棚とか箱

詩、他いろいろ。書くことが好き。

棚とか箱

詩、他いろいろ。書くことが好き。

最近の記事

いつも

必要でない時に 必要でないことを 語り過ぎる醜態と 必要な時に 必要なことを 何一つ語れない欠落 いつも そのどちらかを 片手に持っている

    • 満月の夜

      満月に話しかける 友だちのように どうしてそんなところから 悲しそうにこちらを見てるのか とか 私と友だちになりたいの? とか いろいろ嫌なことが一杯で そんなにまるい形でいられるなんて どんな努力をしているの? とか 満月はまるいけど 悲しい…って言うんだ それを聞いて私もまた ほんとね、かなしいね、 って言う 私たち 友だち 私たち 友だち 何度か繰り返すうち 夜もしらじら開け始め やがて 満月もいなくなる 朝は 何もかもが いなくなる

      • 朝焼けの海を

        朝焼けの海を見たい 朝焼けの海には 遥かに霞む 美しい筋が見えるから 遥か彼方で 光っているから それを確かめるためにだけ 朝焼けは輝く 倒れた者に そっと筋が伸びて 肩に触れる そのためにだけ 美しく光る 朝焼けの海を見たい

        • ゆっくりとねむる

          きょうは ゆっくりとねむる うみにうかぶ はなびらのように けずりとられた じゃがいものように うみにおちる にじのように にくじるのない にく ぼうはていから  すんだめをそそぐとまと かるく かるく かるく いとうものなどなにもなく せいぜんとかたづいた  きっちんのはて みどりのスプレーのかおりもつき うみにはなたれた りぼんのように きょうは ゆっくりとねむる

          鳥の詩

          言葉を知らない鳥が啼く ピーは入り口の合図 ピッは方向を示す合図 ピピピピピーで 鳥は詩をつくる 鳥の詩 ピー ピッ ピピピピピー 鳥は言葉を知らない

          石とうさぎ

          うさぎから連絡があったのは まだ寒い季節のことだった 「来てくれないか」 ということだったので  とりあえず  山のふもとの石段まで 自転車を飛ばした 途中の公園までは 難なく行くが 公園を過ぎると坂が続く だらだら坂では自転車を押し 登り切ると 幾つもの石と石との間に延びる 細い小道を 中くらいの速度で進む 小道が終わると そこに 平べったい八枚切りの食パンを 少しずつずらして重ねたような 石段がある 横の道脇に自転車を停め その幅広の段を  足を伸ばして上がると  到着

          石とうさぎ

          満月の夜に歌を歌うと

          満月の夜に歌を歌うと 満月の夜が歌を歌って 不思議な黄色い光線で 小舟がゆっくり 帆を上げて進む

          満月の夜に歌を歌うと

          きれいだから

          きれいだといい きれいだといい きれいだと なんにも しんぱいいらないから わたしのキャンディーを ひとつあげる きれいだから

          きれいだから

          居残り

          悲しみだけが いつも ポツンと残り 僕の方を見てる 他はシンと静まり返り もう誰も 残ってはいない 忘れ物を取りにきた哀れみが 僕に帰れと促してくるが 僕は席を立つことができない なぜなら悲しみが ポツンと残り こちらを見てる まさか 帰りはしないよね と こちらを見てる 言いはしない 表情に 出すわけでもない むしろどちらかというと おくびにも出さない でも 僕にはわかる 今日は2人で とことん居残りをするんだ

          感受性

          うれしいことも あるでしょうが それは うれしい ことでしょうが だまって まって いてごらん だんだん うれしく なってくるから かんたんなことができても やりやすいから だめだなあ より よいのではないか のほうが てごたえが あるよ ぜひ ためしてみて うれしく なってくるから さようなら

          寝ぐら

          出てはきたが 昔の寝ぐらが懐かしい 理解不能の洗礼を受け 理解不能に挑戦をし 理解不能にちっともならず さりとて理解されるわけでもなく 理解を超え スキップで家に帰ると 理解はさらに階段を昇り ベランダから外に出ると 夜の看板の裏に消えた 来来亭と書かれたラーメン屋の 古い手紙をひっくり返し さほどでもない紙を丹念に伸ばし 見ている いいじゃん いいじゃん スキップで寝ぐらを漁る リカイって なんだろう

          いつも青い

          消したくなる ぼやかしたくなる どこかに隠れて くるまりたくなる 私の心は いつも青い カンガルーの跳び方を真似て カンガルーの振りをしたが カンガルーのことを私は知らないから カンガルーが怒って制裁を課しににくる ぴょんぴょん! それ、その跳び方! 私の横を 上を 肉球がひん剥いて 制裁を課す 痛い 痛い 私の心は いつも青い そこに血が混じると 少し青黒い

          いつも青い

          一回り

          ぐるりと一回り ふたたび 中二くらいからスタート 背中に印籠貼られて 何言っても そんな頃だと知ったかされる 叫んでも叫んでも 声は空に吸い込まれ 青い 青い 青い 時に怒り狂う 褐色の空に 小突き回される だから何、って 小さな電話越し 窓から散らすのはガタガタのココロ ああ二度と 戻りたくないと思っていたが 一回りすると 青がきれい 嵐が心地よい もう一度 美しい人たちの声に洗われ 空に 呑み込まれてみる

          花びら

          淋しい気持ちは 宙に舞うよね 本当にヒラヒラ 悲しいほど舞うんだ まるでそこに ここに  いつもいることを 誰かの目に  止まらせようとでもするみたいに 舞うよね どうしょうもなく 止まらないんだ 叫ぶより こうして花びらのように 儚く 切なく 潔く 舞うんだ そして 消えてくよね 誰にも救われずに  そっと 消えてくよね 掃除のおばさんがかき集めに来るよ 「さぁさ、いつまでしがみついてるの」 「早くきれいに 見栄えがわるいよ」 暗い気持ちも掃除しなきゃ 皆に嫌われてしまうん

          涙の粒になれ

          悲しみは いつもある どんなに楽しく  過ごしていようと どんなに明るく  笑っていようと 私に 悲しみは  ピタリと寄り添う 美しいものに触れてみたいなら その中でもがく  涙の粒になれ

          涙の粒になれ

          風を聴く

          風を聴いている 今 吹いている静かな深い夜色の風 月の黄色に銀の星か…それとも紺碧 暗くたたずむ 夜の旅人 私を1人の 詩人にしたね 笑っているのは 私です 笑っているのは 私です ちゃんちゃらおかしくて  いつも笑ってしまう とても滑稽な人間なんです とても滑稽な、人間なんです そんな私にこの静かな夜の さざ波のような風だけが 損得も忘れ バカな振りをして 鳴っていてくれます 私に少しの 時をくれて この語り尽くせない口も 聞きたいことの1つも聞き取らない  愚かしい耳も