『クローズZERO II』~カラスの中の一羽の黄金の鳥
2022.7.21 誤記訂正
金子ノブアキさんと共演は、「貧乏男子 ボンビーメン」ではなく、「サムライハイスクール」だったので、記述部分訂正した。
***************************
え!?クローズZOROのクローズってカラスだったの!?初めて気づいた。
てっきりcloseかと思った。それだとしてもどんな意味?だけど。そんなことも知らずに見てたんかい!?と怒られそうだが、ごめんなさい、ほんとにこの手の映画には興味が無かったもので・・・。
2020年夏のあの日から、春馬くん探しでいろんな作品を見たけど、正直言ってこの『クローズZERO II』は後回しになっていた。バイオレンスものだということは映画の紹介文やポスターでわかっており、それは私の守備範囲をはるかに超えていたので、順番として最後になってしまったのは仕方がない。ようやく見たのが冬ちょい前くらいAmazon primeでだった。映画製作に携わった皆様には誠に申し訳ないが、乱闘シーンは怖いから早送り、主に春馬くん登場シーンのみを何度も見る、という、これまた怒られそうな見方をしていた。よって、初回はストーリーもあまりよくわからず。
それが、今日、何故かふっと「じっくり見てみようか」という気になった。思えば、春馬くんが出ていなかったらおそらく一生見ることはなかっただろう映画。テレビの前に座り、乱闘シーンまでもじっくり見てみた。
あらすじ
高橋ヒロシ原作の累計発行部数4,500万部を超える伝説のコミック「クローズ」を完全オリジナルストーリーで映画化したもの。前作『クローズZERO』の完結編。監督は三池崇史監督、主人公の滝谷源治役は小栗旬さん。
さらに、内容紹介には、春馬くんのことがこんな風に書かれている。
じっくり見たら、かなりかっこいいじゃないの
今回じっくり見てみたら、いやいや、かなりかっこいいではないか!
原作も読んでいない、前作も見ていないので、やはりどうしても、何故に喧嘩でそのあたりの高校を制しなければいけないのか、私には理解できない(それを言ったら始まらない!と怒られそうですね)のではあるが、血気盛んな若者がとにかくてっぺんを取りたい!というその熱意は十分に伝わった。
なにより、主演の小栗旬さんはもちろんのこと、山田孝之さん、金子ノブアキさん、綾野剛さん、桐谷健太さんなど、今をときめく俳優さんたちが勢ぞろい。皆さんお若くてシュッとしていて、怖そうないで立ちで、男と男の絆をそれこそ命がけで守り抜く姿は、これぞ硬派!という感じでとってもかっこいい。まさに男の中の男。男が惚れる男とはこういうものか。
血だらけの乱闘シーンでは、ボスっとかボカっとか殴る効果音も激しく、皆さんのお顔がどんどん紫色に腫れて変形していき、もう見ていられないわ~、って思ってたけど、終わりのほうになったらそれにも慣れていき、「ふむふむ、この人とこの人が因縁の相手ね」なんて見られるようになった。
ところで、源治のやくざ者の父親(岸谷五朗さん)が経営する場末のライブハウスのシーンが個人的にはとても印象的だった。ライブの感じが、’80年代の日本のパンクロック、めんたいロックっぽいな~と思って見ていたら、やはりTHE MODSの古い歌が入っていた。なんかじりじりと飢えた感じで、行き場のない怒りとかやるせなさとかを抱えた若者たちの熱いエネルギーが渦巻く感じ。昔、付き合っていた彼がこのあたりのパンクロックが好きでよく聴いていたな、ライブ映像よく見たな、とか懐かしくて胸アツだった。
春馬くん演じる美藤竜也
この撮影時、春馬くん18歳。『ごくせん 第3シリーズ』の後に撮影とのことで、不良役はもう板に付いてきている。が、ごくせんの時よりもこちらの撮影現場の方が大きい俳優さんが多かったからだろうか、美藤竜也役の春馬くんはごくせんの風間くんより華奢で小柄に見える。また、金髪交じりのマッシュカット、表情もクールで、やはり風間くんとは一味違う。ライトグレーの制服と金色の髪の毛、白い肌でひとりだけ発光している。
