BBC Prom 42 オーロラ・オーケストラ〜ベートーヴェン交響曲第9番を暗譜で
身内の宣伝と、ユニークなオーケストラの紹介です。指揮者のニコラス・コロンが2005年に創設したオーロラ・オーケストラ(Aurora Orchestra、以下オーロラ)、オケのメンバーが暗譜で演奏するというスタイルで活動するのですが、数年前からロンドン夏の音楽祭BBC Promsに出演していますと。
私の次女はスコットランド室内管弦楽団(Scottish Chamber Orchestra)でヴァイオリンを弾いていますが、時折このオケに入っていて、今年のBBC Proms公演にも参加しました。
さて、オケのメンバーが交響曲・管弦楽曲を暗譜で弾くということにどのような意味があるのか。オケで弾いたこと、いやヴァイオリンを弾いたことすらない私の意見ですが、次のようなものがあるかと思います。
暗譜することによって、音楽に対する理解がより深まる
演奏時に、より一層の集中力が要求される。
指揮者の指示に対する注意力が高まると共に、オケのメンバー間の呼吸が合わせやすくなる。
そして、これらを通じて音楽の質が高まる。
加えて、オケのメンバーは立って演奏、楽譜台もないことから、聴衆との距離感も近くなるのではないかと思います。
残念ながら、ライブで聴く機会がまだないのですが。。。
今年のBBC Promsにおいては、Prom 42 8月21日に出演しました。そして曲目は初演から200年という記念の年となるベートーヴェンの交響曲第9番です。
7月19日から9月14日まで続くBBC Promsは、全公演BBCラジオで生放送され、注目の公演はTV放送も行われます。TV放送は放送権の関係か、日本では視聴できませんが音は聴くことができます。
聴力の減衰に苦しむベートーヴェンは、常にノートを持ち歩き、知人とのコミュニケーションに活かすとともに、“買い物リスト“や“To Doリスト“なども記録していました。コンサートの前半は、これらをベースにし、「第九」作曲当時のベートーヴェンを、複数の俳優が表現しつつ、オーケストラが伴奏します。
苦悩の日々を送る中、ロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲を委嘱されます。ベートーヴェンは喜び、訪英の希望も膨らみます。実際はロンドンの地を踏むことはなかったのですが。
観客とのインターアクションも含みながら、「第九」の演奏に向けて音楽への理解を深めるとともに、気分を盛り上げるパフォーマンスで、聴いているだけでも面白さが伝わってきます。
そして後半の演奏。音だけでも気持ちが伝わってくる演奏。第2楽章が終了すると、観客席からは自然と拍手が巻き起こります。
第3楽章、独唱・合唱が入る第4楽章、演奏終了後の怒涛のような拍手の波、スタンディング・オヴェーション。会場のロイヤル・アルバート・ホールは、キャパ7000人程度ですが、この日のチケットは完売、その熱気が伝わってきます。
アンコールを求める拍手に応えて、オーケストラのメンバーは客席へと入り、「第九」のフィナーレを演奏・合唱しエンディングとなりました。
なお、演奏はこちらのWebサイトから聴取できます。(8月21日から45日間)
また、BBC Soundsというアプリをダウンロードしユーザー登録、“Prom 42“で検索するとヒットすると思います。若干面倒ですが、Aurora Orcestra以外にも Promsには魅力的な公演がたくさん有ります。来月はベルリン・フィル/ペトレンコも登場、手軽に聴くには便利かと思います
*リハーサル・ショットはこちら
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