜ゲーン王の最終章〜
🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬🎬
ザーザーザーザーザー
「ん?なんの音や?あ、雨や…」
ケタケタケタ
キャハハハハ
「ん、誰かの笑い声や…」
ゲラゲラゲラ
「笑っとるなぁ…」
「雨の音といい、誰かの笑い声で目が覚めるなんて久しぶりやなぁ」
うっすらと目を開け、天井を見上げながらゲーン王はぼんやりとそんなことを考えていた。
ここ数週間雨らしい雨が降っていない。
だから雨の音を聞くのも雨の音で目が覚めるというのも久しぶりだった。
ゲーン王は広いこの城に1人で住んでいるので、人の話し声や笑い声で目が覚めるということもずいぶんと久しぶりのことだった。
ギャハハハハ
ギャハハハハ
ギャハハハハ
うっさ。
うっさ。
「うっさいわーっ‼️」
くらっ😵💫
バタンッ
「なんや?」
上半身起こして叫んだゲーン王は、そのままベッドに倒れ込み再び天井を見上げた。
「あ、目、覚まされました?」
「ん?コチョリーやないか…」
「ゲーン王、目ぇ覚めたの?」
「ゲーン王!大丈夫ぅ〜?」
「あぁ、目が覚めて良かったです」
ミーラー、ヤーパ、フーヤが少し離れたところから声をかけた。
「わしは一体…」
「ゲーン王は軽い熱中症になられて倒れたんですよ」
「熱中症?倒れた?」
良く見ると自分の腕に点滴がされていることに気づいたゲーン王。
「医者が来たんか?」
「いえ」
と答えるコチョリー。
「ほな、看護師が来たんか?」
「いえ。来てません」
「ほな、この点滴は誰がしたん?」
「私です」
「コチョリー?お前、医師免許持ってたんか?」
「いえ。たぶん持ってません」
「ほな、看護師の資格か?」
「いえ。たぶん持っていません」
「え?たぶん?どういうことや?医師免許も看護師の免許も持ってへんのに、点滴打ったんか?」
「あ、大丈夫です。私、失敗しないんで。
医者の役も看護師の役もやったことありますから」
「いやいや、役って。芝居の話やないか!」
「大丈夫ですよ。私、役になりきるためにめちゃくちゃ勉強しましたから」
「よ‼️さすが、看板女優‼️女優の鑑‼️」
「またすぐミーラーはそうやって私をヨイショするんだからぁ」
「いや、あかんがな」
「大丈夫ですよ。ほぼほぼ持ってるようなものですから」
「いや、ほぼほぼって。ちゃんとした資格は持ってへんのやろ?」
「んー?ちょっとその辺は曖昧ですねぇ。持ってるような気もするし、持ってない気もするし…」
「どないやねん」
「妄想で資格を取ったのか、本当に取ったのかちょっと定かではないんですよねぇ」
「そないなことあるぅ?」
「あー!わかるぅ。そうそう!妄想と現実の境目ってわかりにくいよねぇ」
「いや、わかるやつおるんかい!」
「やっぱり〜?ミーラーならわかってくれると思ったよ〜」
「わかるよ〜」
「いや、あかんやろ」
「こちらの国では医師免許や看護師の免許がないと点滴が打てないという法律があるのですか?」
「当たり前や!医療行為ができるのは国家資格を持ったものだけや!」
「そうなんですね。勉強になります」
「なんなんや。真面目なフーヤまで」
「万が一の時のためにと、点滴セットをぼーちゃから持たされて良かったです」
「なに⁉️べしゃり屋は、そないなもんまで扱ってるんかいな?」
「あの店はなんでもあるねぇ」
「ないものはないんじゃないの?」
「私行くといつもべしゃり屋閉まってるから何売ってるか全然知らない」
「ヤーパが朝起きれないからでしょ」
「あそこの店は朝早くて夜閉めるのも早いから」
「ヤーパは夜活動するからね」
「人生夜が楽しいんじゃん」
「ところでわしはなんで熱中症で倒れたんや…?」
「覚えてないんですか?」
「いや、待て。待てよ…。確か…わしは雨乞いの踊りを踊ってた気がするなぁ…」
「そうだよ。ゲーン王私たちと一緒にズンチャッチャズンチャッチャって雨乞いダンスを踊ってたんだよ」
「違うよ〜。カッキーンって踊ってたんだよ〜」
「違います。くるくるくる〜と舞っていたんです」