この映画の中で、美藤竜也(春馬くん)の登場シーンはそれほど多くない。主に、金子ノブアキさん演じる鳴海との絡みのシーンばかりなのだが、この二人の関係性がかっこいいのだ。ちょっと今までより金子ノブアキさんを好きになった。ちなみに、ちょっと前のドラマ「サムライハイスクール」で、春馬くんはダメダメ高校生、金子さんは近所の交番の気のいいおまわりさんで共演していたよね。本作では、2人とも「サムライハイスクール」とは対極の役柄と関係性で、それを考えるとほんとに面白いな~、と思いながら見てた。
①始まって20分くらいのところ。鳳仙学園の頭、鳴海 大我(金子ノブアキ)が道場で子分たちに喧嘩の稽古を付けているところに、美藤竜也が登場。どうやら前作で当時鳳仙学園の頭だった竜也の兄真喜雄(山口祥行)が、敵対する鈴蘭高校により殺されたらしく、上級生たちはその敵討ちをしようとしているのだが、弟で1年生の竜也はそれには加わらないという。上級生に胸倉を掴まれるが、表情をピクリとも変えず「鳴海さんには感謝していますよ。美藤真喜雄の弟っていうだけで幹部にしてくれて」と言って唇の端を片方だけ引き上げて一瞬ほくそ笑む。時間にして10分弱の登場シーンでクールに去っていく。
➁始まって1時間くらいのところ。先の道場に、鳴海から呼び出された竜也。鳴海に、一緒に鈴蘭を叩き潰し兄の敵を討とうと誘われるが、「鈴蘭は自分の代で取る。それまで俺は俺のやり方で鳳仙を強くする。俺は兄貴を超える」と断る竜也。竜也に本物の男気を見て、強く抱きしめる鳴海。鳴海が竜也に全幅の信頼を寄せたのがわかる。
③1時間35分くらいのところ。一人で敵陣に乗り込んできた源治に対して、大勢で向かっていく鳳仙。そこに竜也が登場し、鳴海にタイマンでやるべきだと言う。そこに鈴蘭の応援が大勢駆けつける。男の友情っていいね、ってところを最大限に見せつけるシーン。涙目になる源治。いよいよ戦いの火ぶたが切られる。鳴海に「よ~く見とけよ、一年坊主」と言われ、鋭い一瞥を投げて後ろへ下がる竜也。
④1時間58分頃。屋上では、鈴蘭の頭源治と鳳仙の頭鳴海のタイマンが繰り広げられていた。そこに、鈴蘭から鳳仙に転入してきててっぺんを取ろうと狙っている鷲尾がおもむろにナイフを出し源治に襲い掛かろうとする。素早く竜也が登場し、左足でナイフを持つ鷲尾の手を蹴り上げ〜の、右足で鷲尾の頭にハイキック。邪魔者を排したところで、後ろへ下がり頭二人の決着を見届ける竜也。勝利した源治をまっすぐに見つめる竜也に、にやっと笑いかける源治。春馬くん大好きな小栗旬さんとの共演だったけど、直接の絡みはここだけ。そして、負けて倒れた鳴海に、「兄貴の夢を担いでくれてありがとう。今度は、俺があんたの夢を担ぐ番だ。」と静かなる闘志を告げる竜也「待ってろ。鈴蘭」。絶対に、この後、続編で主役は美藤竜也だ!と思わせる終わり方ですよ、これは。確かに、この後美藤竜也を主役に続編をとの話もあったらしいのだが、なんらかの事情で実現しなかった、と聞いた。残念。見たかった、鳳仙の頭としてクールに戦う春馬くんを。
雄叫びを挙げながらの乱闘を繰り広げる熱くて血だらけの不良たちの中で、ひとりクールに「静」で対峙する春馬くんは、存在感、オーラとも抜きんでていた。まるで、真っ黒いカラスたちの中に一羽の黄金の鳥が混じっているよう。
不良役をやっても品があり、本作の春馬くん最高の見せ場のハイキックは美しさすら感じさせる。やはり、ここでもすっかり春馬くんに魅了されてしまったよ。
春馬くんを好きにならなかったら、バイオレンス映画なんて一生見ることも無かったと思うけど、見てみるとなかなかこれはこれで面白いもんだね。ある種の男の美学、ってやつなのかな。
また、春馬くんによって、私、新しい扉を開けてもらったよ。感謝だよ。