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一生離したくないものをたくさん得られた2024年

8年前、母が脳出血でたおれ、施設ぐらしになった。それまでの母とは違ってしまい、会話もままならなく、私たちのことも認識しているのかどうかもわからない。
その1年半後には父が他界。

娘は大学をやめて、東京に出て行くし。それまで当たり前だと思っていた日常がガラっと変わった。

表面上はいつもどおりだったけれど、私は人とあまり話したくなくなっていた。仕事には行っていたが、必要なこと以外は話さず淡々と働いて、さっさと帰っていた。

話したいと思う友人もいなくて、誰とも連絡をとらなくなった。近所の人に会っても頭を下がるだけ。

夫や夫の両親、息子と娘。一緒にいて心地いい人としか接しない。

自覚はなかったけれど、そのころの私はとても傷ついて、疲れていたのだろう。いつもいるのが当たり前であった両親が急にいなくなる(いないも同然)のだから。心が土台から崩れてしまってボロボロだったはず。

だから、なるべく体力を使わぬよう省エネモードで動いて、心を守っていたのだろう。

手負いの動物が草むらに身を潜めて傷が回復するのを待つ。そんな時間が人にも必要なのだ。

だから、「まずいぞ、こんなことではいけない」「人と関わらないとダメだ」なんて一度も思ったことはない。

また時期がきたら私は人の中に戻っていくんだろうな、となんとなく思って一人の時間をただ楽しんでいた。
心が喜ぶことだけをしていた。

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もうすっかり回復したのだろうか。それはむこうからやってきた。何かをしようと思っていたわけでもないのに、様々な変化のための種が私を誘いにきた。

自分のセンサーを磨いておかないと、気づかないようなふとしたタイミング。その瞬間は静かにやってくる。

「これだ!」些細なチャンスを逃さず、私を幸せにするものをつかんで離さない。

この瞬間のために、私は一人でじっと草むらのかげに隠れ、感性を研ぎすませ、すぐに動ける準備をしていたのだろう。

おかげで、2024年は、一生離したくないものをたくさん得ることができました。

焦らなくていい。急ぐ必要もない。何もしていないようでも、無為の時間なんてないんだと思うんです。生きているだけで、体は常に動き続けているから。人間には必ずそういった野生的な力が備わっているので、自分の中のそういう力を信頼してあげるってことが、そこに力を与えることになるんだと思うんです。

吉本ばなな「幸せへのセンサー」


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ゆりのゆき@身体と心を整えます
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