「ゲッツ‼️」
意味もなく全力でゲッツをするコチョリー。
「せや。あまりにもお前たちの雨乞いの踊りがバラバラで、踊れるわけないわ思っとったけど、なんや見てるうちに好きなように踊りたくなって踊ってみたんやった」
「ゲーン王のドジョウすくい、お上手でしたね」
「え?あれ、ドジョウすくいだったの?」
「こいよさソーランかと思ってた」
「え?そうなの?ヒゲダンスだと思ってた」
「いや、何をどう見たらそないな間違いになんねん。あれは、ビリー・セイソ・キャンプのエクササイズや」
「エクササイズ⁉️」
「ダンスじゃないじゃん‼️」
「ビリー・セイソ・キャンプ!懐かしい‼️私もDVD持ってたなぁ」
「あれは、痩せますね」
「キツくて私は続かなかった〜」
「ミーラーはすぐ飽きるから」
「熱しやすくて冷めやすいのがミーラーですからね」
「私、水を司る巫女じゃなくて、火を司る方が性に合ってる気がする〜」
「あぁ、わかるぅ。ミーラーは絶対火だねぇ」
「と、なりますと、風を司る巫女の私がいることでミーラーの火は大きく燃え上がることが出来ますね」
「おお!そうだねぇ。フーヤがいることで私の心の火が燃え上がるね」
「えーっ。ズルい〜。私は?私もなんか入れてよぉ〜」
「雲を司るヤーパだって、関係あるじゃん。私の火が燃えたらもくもくと煙が出るから」
「いや、それ雲じゃなくて煙だし!」
「煙を司る巫女ヤーパさんですね」
ギャハハハハ
「なんなんや…お前らは…」
「しっかし、倒れたゲーン王をベランダから運ぶのは大変だったよねぇ」
「お前らが運んでくれたんか…」
「ミーラー。ベランダではなく、バルコニーです」
「え?ベランダでもバルコニーでもどっちでもよくない?」
「いえ。ベランダとバルコニーでは屋根があるかないかで違いますから」
「フーヤは細かいなぁ」
「ここは屋根がないから、バルコニーだね」
「屋根がないからゲーン王は熱中症になったのか」
「いえ、そういうわけではありませんが…」
「ベランダにしとけばよかったんだよぉ〜」
「ゲーン王、ケチったからぁ」
「ケチ王だねぇ」
「いや、ケチって屋根を付けなかったわけちゃうし」
「ビリー・セイソ・キャンプやってたとは思えないほどの重さだったよねぇ」
「あれはかなり昔にやってたんや…」
頭に出来た小さなコブを撫でながらゲーン王は、倒れるまでのことを思い出していた。
確かにわしは倒れる前に踊っとった。
ビリー・セイソ・キャンプをな。
巫女3人はわしに雨乞いを教える言うときながら、ホンマ好きなように踊りはるし、コチョリーはエド・はるみやったり、好き勝手しとるしなぁ。
これほんまに雨乞いなんか?思うて見とったわ。
ほんで、なんやこいつら、ステップが合わないだの、合いの手が変だの、腹が減っただの、すーぐ揉め出して雨乞いをやめてしまうしな。
雨乞いしては、揉め、揉めてはやめ、やめてはまた雨乞いをするの繰り返しで、全然雨乞いになってへんかった。
これじゃあ雨が降るはずもないわって、見とったんやけど、なんや、こいつらがやたら楽しそうに思えてなぁ。
そんなんしてるうちにわしも身体を動かしたくなって、気づいたらビリー・セイソ・キャンプのエクササイズをやっとった。
あれは昔、ボーチャに勧められてべしゃり屋から買うてきたものや。
今ではこないなわがままボディになってしもうたけど、あの頃はまぁまぁ痩せたったなぁ。
筋肉もついてなぁ。
鏡の前やガラスに自分の姿が映ると、なぜかボディビルダーみたいなポーズをしてしまったりしてな。
これ、筋肉ついた男子あるあるやろ。
ままま、そんな昔の話はどうでもええわ。
倒れた時のことや。
夢中になって踊ってるうちに暑うなってきたし、疲れてきて、風に当たりにバルコニーに行ったんや。
ほんで、風に当たりながらいつものように周りの様子を見とったんや。
わしの日課は双眼鏡で自国、他国を見守ることやし、何より、ようやく出発したウーリーの動きも気になっとったしなぁ。
そや!そこでわしは驚いたんや。
ウーリーがリケーン王国から戻ってくる姿をわしは見たからや!
