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『ブレイブー群青戦記ー』~春馬くんと真剣佑くんの絆
そもそも私、理系女子だったのだ。加えて、高校時代の社会選択も世界史だったし、日本の歴史にはとんと疎い。
恥ずかしながら、徳川家康のイメージといえば、教科書に載っていたふくよかな姿と「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」くらいなもので、江戸幕府を開いた人だよね、という中学生レベル。
この映画は漫画『群青戦記』が原作ということだが、これまた原作を読んでいない。
よって、ほんとに浅〜い予備知識しかないまま映画鑑賞に挑んだ。
嵐の中の初回鑑賞
最初に見たのは、3/13(土)松竹ブロードウェイシネマ『キンキーブーツ』鑑賞後、2時間後だった。『キンキーブーツ』を一緒に見た子供たちはそれぞれの用事があり別行動。この日は、朝から雨で、子供たちが映画館を出るときには春の嵐が吹き荒れていた。嵐の中へ子供たちを送り出し、私はそのまま一人残った。
正直言ってこれも春馬くんが出ていなかったら見ることのなかった映画だと思う。なにせ私、戦いとか血とかにめっぽう弱い。事前に、のっけから野武士に襲われる高校生たちのシーンがエグい、という情報を得ていたのでかなりビビっていたが、それでもやはりどうしても春馬くんを見たいので決死の覚悟の鑑賞だった(大袈裟!)。
やはり、高校生や兵士たちがグサっ!とかズブっ!とかという音とともに刀や剣で切られ血がほとばしるのを見るに堪えず、ハンカチをカーテンにして端っこから片目だけ出し、小さく「ヒイっ!」とか言いながらハンカチカーテンを開けたり閉めたりしているおばさんは、シアター内でかなり異質だったと思う。身体もその都度ビクッと動いたりしていたので、お隣の方は集中できなかったかもしれない。申し訳ない。
殺戮シーンがだいぶ続いた後パッパカパッパカと軽快に蹄の音を鳴らしながらお馬に乗った春馬元康様が現れた時には、その麗しいお姿に感動するというよりは、ようやく長かった地獄から解放されるという安堵で「春馬く~ん(泣)」と心の中で泣きすがった。
そんな感じだったので、とにかく初回は、殺戮シーンの衝撃と戦うのが精いっぱいで、あまり細かいことは覚えていないのが本音だ。それでも、やはり春馬くんのシーンだけは集中して見ていた(元康様ラストの殺陣シーン以外は、そんなにエグくなかったし)ので、カッコよさは十分堪能できた。
蒼(新田真剣佑くん)の首元で刀を寸止めするところ。
「丸根砦を攻めるのじゃ」という時に、視線がきゅっと動くところ。
「ならばその道をすすめ」と、これ以上ない優しい声と表情で蒼を導くところ。
「加勢いたす」と両手を広げるところ。
華麗な立ち回り。
そして春馬くんのラスト。額に血管を浮かせて、息を詰めて倒れこみながら刀を蒼(新田真剣佑くん)に託す時の表情と、蒼の「あんたは死んじゃいけないんだよ!!」というセリフは、ちょっと一瞬映画を離れて現実に引き戻されて胸が痛くなった。
そして、映画のラストシーン。春馬くんから真剣佑くんへの”継承”で胸を打ち、そしてエンドロールに現れる”三浦春馬”の名前で更に胸を打ち・・・
朝から『キンキーブーツ』、そして『ブレイブー群青戦記ー』と見て、いろんな感情が激流を起こしてクタクタで、頭の中が「無」になり、このまま消え入りそうな放心状態。外に出たら春の嵐はすっかりおさまり空には虹が。
なんだか、この虹が、呆然としている私への春馬くんの優しさに思えて、急に尊さを感じる。尊さを胸にそのまま帰宅の途についた。
2回目の鑑賞で理解深まる
2回目は、その約10日後だった。
