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風を聴く

風を聴いている
今 吹いている静かな深い夜色の風
月の黄色に銀の星か…それとも紺碧
暗くたたずむ 夜の旅人
私を1人の 詩人にしたね
笑っているのは 私です
笑っているのは 私です
ちゃんちゃらおかしくて 
いつも笑ってしまう
とても滑稽な人間なんです
とても滑稽な、人間なんです
そんな私にこの静かな夜の
さざ波のような風だけが 損得も忘れ
バカな振りをして 鳴っていてくれます
私に少しの 時をくれて
この語り尽くせない口も
聞きたいことの1つも聞き取らない 
愚かしい耳も
疲れ果てて横たわるように疼く
この思考回路も
すべてスイッチを少しOFFにして
ドクドクと脈打っていた痛みも鎮め
ただ吸い込まれてゆくように
風の波に 身をゆだねている
美しい天女でも 現れはしないか
そして金の斧か銀の斧かと 
尋ねはしないか
そんな錯覚さえ 風に揺れて
私は心地良く 微笑みを取り戻す
それがどんなに素晴らしいことか
それがどんなに力強いことか
生きていなければ 到底 ワカラナイ
だからこうして息づいていることにさえ
優しい意味を 持たせてあげられる
確かなもの 確かな 
手に取れる様々なもの
それとは裏腹に この不確かなさざめく風に 真実を知る
ただ 生きているということだけを
しっかりと 知る

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