わしに協力を仰いでおきながら、わしのとこには来もせんとぉ。
勇者ウーリーは、わけのわからん黒いモフモフをまとった獣みたいな者たちとリケーン王国に行きおったんや!
せやせや!
そんでそのまま帰りはったんや!
なんやねん!
どういうことやねん!
まぁなぁ。
そんなん思ったったけどなぁ。
まぁ、わしも大人や。
まぁええかぁって、思うことにしたんや。
わし、大人やし。
ウーリーがわしの協力をもらわなくても自分の力でなんとかするんやったらそれはそれでウーリーの成長や思てな。
あのビビリのウーリーが、わしの協力もなしに…って思えば、これはこれで感慨深いやんけ。
そう思っとったのにやなぁ…。
せや!コイツらや。
巫女3人たちが暖炉に火を燃やしとったんや!
思い出したで。
この日照りが続いて暑い中、なぜかコイツらが暖炉に火をつけ出したんやった!
「せやせや!お前ら、暖炉に火をつけよったなぁ。あれはなんでや?」
ゲーン王は巫女たちに聞いた。
「これ、話せば長いんですけど、いいですか?」
フーヤが上目遣いで言った。
「おお。ええで。なんでや」
「原因はミーラーなんだけどね」
続けてヤーパが言う。
「え?私?まぁ、確かに私だけど、そのおかげで雨も降ったんだからいいでしょ」
「え?雨?この雨はミーラーが降らせたんか?」
「いやいやいや。私だけじゃないですよぉ〜。みんなのおかげもあってのことですよぉ〜。やめてくださいよぉ〜。違います違います。私、神様じゃないですよぉ〜。一般的な巫女ですってばぁ〜。そんな褒めないでくださいよぉ〜。褒められ慣れてないんでぇ、照れくさいですぅ」
「いや、褒めてはないわ」
「え?これから褒めるんですか?」
「ええて。それよりなんでか教えてや」
「私、気づいたというか、思い出したんですよ。雨乞いについて」
「ほう」
「そそそ。雨乞いさえしておけば雨は降ると思ってたんだけど、違ったんだよね」
「巫女たちが雨乞いしただけでは雨は降らんっちゅうことか」
「そうなんです。しかもゲーン王。私も思い出したことがありまして…」
「なんや、コチョリーまで」
「私、少し前にリケーン王国にいたじゃないですか」
「あぁ、芝居を見せに行っとったなぁ」
「はい。あそこで聞いた話を思い出して、それを巫女たちに話したんですよ」
「ほう。なんやそれは」
「よく聞こえてはいなかったのですが、ルボン王女が誰かと何やらごにょごにょと話していたんですけどね。なんか、7つの丸い玉を空に投げると雨が降るとかなんとかって…」
「なんやと‼️コチョリー!お前はそないな大事なことをなんでわしに報告せなかったんや‼️」
「だからぁ、忘れてたんですってばぁ」
「お前、そない大事な話…」
「ごめんちゃい」
「ごめんちゃいって。ボーチャのダンナとのショウギーの勝負の話なんかより大事なことやないか!」
「だから、ごめんて」
「え?報告?コチョリーが?」
「ゲーン王に?」
「なんでですか?」
ハッとする2人。
2人が裏で繋がっていたことは誰も知らないことだったのだ。
慌ててコチョリーは下手くそなウインクをするが、なんの意味も持たなかった。
ただただみんなの前で変顔を披露するだけとなったコチョリー。
しかし、巫女3人たちは、この2人の関係性にそれほど興味もなかったので軽く流し、話の続きを始めた。
「コチョリーの話を聞いて、7つの丸い玉って何かを考えてたんですよ」
「ほう」
「丸い玉って何かね?って」
「誠意って何かね?的なね」
「うん。全然違うね。コチョリー」
「色々出たよねぇ〜」
「丸いもの」
「ピンポン玉」
「たこ焼き」
「ソフトボール」
「スイカ」
「テニスボール」
「メロン」
「野球ボール」
「梨」
「サッカーボール」
「トマト」
「バスケットボール」
「饅頭」
「ゴルフボール」
「おだんご」