初回でだいたいの流れはつかめていたし、この10日間の間に、「有村昆のシネマラボ」で本広監督の撮影秘話を聞いていたので、理解が深まった上での2回目の鑑賞だった。
春馬くん演じる元康が、丸根砦で高校生に加勢して戦うシーンでのことをこんな風におっしゃっていた。
本広監督「春馬くん、自分のセリフどんどん削るんですよね。
何も言わないで行動と表情だけでまっけんに伝えたいって感じでおっしゃってて」
有村さん「クリント・イーストウッド、『マディソン郡の橋』っていうのをメリル・ストリープとやった時に、一番いい時に後ろ向いてセリフを言って(中略)男は背中で語ればいい、って言って。三浦さんがセリフ削って熱いまなざしとか所作だけで伝えればいいっていうのって、クリント・イーストウッドと同じレベル。その世界にしか見えないことでお芝居されてる」
本広監督も、「いやあ、センスいいですよね。大好きになっちゃいますよね」とおっしゃっていた。自分が、自分が、という自己顕示欲ではなく、作品自体をどうしたらよくできるか、それを追及していた春馬くんが思い浮かぶ。
また、Twitterでは本作のアクション監督の奥住 英明さんが発信している春馬くんのこともチェックしていた。
アクションシーン秘話11
— 奥住 英明(T.P.O. office) アクション監督/殺陣師 (@TPOoffice2017) March 8, 2021
アクション監督として、時代所作指導も担当しています。
春馬君の立ち居振る舞いの美しさは、スゴイです。
時に荒々しく、時に穏やかに。
抜刀するだけでも、たくさんの話をしました。
細部に春馬君のこだわりが詰まっている作品。#ブレイブ群青戦記 #WeAreBrave #三浦春馬 https://t.co/FYS1mg34t5
ここでも、作品作りにこだわりを持って最善を尽くす春馬くんがいたんだ。
「春馬くんの立ち居振る舞いの美しさは、スゴイです」
素人目に見ても、春馬くんの姿勢、佇まい、身のこなし、そして殺陣の美しさは特に目を引くんだけど、それは春馬くん贔屓の私が見るから、ではなくアクションのプロの監督さんがそういうんだもの、やはりそれは本物中の本物だったんだなと改めて思う。
アクションシーン秘話20
— 奥住 英明(T.P.O. office) アクション監督/殺陣師 (@TPOoffice2017) March 15, 2021
元康は、家臣正信を信じて、蒼が仲間を救う手助けをする
その心情からくるアクションについて春馬君と話しました
手数は多過ぎず、前に進む強い気持ちを表現する殺陣は「心が刀となり戦う」世界観が見所です
2人の関係が超素敵です#ブレイブ群青戦記#三浦春馬 #高橋光臣 https://t.co/PsykF0er8i
そうそう、あの元康の家臣、本多正信(高橋光臣さん)との関係が素敵だった。目配せと頷きだけですべてを理解し合しあう信頼関係。
アクション秘話…まだ続く
— 奥住 英明(T.P.O. office) アクション監督/殺陣師 (@TPOoffice2017) March 19, 2021
春馬君が最初に光を放つ瞬間は、蒼と孝太が交渉に来た時です
春馬君だからこそ、あの距離で刀が止まります
表情に視線が行きがちですが、首元ギリギリで止まる刀も注目して下さい。
その後のちょっとした殿の仕草も私は好きです#ブレイブ群青戦記 #WeAreBrave #三浦春馬 https://t.co/zFmDfabL5F
あの蒼と考太(鈴木伸行さん)との交渉シーンでの春馬くんの刀の寸止めは、かなりどきっとしたシーンである。
「春馬くんだからこそ、あの距離で刀が止まります」ですって。
春馬くんの技術の高さ、そして奥住さんの春馬くんへの信頼がいかほどかがわかる。
そんな信頼関係の中で、撮影できていたんだな、と嬉しくなる。
作品そのものを堪能する
このような予習の上で見た2回目は、作品そのものを堪能できた。
