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秋のラグビーはプライドを賭けた戦い〜アイルランドの勝利

欧州でラグビーのオータム ネーションズシリーズが開催されている。ワールドカップのような、何かを争ったコンペティションとは違い、欧州の代表チームが他地域の代表を迎えてのテストマッチの集合体である。

サッカーは各国リーグでのクラブチームの戦いがベースにあり、その上にワールドカップを頂点とする国別の対戦がある。ただし、国と国との戦いは、あくまでも選手権やそれにつながる予選に組み込まれている。

一方、ラグビーは国と国の対抗戦があり、その延長線上に欧州6カ国対抗や、南半球のチャンピオンシップ、そしてワールドカップがある。

したがって、個々のテストマッチが基軸であり、それは各国のプライドを賭けた戦いである。昔、イングランドが惜しくも6カ国対抗戦の優勝を逃し、イギリス人の同様に「残念だったね」と話すと、「いや、スコットランドには勝ったからいいんだ」と言っていた。それは負け惜しみでもあるが、対抗戦としての重要性を表している。

"国”と書いたが、日本代表同様、選手の出身は多岐にわたっており、彼らにとっては、”国”と言うラベルのもとに集ったチームへの誇りと言った方が適切かもしれない。

日本代表も欧州に遠征しているが、初戦アイルランドに大敗した。私が見たのは、ワールドカップで日本に敗れていたアイルランドが、その“誇り“をホームのダブリンで取り返す戦いであり、日本はその気合いに完全に圧倒された。技術面もさることながら、気持ちで負けていた。

そのアイルランドが、翌週11月13日にはニュージーランドを迎えた。素晴らしいゲームだった。

ちょっと歴史から始めると、アイルランドがオールブラックスと初めてテストマッチを行なったのは1905年、以降先日の試合を含め33回対戦している。そして、28回目まではオールブラックスが全勝していた。アイルランドが初めて勝利したのは2016年シカゴ、そして2018年はホームで初勝利を飾った。

しかし、2019年のワールドカップでは準々決勝でニュージーランドに46−14で完敗した。つまり、日本戦同様、この試合も汚名挽回のチャンスであった。

一方のニュージーランドは、今夏開催のチャンピオンシップでは、南アフリカと1勝1敗と分けたものの、オーストラリアとアルゼンチンは粉砕し優勝。欧州遠征初戦は、ウェールズに54−16で勝利、安定した強さを見せつけた。

そのオールブラックス相手に、アイルランドは、出だしから素晴らしい動きでボールを支配し攻める。流石のオールブラックスは怒涛の攻撃をしのぐ。それでもしつこく攻めるアイルランド。互いに流れを引き寄せようとする、諦めない攻防にに、両チームの“誇り”を感じた。

ホームでの大声援をバックに、必死に反撃するオールブラックスを退け3度目の勝利を勝ち取ったアイルランド、その姿には感動を覚えた。面白いことに、ニュージーランド出身でアイルランド代表としてプレイする数人の選手が大活躍していた。試合後、清々しい表情でアイルランドを称える黒いジャージの選手たち、こちらも素晴らしかった。

最終週、ニュージーランドはフランス、そしてイングランドはワールドカップ決勝の再現、南アフリカ戦。日本代表はスコットランドとの戦いとなる。スコットランドはアイルランド同様、ワールドカップで日本に負けた。

スコットランドは誇りをかけて日本を迎える。日本はそれを上回る“勝ちたい気持ち”を示す必要がある


献立日記(2021/11/16)
会食@トラットリア・チーボ



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