「おいおい食べ物とボールばっかりやないか。そもそもボールはみんな丸いしやなぁ」
「そうなのよ。ボールじゃダメでしょ」
「ってことで、食べ物に絞ったんだけど、食べ物空に投げたらバチ当たるよねぇってなってぇ」
「…なんの話をしてるんや…」
「だから!コチョリーが聞いてきた丸い玉の話!」
「いや、それはわかっとる。お前らのその考え方についていけんってことや」
「でね!ここからが大事なところ」
「おお。大事なところを話せや」
「で、だんごって出てきたことで、泥だんごを思い出して」
「泥だんごを思い出したら…ミーラーが…」
「そう!エレメントを思い出したのよ!」
「はぁ?ちょっと話が飛躍しすぎててわからんけど…」
「なんでわかんないかな?」
「マジカルバナンナみたいなものだよ」
「昔流行ったよねぇ」
「マジカルバナンナ!」
「丸と言ったらだんご」
「だんごと言ったら泥だんご!」
「泥だんごと言ったら土」
「土と言ったらエレメント!」
「みたいなね」
「はぁ…わからんけど、まぁええわ。ほんで?」
「で、思い出したわけよ。雨乞いには、このエレメントが必要だってね」
「そ、そうなんや…」
話の流れ的には全く理解できなかったゲーン王だったが話を聞くことにした。
「エレメントには『土』『水』『火』『風』があるんです」
「泥だんごは、土でしょ。そこで、ピッカピカの丸い泥だんごを7つ作ったらいいんじゃない?ってことになったわけよ」
「泥だんごは、食べ物じゃないから空に投げてもバチ当たらないしね」
「そして、水。泥だんごを作るのに、水も必要ですからね」
「ここには定期購入している波DO水がありますからねぇ。あれを使わせていただきました」
「は?なに?泥だんごを作るのに、波DO水を使ったんか?」
ゲーン王は立ち上がり、波DO水が入っているツゥボを確認しに行くと、8分目くらいまで入っていた波DO水は、底が見えるほどに減っていた。
「これはなかなかの金額なんやで…」
ゲーン王は、再び倒れ込みそうになった。
「おかげさまでピッカピカの泥だんごが7つ出来ました!」
「ほな、良かったわ…」
力なく答えるゲーン王。
「そして火です!」
「よくお正月を過ぎた頃にどんと焼きってあるでしょ」
「こちらのゲーン王国にもそのような風習がありますか?」
「あるで」
「そこからミーラーがヒントを得て、泥だんごを水木だんご風にして、暖炉で炙ったらいいんじゃね?ってなったんだよね」
「私、めっちゃ頭良くない?思いついた時、鳥肌立っちゃった」
「ターリィー語で言ったらさぶいぼだね」
「そそそ!さぶいぼ立った〜!」
「さぶいぼが立った〜!」
「クララが立った〜的なね」
「だから、コチョリー違うからぁ〜」
ギャハハハハ
響き渡る笑い声。
「ほんで、暖炉に火をつけたんか…」
「そうです」
「そして、エレメント風ね」
「風の浄化にはティンシャ、シンギングボウルがいいのですが、こちらにはなさそうでしたので、みんなで大笑いしてました。笑い声というのも風のエレメントとして、浄化の効果があるんですよ」
「なるほどなぁ…」
とは言ったもののほとんど納得は出来なかったゲーン王。
ただし、事の運びは理解した。
しかし、ゲーン王は、巫女3人とコチョリーが作った7つの泥だんご、そして、4つのエレメントは、この雨とは関係ないと感じていた。
それは、ゲーン王が倒れる直前に見た光景と関係している気がして、ゲーン王は、その時の記憶を思い出していた。
リケーン王国から帰ったウーリーは、家に入ってった思ったら何やらパン一で出て来よったんや。
遠目やったし、双眼鏡やったから、最初は黒い服を着とる思っとったけどなあ。
よくよく見たら、あれは、毛むくじゃらのウーリーの上裸やったんや。
ほんでその後にカイサーが外に出てきて空に何かを投げたんや。
そや。
あれこそがコイツらが言うてた7つの玉やないか?
