見出し画像

歌舞伎座そばの老舗に初訪問〜シチューの店「銀之塔」

東銀座・歌舞伎座周辺には比較的リーズナブルで美味しい店がある。以前、オムライスで有名な「YOU」について書いたこともある。今日も老舗を1軒ご紹介。

週末の午前11時半、東銀座でちょっとした所用があった。4月に結婚したエジンバラ在住の次女が、年末に日本に来るに際して、白無垢で写真を撮りたいと。そのアレンジをするお店に詳細を聞きに行ったのだ。

12時過ぎに終了することが予定され、妻と共のランチの場所を考えた。思いついたのが、シチューの店「銀之塔」。調べてみると、昭和30年開業。長らく有名店の地位を保っているのだが、私は行くチャンスがなかった。

「銀之塔」をフランス語にすると、“トゥール・ダルジャン“。おそらくこれを意識してネーミングしたのではないかと思う。お店のシンボルには、鴨と思わしき鳥が描かれている。ただし「銀之塔」には鴨料理はメニューになく、というよりも“シチュー専門店“である。

いかにも老舗という感じのお店に入ると、蔵を改造したという室内に、テーブル席と小上がりの座敷、我々が案内されたのは短い階段を上がった奥のテーブル席。

メニューはシチューが、ビーフ/ミックス/野菜の3種に、ちょっと高めのタンシチュー。そしてグラタン。極めてシンプルである。

嬉しいのは、ミニグラタンとシチューのセットで、これでお店の全容を体験することができる。私はビースシチューのミニセット、妻はタンシチュー、ビールと白ワインのデキャンタを注文。

この店のコンセプトは、あくまでも“和“。その中のシチューである。お酒と共に、小鉢が二つと漬物が出され、これでビールとワインを飲る。

最初に登場したのが、私のミニグラタン。焼きたて熱々で、プリプリの海老が入っているが、椎茸が良い味を出している。ベシャメルソースは思いのほかあっさりとしている。

ほどなく、妻の方にタンシチュー。土鍋の中でふつふつした状態で出される。紙エプロンが供されるのも、心配りが行き届いている。

シチューにつくのはご飯。パンかご飯かなどという選択肢はなく、あくまでも“和“の空間の中のシチューである。

私の方にもビーフシチューが来た。デミグラスが美味い、私の好み。つまり、妙な甘たるさがなく、グラタン同様、必要以上に頑張った感がない。極めて自然体の味。一方の、お肉はこれ以上気合が入り様がないホロホロさ。妻の食べているタンを一口もらうと、こちらはさらに輪をかけたトロトロ状態。

これをお茶碗の白飯と食べることを想像して欲しい。シチューという料理は、日本人のためにあみだされたものではないかと思う。

行儀悪いなどとは言わせない。シチューをご飯にかけて、超贅沢ハヤシライスのようにして食べると、「銀之塔」の“和xシチュー“というコンセプトに感謝の心を捧げたくなる。

ビーフシチューのミニセット、タンシチュー、ビール1本、白ワインのカラフェ、お代は12,000円弱。ちょっとした贅沢だが、満足度高し


いいなと思ったら応援しよう!