真剣佑くんの、最初自信もない目標もない情熱もない、というところから徐々に力強くリーダーシップを発揮していく変貌ぶりは見事だったし、身体能力の高さも殺陣や乗馬のシーンからもよくわかった。私は今まであまり真剣佑くんの作品を見たことがなかったが、この作品で真剣佑くんのポテンシャルの高さが見て取れた。
また、そのほかのキャスト、例えば渡邊圭祐さん演じる不破瑠衣のダースベイダーを思わせる存在感も見事だったし、山崎紘菜さん演じる瀬野遥の意思の強さや蒼へのひたむきな想いの演技も素晴らしかったし、鈴木伸行さん演じる松本考太のリーダーシップ、勇敢な姿はとってもカッコよかった。また、アスリートたちのそれぞれのキャラもよく立っていて、散り際も心を打つものだった。科学部の皆さんもいい味出していたし。
この作品のテーマは、「自分を信じる」ということ。
随所にこの言葉が出てくる。
自分の持っている力を信じる。自分の存在を信じる。
自分の魂そのものを信じる。
自分を信じられない人はひとのことも信じられない。
そして、自分を信じることにより、ひとは途轍もない力を発揮できる。
改めて、考えた。
私は自分を信じられているのかな。
大切な人たちを信じられているのかな。
最近、春馬くんの作品を見るたびに、投げかけられる問いだ。まさか、自分がアラフィフにもなってそんなことを改めて考えることになろうとは。
春馬くんと真剣佑くんとの絆
そして、春馬くん演じる元康のセリフがなんとも心に沁みるのだ。
「一所懸命 ひとつの所領を命をかけて守り抜く」
「周りを照らし導く光が お前の中に宿っておる」
「よく考えろ おぬしが何を信じて光となるか」
なんだかこれらの言葉が、春馬くん本人のことを語っているような気がしてくる。
そしてまた、春馬くんが真剣佑くんへ投げかけた言葉そのものにも思える。
ラストの徳川家康を名乗るシーン。もう知っているはずのラストなのに、鳥肌が立った。真剣佑くんのあの強い視線。そして、あのエンドロールの春馬くんの名前。
この映画公開の少し前に、真剣佑くんが現在の事務所を退所して海外進出する旨を発表していた。
そのことを思い出し、このラストシーンを見て私はなんとなく、「真剣佑くん、もしかして春馬くんのことがあってこのタイミングで海外進出を決めたのかな」という想いに駆られた。これまた、憶測の域を出ないことなので、特に誰に言うでもなかったが。
二回目見終わって外に出た時、朝そんなでもなかった桜がこんなに咲いていた。
また春馬くんから優しさを受け取ったような感覚になり、尊さを感じながら桜並木を歩いて帰った。
後日談
この数日後に開かれた『ブレイブ -群青戦記-』公開御礼舞台挨拶で、真剣佑くんはこんなことを話したという。
これからは春馬さんの夢だった海外進出を叶えるため、思いをつなげるために海外で挑戦していきます。そして必ず結果を残して帰ってきます
~『ブレイブ -群青戦記-』公開御礼舞台挨拶より(2012.3.26)
継承だ、と思った。
真剣佑くん、ほんとに春馬くんのことを尊敬し愛しているんだね。そして、春馬くんからいろんなものを受け取ったんだね。
監督やキャストや真剣佑くん本人も言っていたこの映画の最高のシーンが思い出される。
蒼が親友の墓を前に覚醒するシーン。
元康が、いや、春馬くんが、これ以上ない優しい声と表情で真剣佑くんに言う言葉。
「ならばその道をすすめ」
心の中の悲しみの霧がスーっと晴れていくのを感じる。
またしても、心が澄んでくるような感覚。
感動と感謝の気持ちが湧いてくる。
春馬くんから受け取ったもの。真剣佑くんからも受け取ったもの。
この映画も、何度も見に行くことになりそう。
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