7つくらい投げとったで。
たしか。
カイサーは、昔ソフトボール部で培った剛腕の持ち主やったなぁ。
ボーチャが言うとったことあったわ。
ほんで、あれを投げた瞬間、大きな光がターリキィを覆って、ウーリーの身体の一部が光ったんや…。
ここまでは思い出せた。
たぶんその後、わしは気を失ったんやな…。
巫女たちを見ると喜びの舞を踊っていたので、真実を伝えるのはやめておくことにしたゲーン王。
ふとテーブルの上に目をやると何やら請求書が置いてあるのが見えた。
請求書の相手は『べしゃり屋』になっているけど、見覚えのない内容と金額。
「なんやこれは?」
「あ、丸いもので思い出したものが他にもあって…」
「なんや?」
「花火です」
「打ち上げ花火」
「花火…って…もしかして…」
「空に投げる丸いものって、打ち上げ花火の尺玉じゃね?ってなって」
「…なって…」
「打ち上げ花火700発をゲーン王名義で買わせていただきました!」
「700発?7つでええんちゃうんか?7つを投げる言うてたんやろ?」
「そうなんですけどぉ」
「7発じゃ少なくない?ってなって」
「70発でも寂しいよねぇってなってぇ」
「700発どかーんといっちゃおってことになりました!」
「イェーイ!」
「イェーイちゃうがな」
「花火お好きじゃないんですか?」
「好きやけどなぁ」
「なら良かったです」
「いやいや、ちゃうて。なんでわしがターリキィ王国のために打ち上げ花火700発を提供せなあかんのかっていう話や」
「まぁまぁ。そんな細かいことは気にせずに」
「コチョリー、お前まで…」
「雨が止んだら打ち上げ花火、楽しみですね」
「提供、ゲーン王って放送してもらいますよ」
「ええよ。わしの名前は…」
「やはり。ゲーン王はそう言うと思いまして、先ほど花火師の方には提供者の名前は伏せてもらうよう伝えておきました」
「コチョリーやるぅ」
「え?ほんまに?わし、他国のために700発も打ち上げ花火提供すんのに、わしが提供したって、誰にも知られることなく終わるの?」
「大丈夫ですよ。ゲーン王ってことがバレないよう、厳重に注意しておきますので」
「マジか…。コチョリー…。なんだかそれはそれで悲しいものがあるぞ…」
再びめまいがして倒れ込んだゲーン王。
1週間後の花火大会の日。
手拭いのタオルでほおかむりした姿でこっそりターリキィ王国へ向かったゲーン王。
花火大会が始まる数時間前には、ウーリーの庭でのバーベキュー大会が行われていた。
それを柱の影から羨ましそうにこっそり見ていたゲーン王。
ついついかじってしまうゲーン王のタオルの裾はもうボロボロになっていた。
それでもラブコが花火を見て喜んでいる姿を見ることもできたし、カイサーとウーリーも痴話げんかをしながらも仲良く見ていたし、何よりも、みんなが嬉しそうに花火を見ている姿を見たことで、なんとなく救われた気がしたゲーン王。
「ええねんええねん。みんながしあわせそうなら、わしはそれでええねん」
花火を提供したのがゲーン王ということは、巫女3人とコチョリーだけ。
そして、べしゃり屋のボーチャが知っているが、情報屋のぽーちゃはなぜかこのことだけは口外することがなかったので、誰の提供で打ち上げられたのかはほとんど知られることなく終わった。
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これにてスピンオフゲーン王の最終章はおしまい。
ミーラーなのに、ゲーン王の話ばかり書いてしまいやした‼️
しかもまたまた長くなっちゃって。
8000文字を超えてしまった…。
すんません。
ま、それが私でーす。
あー、楽しかった〜。
みなさんの楽しい最終章もどーぞ。
うりもさんは、スタエフで打ち上げ花火…じゃなかった打ち上げをするって告知してました。
10月8日21時からのようですよ。
残業じゃなかったらぜひとも伺いたい‼️
最後までお読みいただきありがとうございます😊